草を食む

出掛けに携帯を忘れたために、乗ろうとしていた電車より２本遅れてしまった。何となく損した気もするが、たまにはゆっくりとするのもいいだろう。

10月も半ばとなり、ついこの前まで緑を湛えていた木々は黄色く色づき、地面を覆う落ち葉の数も増えている。

近所の美容室では、さまざまな種類のバラが咲いている。華やかな花々の中から、淡く色付いたその一輪に目が止まった。

春に女の子と話していて、僕が「好きになる女性のタイプはまちまち」だと言ったら呆れられてしまった。数多の魅力的な女性の中から「この人」と思える人を見つけるのは難しく、仮に見つかったとしても、既に相手がいるなど条件が折り合わない。そこを強引に攻めていくのは、肉食系でも難しいのか、それともそれができるのが肉食系なのか…

いずれにしても難しそうなので、今しばらくは美しいバラを眺めながら草を食んでいよう。