く~にゃん雑記帳

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<京都園芸倶楽部> 公開講演会「シルクロードの薬草と文化」

2013年07月10日 | メモ

【本多義昭氏「シルクロードを代表する薬草はカンゾウ(甘草)」】

 財団法人京都園芸倶楽部の公開講演会が9日、京都府立植物園(京都市)内の植物園会館で開かれ、姫路獨協大学学長の本多義昭氏が「シルクロードの薬草と文化」をテーマに講演した。本多氏は洋の東西を結んだシルクロードを代表する薬草として、広く分布し多様な薬効を持つマメ科の多年草「カンゾウ(甘草)」を挙げた。

  

 本多氏は京都大学薬学研究科の元教授で、専門は有用薬物学や民族薬物学。長年、中近東や中央アジアなどの伝統医学や民間薬について調査・研究してきた。「薬物は命を養う貴重なものとして、古くからシルクロードを通じ盛んに交流されてきた」。奈良・正倉院には宝物と共に多くの薬物が収められ、吉田兼好は「唐のものは薬の外はみななくとも事欠くまじ」(徒然草120段)とまで記した。

 中東を中心に中世に広がった伝統医学を〝アラビア医学〟という。ギリシャ、ローマの古代医学に中国、インドから伝わった医学の知識も加えて発展させた。アラビア医学を代表するアル・キャンディの「処方集」には9世紀に医師が使っていた薬物319種と222の処方が記載されている。現ウズベキスタンは著名なアラビア医学者を輩出した地域だが、「その伝統医学は旧ソ連によって押しつぶされた」という。往時のアラビア医学が残っているのは「パキスタンと中国西部の新疆ウイグル自治区の2カ所だけ。アラブの世界には薬は残っていても(専門の)医者がいない」。

 本多氏はトルコでの現地調査をもとに、薬草のオノスマと漢方の紫雲膏の材料となるムラサキ(紫根)を例に挙げながら「遠く東西離れた所で、同じような塗り薬ができていたことに驚いた」という。また薬草の呼称の違いから「民間薬は土着のものだけではなく、その知識は人の移動とともに移っていく」ことも痛感させられたそうだ。

 シルクロード沿いに広く分布する特徴的な薬草としてオオバコ、イラクサ、カンゾウ、ハッカ、マオウの5つの植物群を挙げた。その中でも本多氏が代表格というのがカンゾウ。理由として①かめば甘く、見分けが容易②多く自生する身近な存在で、素人でも使える③薬効が幅広い――などを挙げた。

 カンゾウは古代ギリシャの医学者ディオスコリデスが「薬物誌」の中で多くの薬効に触れ、中国では「甘草」という名のいわれにつながる民話でも有名という。地元民や放牧民だけでなく、シルクロードの旅人の中にもお世話になった人が多かったのだろうか。カンゾウは今でも漢方薬には欠かせない原料。日本国内で流通している漢方薬のおよそ7割に配合されているそうだ。

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