たった1個の遺伝子変異 米の研究チ-チが分析
ダックスフントやバセットハウンド、コ-ギ-などの犬の脚が短いのは、進化の過程で、たった1個の遺伝子が変異したためだった-。米国立ヒトゲノム研所などのチ-ムがこんな分析をまとめ、米科学誌サイエンスに発表した。人間のある種の発達障害を研究するのにも役立つ可能性があるという。犬は、大きさや形状が極めて多様で、350以上の種類に分かれる。チ-ム、このうち少なくとも10種が短足。これらに共通する遺伝的な特徴を調べるため、チ-ムは76種計835匹の血液を使い、短足犬8種(95匹)とそれ以外の犬について、DNA配列の違いを調べた。すると、すべての短足犬種で「繊維芽細胞増殖因子(FGF)4」という遺伝子の配列が重複している変異が見つかった。この変異によってFGF4タンパク質が体内で余分に作られる結果、胎児の段階での骨の発達に影響を与え、脚が短くなるらしい。どの短足犬種にも変異が共通していたことから、チ-ムは、オオカミから初期の犬が進化した比較的早い段階で、変異が起きたのではないかと推定している。チ-ムのハイディ・パ-カ-博士は「わずかな遺伝子変異で体格にこれほどの変化が表れ、しかもずっと保持されているのは驚きだ」と話す。人間でも、骨が正常に形成されずに低身長になる障害がある。このうち一部については関与する遺伝子が明らかになっているが、原因不明のものもあり、チ-ムは、この遺伝子が関与していないか調べる必要がある、と指摘している。
<メモ>今回見つかった遺伝子変異は、特定の遺伝子1個余分にできたというもの。レトロウイルスという特殊なウイルスが犬に感染し、ウイルスの酵素の働きによって変異が起きた可能性にどが考えられるという。