気の巡りを良くする薬に
雪解け後の林床をにぎわすカタクリ、エゾノリュウキンカの4月、木々たちが活動を始める新緑の5月、そして7月には森の中はさまざまな木々たちの葉っぱで大にぎわいになります。毎日森へ入って植物たちと付き合っているとあっと言う間に時間が過ぎ去っていきます。一見何も動いていないように見える植物。実は毎日、ものすこ゜い勢いで変化しています。森の植物たちは、自然と調和する生き方を教えてくれます。夏は成長の季節。春に始まったサイクルはどんどん加速し、冬へと全力疾走します。そしてまた新しい春が来るのです。すべての終わりはすべての始まりなり。漢方の基本「陰陽」です。木々たちの葉の間から差し込む光を見ていたら、ひときわ目立つ大きな放射状になった倒卵形の葉を見つけました。ホオノキです。6月に咲く森の中に芳香を漂わせます。ホオノキの樹皮は厚朴といい、厚朴か゛含まれる代表的な漢方薬「半夏厚朴湯」は、半夏、厚朴、紫蘇、生姜、茯苓(ぶくりょう)からなり、咽喉のつかえを取り、気の巡りを良くする「理気薬」です。(堀田清・北海道医療大准教授=写真も)