喜久家プロジェクト

日本一細長い半島、四国最西端「佐田岬半島」。 国内外からのボランティアとともに郷づくり「喜久家(きくや)プロジェクト」。

淡々と生きる大切さ ~わが家の習わし~

2021-01-24 | 生き方

 年の瀬12月30日から新年1月1日にかけて。

毎年の年末作業である注連縄作り。

若い頃は、あまり気にも留めず、父に任せきりだった。

ここ数年、ようやく意識し始め、それを受け継ごうとしている。

 

 宇和町の妹の嫁ぎ先から稲藁をいただき、注連縄飾りの準備に入る。

倉庫で40本の注連縄作り。

「おー、だいぶん上手くなったのー。」

あまり褒めない父からの言葉に、うれしさと自覚が増す。

そして、こう返す。

「後は任せておきないよ。」

 

 次に、父の口から出た言葉。

 「おらは、これを高校のときからしよる。親父が戦死したけん、おらがせないけんかった。

もう65年になるかのー。」

 この言葉に、返す言葉が出てこなかった。

先ほどの自信が吹き飛んでいく。

 私が意識し、手伝い始めたのは、ほんの少しだ。

家のために、良い正月を迎えるために、まだ高校生の頃からやってきた父。

それを淡々と自分の役目として、65年。

 

 そんな父に比べれば、歳はとってきたが、私はまだまだ「ひよこ」だ。

親とはこういうものだろうか。

 

 40本の注連縄飾りは、家の中の神様が宿るところに全て、車やバイク、倉庫にいたるまで飾り付けられ、

感謝と家内の安全と繁栄を祈る。

 注連縄作りが終わると、2本の大注連縄作りに取り掛かる。

しっかりと締めるために息子も加わり、3人がかり。

というよりも、その作り方をしっかりと学ぶための方が大きい。

 こうして、親から子、そして孫へと受け継がれていく。

我が家にとって、このような作業はとても大切なもの。

お金を出して買った方が世話がないのであろうが、「priceless」なことの一つなのだ。

 

 いよいよ門に飾り付け。

先日収穫された伊予柑も結びこむ。

年神様のお越しを歓迎する準備は整った。

 

 そしてもう1か所。

屋敷の神である「地神様」と我が家を護る「鍾馗様」への門である鳥居に飾り付ける。

そこに母がやってきて、その出来栄えを二人で見つめている。

小さな幸せのひとときだ。

幸せは、こんな日常の中にこそ感じられる。

 

 淡々と生きる大切さ。

そこには、幸せがつまっている。

 

      岬人(はなんちゅう)



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