喜久家プロジェクト

日本一細長い半島、四国最西端「佐田岬半島」。 国内外からのボランティアとともに郷づくり「喜久家(きくや)プロジェクト」。

えひめ人権・同和教育  「希望の虹を架けよう」 1

2013-01-11 | ブログ
 年に3回発行される愛媛県人権教育協議会会報「えひめ人権・同和教育 No.121」
の2013年1月号に原稿が掲載された。

 この会報は、愛媛県の全ての家や役所に配布される
 昨年の9月が原稿〆切りで、何を書こうかとずいぶん悩んだ。
そして決めたテーマが、東日本被災地と故郷に関すること。

 紙面の都合で、原稿を少しカットしたので、原文を次につづる。


『 「希望の虹を架けよう」

 忘れられない言葉がある。
10年ほど前、同和教育推進主任をしていた頃のこと。
時間のゆるす限り地区に足を運び、地域のこと、地域に住む人たちの思いを知ろうとした。
いろいろな話を聞かせてもらった。

 そんな中、一度都会に出て帰ってきた保護者が、次のように語ってくれたことが今も心に強く残っている。
「故郷に錦を、という言葉があります。僕も都会に出て、そんな思いでがんばってきました。
でも帰ってきて気づいたのは、故郷が錦だということです。」
 私たちの原点は、故郷にあり、生きる喜びや勇気・希望を与えてくれるのだと思う。
 
 私が勤務する伊方町立三崎中学校は、日本一細長い四国最西端の佐田岬半島にある。
宇和海と瀬戸内海に囲まれ、アジ・サバ・伊勢エビ・てんぐさなど、
故郷の海は私たちの生活を支え、文化を創ってきた。
 そんな故郷の海が、東北では大津波を引き起こし、多くのかけがえのない命や財産、思い出を奪っていった。
 
「自分には何ができるか。」を問い続ける日々。
震災後すぐに三崎中学校からは、毛布や衣類、義援金などと一緒に中学生の応援メッセージも送られた。
6月、それらを受け取った気仙沼市の大谷(おおや)中学校から手紙が届いた。

「3月11日、東日本大震災の時、私たちは体育館で卒業式の準備をしていたところでした。
地震から30分くらいした後、一瞬で今までとは違う大谷の街になっていました。
校庭には、たくさんのごみが流れこんで1階の床まで海水が入り現実を見られない状況でした。」


 卒業式前日、中学3年生は、卒業していく寂しさを感じながらも新しい進路に胸をふくらませ、
翌日の卒業式に思いをはせていたことだろう。
そんな時に突如襲った大震災。
希望を抱く子どもたちが失ったものはあまりにも大きかった。
そんな状況で懸命に立ち上がろうとがんばり続ける日々。

「掲示されている三崎中学校からのメッセージを読む度に、安心感と勇気がわいてきます。
みなさんにもたいへんなことがあると思いますが、お互いにがんばっていきましょう。」

といったお礼や力強い言葉がつづられていた。

 
つづく