こんにちは。
小さなお店と小さな企業のための販促コンサルタント、藤田です。
今日もこのブログページを開いてくれてありがとうございます。
少しばかりあなたの時間をいただきますが、よろしくお願いします。
今朝はよく晴れていますね。
なんだか久しぶりに広い青空が広がっています。
昨日は朝のうちは何とか晴れていたのですが、午後になると急に暗くなり、雷雨がありました。
一度は晴れてきましたが、すぐにまた西空が真っ黒になり、雷も。
夕方にはまた冷たさが帰ってきました。
この雷はもしかしたら春の終わり、初夏の始まりの兆候でしょうか。
さて、本題です。
結婚式に招待されていくと、必ず「“最高の幸せの頂点”を迎えて、なんだかんだ………」という祝辞を聞くときがあります。
またかつてはブライダル関係の販促を担当していたときに、パンフレットを作るときなど、必ず「おふたりが迎える“最高”の記念になるように、なんとかかんとか………」というようなコピーを散りばめます。
まるで結婚式がゴールであるかのように演出し、列席者もそのようにお祝いします。
しかし、♪ちょっと待ってよお兄さん、ラッスンゴレライ~♪、じゃなかった、ちょっと待ってくださいよ。
果たしてそうでしょうか?
いやむしろその結婚式はスタートであり、そこが頂点というなら、後は下がる一方じゃないでしょうか。
結婚式をゴールと設定する考え方が何か間違ってやしないかな、と思う次第です。
そうじゃないだろ、といつも思っています。
そんな冷たい目で見ながら、もちろん外面は底抜けの笑顔で「おめでとうございます」なんて白々しく挨拶して帰ります。
ですからブライダル産業も、もうちょっと違った視点で、これからのスタートを応援するんだ、というような企画を考えると、今までとはひと味もふた味も違った演出も、また考えられるのじゃないのかなあ、なんて。
また、ビジネスは逆に、目標にゴールした瞬間は、次への目標へのスタートであり、次を目指す限り、さらに違った苦悩が始まります。
いつまで経っても、成功者と言われる方の心の中は、次への目標設定とそれにともなう苦悩で占められています。
ひとつの目標をクリアしたときに、「やった、成功だ! これで俺は成功者だ!」なんて浮かれたりしたら、もう後は転落への一歩であるといっても過言ではないほど、ビジネスの世界は厳しいものがあります。
それはもちろんお店の運営だって同じです。
お客様に喜ばれているうちに、次の、もっとお客様に喜んでもらえるシステムを考えるべきときだと言えます。
さて、連載中の『老舗が変わるーーある料亭の再生物語』第11回目です。
ここからどうぞ。
「私は依頼されたところのお店おのかたちというんですか、その元のかたちはあまり変えずに、そのいいところを伸ばすように提案しているんです。
あまり根本はいじりたくないんです。
だってそれをとってしまうと、せっかく今まで積み上げてきた暖簾が変わってしまうわけですから。
暖簾が変わるってことは形そのものが変わってしまうということで、それならまったくその会社なり店なりを解体してしまってやり直すってことで、たとえばこの千樹さんだったら、千樹を解体してしまって、マンションを建てるというようなことです。
そんな指導はしたくないんです。できるだけ元の形をそのままで、その中で何か良いものを見つけて、それを強化して同じ暖簾で続けていきたいんです。
まったく今の私の考えと違うことも提案したこともありますが」
「それはどんなことですか」
社長が聞いた。
「今商店街がダメでしょう。いやだけというよりその中で一部は頑張っているところもありますが、商店街全体の再生ということで考えていくと、今までやっていた商売はもうニーズがないというか、続けていってもほとんど存続は無理というようなお店も中にあるんですが、そういう店には形をまったく変えるように薦めます。
たとえばレコード屋さん。今はもうCDさえ売れない時代になってきていますよね。そういう店には転換を薦めますね。
もちろんわたしの考えが及ばない方法で生き残っていく道はあると思いますが、それではただ生き残っていくだけのことでしかないんですね。
特にお薦めするのはたこ焼き屋さんとかお好み焼き屋さん、駄菓子屋さんといった子供受けする食べ物屋さんですね。
私たちから見れば懐かしいなあと思うような食べ物屋さんです。
それでおいしい物とか面白い食べ物を売れば結構評判になるものです。
商店街全体がそういったものが多くなれば、また商店街として再生はできると思いますよ。
まあその間にはいろいろ行政の後押しも必要ですけどね。
商店街のことはさておいて、千樹の話にもどりましょう。
女将さんにお聞きします。千樹としてどこを残したいですか。
どこというよりも千樹の良いところと言いますか、今よく言われている言葉でいうと“強み”ですが」
「そうねえ。私は千樹を暖簾として残していきたいというか、守っていきたいというのは、この料亭らしい雰囲気と千樹がここまで評判を落とさずにやってきた料理ですね。
いくら客足が落ちたと言っても、お正月にはお得意さんがおせち料理を変わらずに頼まれますからねえ」
「社長はいかがですか」
本田が次に尋ねた。
「わたしは、ホントのところ、正直に言うとね、さっき本田さんが例を出していったマンションね、最終的にはそれでもいいかと思っていたんだ。
いや多分今のままで行くと、そうする以外方法がないのかなあって。
それでその1階部分に千樹の名前を残した日本料理店を出せば、千樹の名前は何とか残るかなって。
そうすれば板長や今の従業員も少しは残ってもらえるから、全員整理することもないしって」
「そうね、それは私も選択肢のひとつとしては考えてたわ。
まだ少しは余力のあるうちにそうすることも必要よね」
女将が言った。
「ああ」
社長は小さく頷いた。
「やっぱろそうだったんですか。私もなんだか社長や女将さんを見ていると、もしかしたらそうじゃないのかなあって、思うときもありましたよ」
板長も肯定した。
「でもこの間のみんなの考えを聞いて私は変わったつもりだ。
みんなの千樹を思ってくれている気持ちを考えると、むやみにそんな安易な考えをやめて、もう一度千樹を千樹らしく再生したいと心から思うようになったよ」
社長が反省した。
「じゃあお二人の心は、料亭千樹を引き続き存続させていきたいというお考えだということでいいですか」
本田が聞いた。
つづく
それでは、また明日。
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藤田販促計画事務所、お客様力(ぢから)プロデューサの藤田でした。
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