桂小枝の持ちネタ、というか枕言葉というのか、「しかしまぁナンですなぁー」
というのがある。
かなり前の探偵ナイトスクープで、大阪人はこの“ナニ”を多用するらしいが
本当ですか、という調査をしていて、「はっきりさせたくない指示代名詞」み
たいな意味で使ってる人が多いという結果がでてたけど、小枝は、その意味
合いをあの独特の話口調で、なんとも聞き手を惹きつける魅力ある言葉に
してるよなぁ。これからどんな面白い話が始まんねやろ、とわくわくするもんな。
ところで、俺も最近この“ナニ”にかなりの奥の深さを感じるようになってきたね。
なんといってもこの“ナニ”は大人数に聞かれても伝えたい相手にだけ内容を
伝えることができて、他の人にはなんとなく分かるけどはっきりせえへんという
ところに、断定的な表現を嫌う大阪人が好む素晴らしさがあると思うねん。
「最近はナニしよ思てもナニがナニせえへんからナンともならんのよ。」
これはたぶん50~60歳の男性にだけナニが伝わる。まぁ中には20代でも伝わ
る人もいるかもわからんね。
「あの人ってナニらしいで」
この場合は逆にほとんどの人に、とっても怪しい人であるという感じが伝わる。
「今日はナニしよか」
恋人や愛人に。これははっきりしてしまうけど。
「例のナニ、ナニしといてくれ」 「ナニナニってナニよ!」
あまりに長年連れ添うと伝わらんあたり、ナニもしかしまぁナンですなぁ。