院内感染で入院患者さんが死亡。初めて、この様なニュ-スに接し た時、何か信じられないことに思えました。病院は病気を治してくれ るところという概念だけで、安全な場所と言うイメ-ジしか持ち合わ せていなかった。ところが、病気に対するいろいろな資料を入手し、 知識が豊富になるに付け考えが大きく変わりました。多種多様な保 菌者が出入りする個所です。そこに免疫力の弱った患者さんが入院 している。よほどのことがなければ、無菌室での対応が施されない のですから当然の既決のような気がします。なぜ、この問題を再考 するか。それは医療事故や肝炎、エイズなどが人為的な行為で感 染し全国的に感染症患者が多数存在する現状があることです。医 療に従事する人たちが、つい最近までB型・C型肝炎患者さんが、 何らかの自己責任での保菌者になっていた。そんな考えが、実は 血液製剤以外に感染源がありえないという公表結果をあまりにも安 易に受け止めていないか。かって、経験浅い若年医師が、ミスで手 にちょっとした傷をおいそこから菌に感染し劇症肝炎で急死したとい う。病院内には随所に危険が蔓延していることを十分に認識すること が求められます。そのことを皆が共有していれば、患者に使用する器 具の安易な使いまわしなどの行為は、疑問視されて当然なことと思 われますが。
山音文学同人・上士幌=荒井 登喜子
「子供には、テレビゲ-ムを買い与えません」などと、ツンと上を向き、 自慢げに話す親にはなりたくない。大人の傲慢のような気がするか ら。とは言っても、子供とテレビゲ-ムの関係は、とても難しいとも 感じる。息子が居間でやっているテレビゲ-ムの画面を横目で見て いると、操っている主人公が車に乗り、いとも簡単に歩行者をなぎ倒 してゆく。ひかれた歩行者は「ギャッ」とも叫ばず、「痛い」とも泣かず、 血も出ない。「これは、まずいな」と私は息子の横に座った。歩行者 が跳ね上がった。「イタタタタ・・・」。「血がドバドバ!」。ゲ-ムの中 で倒れるキャラクタ-に合わせ、私がせりふをつけてたった。 「もう・・・。母さん」 息子がコントロ-ラを離さず言う。 「だって車に当たったら痛いし、血もでるでしょ」 いつもお笑い番組を一緒に見ていても、横やりを入れる母である。 息子はあきらめ顔で、そのままゲ-ムを続けた。 後日、同じゲ-ムなのかどうかは分からぬが、息子は、がけから落下 して体を打ちつけたキャラクタ-とともに「いてっ」とつぶやいた。 子供も大人も他者の心の中を想像できるようになって、幸せに平和に 生きてゆけるといいな。つくづく願ってしまう。