【1300年前に天平びとが創作した〝動物アート〟が大集合!】
奈良文化財研究所の平城宮跡資料館(奈良市)で夏期企画展「平城京どうぶつえん―天平びとのアニマルアート」(9月23日まで)が始まった。馬に羊、猿、鳥、猪、亀、鹿、魚……。1300年前に作られたり描かれたりした動物たちを、土器や木簡、まじないの道具などを通してまとめて見ることができる。人形(ひとがた)や人面土器などヒトのコーナーもある。いずれも生き生きした表情で、天平びとの息づかいが聞こえるかのようだ。
出土品の多くは平城京・平城宮の水路や井戸、ごみ捨て場などから見つかった。最も多く出土したのは奈良時代前半に権勢を誇った長屋王の屋敷があった場所。鳥形や馬形、猿や犬をらくがきした皿、牛の木彫りなどが見つかった。出土した木簡から本物の馬や犬のほか鶴まで飼われていたことが分かったという。
会場には焼き物の土馬(上の写真㊧)や木でできた鳥形、馬形などが多く並ぶ。これらは病気や災厄を乗い払うためのまじないの道具とみられている。裏側に5匹の猿を描いたお皿(写真㊨)があった。国内で見つかった猿の絵としては最も古いものという。馬や鹿とみられる動物が描かれた木簡もあった。
羊は頭部分だけが2頭分出土した。これらは羊の形をした硯(すずり)の一部ではないかとみられている(写真㊧=1頭分を硯に復元)。亀も硯の一部とみられる顔や手、甲羅などが見つかった。猫の足のようなもの(写真㊨)も多く出土したが、これは〝獣脚〟といわれるもので硯や火鉢の脚の部分の装飾に使われたとみられる。
魚は平城宮の警護や儀式で使われた木製の盾の裏(写真㊧)に鳥とともに多く描かれていたという。ただ全面が黒ずんでおり、残念ながらよく確認できなかった。ヒトは人面土器のほかお面、あやつり人形、木簡に描かれたらくがきなども展示されている(写真㊨)。どれも表情が豊かで見ていて飽きない。馬の頭や亀、ネズミなど実際に平城京にいた動物の骨も展示されている。