日米英のチ-ム発表「ホヤ類」の定説覆す
ヒトなど脊椎動物の祖先は、海底の岩に付着し ているホヤ類ではなく、魚のように泳ぐことがで きる小さなナメクジウオ類であることが分かった。 日米英などの国際研究チ-ムがナメクジウオの 全遺伝情報(ゲノム)を解読し、ヒトやホヤなどと比較した成果を19 日付けの英科学誌ネイチャ-に発表した。ホヤやナメクジウオには、 脊椎の前段階の脊索動物と呼ばれる。脊索動物の中では、五億二 千万年以上前に、従来は最初にホヤ類、次いでナメクジウオ類、脊 椎動物が出現したと考えられていた。いかい、フロリダナメクジウオ の約五億二千万塩基対のDNA塩基配列を解読し、タンパク質を作 る約二万一千六百個の遺伝子を特定したところ、ホヤより原始的で あり、染色体上の遺伝子の並び順が脊椎動物と非常によく似ていた。 一方、ホヤは並び順が大きく変わっており、ナメクジウオ出現後に独 自の進化を遂げた傍流判明した。脊椎動物が魚類から両生類、哺乳 類と複雑、高等に進化できた理由については、米国で活躍した故大 野乾博士が1970年に、ゲノム全体が数回重複する現象が起きたた め、との学説を発表。今回の研究で、ホヤ類の分岐から硬骨魚類の 出現までに重複が二回起きたことも確認された。国際チ-ムには、 日本からは京都大、国立遺伝学研究所、国立情報学研究所、理化 学研究所の研究者が参加。佐藤矩行京大教授によると、今後は日 本単独で脊索動物より原始的なギボシムシのゲンムを解読するとい う。
ナメクジウオ 外見は魚ににているが原始的な脊索動物。温帯・ 熱帯に約30種が生息し、日本では愛知県蒲郡市と広島県三原市 の生育地が国の天然記念物。目がない。泳ぐこともできるが、浅い 海底の砂に潜って口だけ出し、微生物を餌とする。