肝臓は、重さが1~1・5㌔㌘もあり、人間の体の中で、最も大きな臓器です。肝臓には、実にさまざまな働きがあります。その主なものは・・・。
- 小腸から取り入れた、糖分やタンパク質、脂肪などを分解して、利用しやすいように変えたり、栄養分をためたりしています。
- ビタミンをためておきます。
- いらなくなった女性ホルモンをこわします。
- 胆汁を作り、胆のうに送り出します。
- アルコ-ルなど、毒性のある物質を、毒性のない物質にかえます。
- 約650㍉㍑もの血液をためておき、出血した時などに送り出します。また、母親の体の中にいる胎児は、肝臓で血液がつくられます。
- 血液がかたまるのに必要な物質をつくります。
- 古くなった赤血球をこわしたり、血液の中の病原菌を消化したりします。
- 肝臓がいかに沢山の働きをしているか分かります。でも、これは肝臓の働きのほんの一部にすぎません。肝臓のは働きは500を超えるといわれています。このようなは働きによって、わたしたちは、体に取り入れた栄養分を利用したり、体から入ってきた毒物を体の外に出したり出来るのです。もしも、肝臓の機能と同じことを人間がしようとすると、巨大な工場をいくつも建てなければなりません。肝臓はそれほどすばらしい機能をそなえた、まさに体内の化学工場です。
肝臓で解毒作用に携わる酵素P450が、例外的にある物質に対してその毒性を高めてしまう。
- ある種の殺虫剤はそれ自体には毒性はないが、体内に入ってP450と出会って酸化されると、有害な物質に変化する。
- タバコのタ-ル、車の廃棄ガスなどそれ自体はガンを起すことはないけれど、P450やほかの酵素との共同作業によってガンの引き金になってしまう。
- 有機塩素化合物DDTや枯れ葉剤DBCなど、P450をもってしてもどうにもできない毒物もある。
- 文明が生み出す人工物質のあまりに速いスピ-ドにもはや対処しきれなくなっている。
- 肝臓が破壊されたとしても残った肝細胞で再生する !! 肝細胞の一部が破壊されたり切り取られたりすると、突然残った肝細胞たちが活発に動き出し、再生しはじめる。そして再生が終わるとピタリとやめ、また肝臓本来の仕事に戻る。肝細胞は人体の60兆におよぶ細胞の中、その働きが最も専門化されていない細胞の一つです。それだからこそ肝細胞はあらゆる可能性-、未知の経験に対応できるのです。
- P450はもともと体の中の脂肪の代謝に関係する酵素です。ところが、人工の化学物質があふれだしたため、人工物質の解毒作用を引き受ける役目を負うことになったのです。