胎児期の反射の名残?=當瀬規嗣解説
飲み物や食べ物にむせたりすると、しゃっくりが始まりることがありま す。しゃっくりは、話していようと、息をしていようと出ますので、苦し くてわずらわしいものです。そこで、人はしゃっくりを止めようとします。 水を飲んだり、逆立ちしたり、大変ですよね。よく止まるといわれてい る方法は、両手で舌の根元をつまなで前に引っ張る方法だそうです。 私は、コップいっぱに満たした水を、コップいっぱいに満たした水を、 コップの手前ではなく向こう側に口をつけて飲む方法で、ほぼ成功し ています。いずれにしても、しゃっくりは、呼吸を受け持つ横隔膜が瞬 間的に収縮することで起ります。まあ、一種のけいれんのような感じ なのですが・・・。といっても横隔膜がプルプル震えてるわけではあり ません。そして、横隔膜が収縮して、息を吸い込む瞬間に声門が閉じ ることが同時に起らなければなりません。一連の動きが自動的に起 るので、“しゃっくり反射”と呼ばれます。反射には、それを制御する部 分が中枢神経に必ず存在します。しゃっくりの場合は延髄の呼吸中 枢の近くと推定されています。最近の学説では、退治がしきりにしゃ っくりすることから、この時期に必要だった反射が、生まれた後も残っ たものであるとされています。退治のノドに入ったごみを取り除くため というのですが、しゃっくりは息を吸い込む動作でわざわざ声門を閉じ るので、ごみを取り除くという説明には合点がいきません。人の体は 謎だらけですね。(とうせ・のりつぐ=札医大医学部長)