
夜の帳が降り、辺りが暗くなると
どこからともなく虫の鳴き声が聞こえてくる。
別に耳をすませなくても、
次々と聞こえてくるのがまさに田舎。
きっとあたりの草むらや石垣の中で鳴いているのだろう。
コオロギに鈴虫、松虫などなど。
心地よい音だ。
ただただ虫の音だけが夜の世界にこだまする。
これってとってもぜいたくかも。
夏の夜はカエル、秋は鈴虫。
昔、鈴虫の音がとてもきれいで気になったので、
正体を見てみたくなり、そっと石垣に近づいた。
音はしだいに大きくなり、鳴いている場所がはっきりとわかった。
そして、懐中電灯を照らすとコオロギが羽を広げたような虫が
おしりをゆらし、あのきれいな音を出していた。
秋の夜長も退屈せずに過ごせそうだ。
岬人(はなんちゅう)