道立道南農業試験場研究部長 赤司 和隆 風や雨滴で伝染病する病害
土壌や病害にかかった作物には病原菌が生息 しています。これらが風や雨滴などで近くの作物 に運ばれると、病気か゛発生します。前回でも触 れましたが、これを空気伝染病害といい、症状が 主に葉や茎に現れるのが特徴です。葉が大きくて観察しやすいメロ ンの場合を見てみましょう。病原菌が葉に付着し感染が始まると、円 形(灰色かび病、炭疽病)、多角形または円形(べと病)の褐色の病 班が現れます。やがて大きくなり、その中央部が破れたりします。う どんこ病では葉の表面に白いうどん粉状のカビが、菌核病では白い カビとネズミのふんのような菌核(菌糸の塊)が茎や果実の感染部位 で観察されます。空気伝染性病害は一般に病原菌がはびこりやすい 高温多湿時に多発します。薬剤による防除が有効ですが、病気のま んえんが早いことから、発病初期に薬剤散布を行います。1840年代 にジャガイモの疾病がヨ-ロッパ、イギリス、アイルランドで大発生しま した。カビによって全身が冒される恐ろしい空気伝染病害です。深刻 なイモ不作で飢餓に見舞われたアイルランドでは、多くの人がアメリカ に移住したそうです。その中にケネディ元大統領の曾祖父がいたこと は有名です。