【北米原産、明治中頃に渡来。一部で野生化も】
キク科ルドベキア属(オオハンゴンソウ属)の宿根草(多年草)または1年草で、日本には明治中頃に渡来してきたといわれる。暑さ・寒さにも強く丈夫で育てやすい。花色は主に黄か橙色で、花びらを並行または反り返り気味に開く。花が終わると花芯(管状花)が盛り上がって松かさ状になる。そのため「マツカサギク」の和名を持ち、英名でも「コーンフラワー」と呼ばれる。
ルドベキアの名前はスウェーデンの植物学者ルドベック(1630~1702)にちなむ。動植物の〝分類学の父〟といわれるリンネが恩師の遺徳をしのんで命名したという。ルドベキア属は北米に約30種が分布する。1年草の代表格は日本で「アラゲハンゴンソウ」と呼ばれるヒルタ種。花径が20cmにもなる大輪の「グロリオサデージー」や草丈が40cmほどの「ゴールドフレイム」などの園芸品種が出回っている。
宿根草にはトリロバ種やフルギダ種、ラキニアタ種などがある。トリロバ種は3~5cmの小型の花を株いっぱいに付けるのが特徴。日本では「ルドベキア・タカオ」の名で広く流通している。濃い茶色の大きな花芯から、米国ではヒルタ種とともに「ブラック・アイド・スーザン(黒目のスーザン)」と呼ばれ、メリーランド州の州花にもなっている。毎年5月には「ブラック・アイド・スーザン・ステークス」と名付けられたサラブレッド3歳牝馬のレースまで行われているそうだ。
ルドベキアの仲間はいずれも繁殖力が旺盛。中でもラキニアタ種は強健で、各地で野生化し大群落をつくっている。環境省は生態系を崩す恐れがあるとして、ラキニアタ種を外来生物法により「特定外来生物」に指定、輸入を規制している。また八重咲きの園芸種「ヤエザキオオハンゴンソウ(ハナガサギク)」や「アラゲハンゴンソウ」「ミツバオオハンゴンソウ」の野生化も確認されている。このため環境省はルドベキア属全種について、輸入に際しては外国政府機関等発行の種類名証明書を添付するよう求めている。