あしたはきっといい日

楽しかったこと、気になったことをつれづれに書いていきます。

2021瀬戸内への旅 その4

2021-12-12 14:40:43 | 旅する

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4日間の旅もこの日が最終日。ホテルで洋朝食をいただき、チェックアウトした。2010年に初めて訪れて以降、高松市内での宿泊は毎回ホテル福屋さんにお世話になっている。繁華街からは離れているものの、それが静かさに繋がり、また規模もそこまで大きくはないからか、お気遣いと行き届いたサービスを受けられる。

キャリーケースを転がしながら、まずは栗林公園に向かった。実は、前日の夜にライトアップを観に来てみたものの、入場待ちが1時間と聞いて早々に退散してしまった。めったに来られる場所でもなく、更にライトアップとなればなかなか観る機会もないと思いつつ、寒さに負けてしまった…ということにしておこう。

そんな話を入口でスタッフの方にしたところ、その方から「朝の早い時間がおすすめですよ」と伺った。慰めでもなく、確かにそう思える景色を堪能した。次の予定があるのでそれほどゆっくりはできなかったけど、観たい場所を歩き、その景色を味わった。

さて、とりあえず高松駅までと思うものの、バスがなかなか来ない。そして、来たとしても途中瓦町を経由するので時間がかかることから、タクシーで駅に向かうことにした。そして、車内でドライバーさんにいろいろお話を伺う。一時よりはだいぶ落ち着いたとはいえ、まだまだコロナ禍が続く中、地域が生き続けていくための地道な取り組みが求められるし、そんな大所高所からの話よりもまず、自分にできることをしなければと思う。

電車の時間より少し前に駅に着きたかったのは、構内にある連絡船うどん店が11月末で閉店すると知ったから。以前2度ほど入ったことがあるが、味が特別という訳ではない。ただ、往時の宇高連絡船を知らない僕でもその名前に過ぎし日への憧れを感じる。

うどんをいただいてすぐにマリンライナーに乗り込み、岡山を目指した。この列車を全区間乗り通したことは今までなかったと思う。瀬戸大橋からの眺めも含め、1時間ほどの鉄道の旅はのんびりと楽しめた。

岡山に着くと人の多さに驚いた。その様子に心配になりつつも、手荷物預り所にキャリーケースを預けてからバス乗り場に向かった。まずは空港行きのバスを確認してから…と、この日は市内の電車バスが無料になるという掲示が券売機にされていた。そうこうしているうちに乗りたいバスが出て行ってしまい、次のバスまで30分あるというので、歩いて向かうことにした。

以前は「桃太郎アリーナ」と言ったその場所を訪ねるのは2回目、ちょうど贔屓チームの試合があるということで予定に加えた。ただ、あっさりと敗けてしまい、とりあえずバスで岡山駅に向かった。同じくファンの方と車中で言葉を交わしながら、推しの選手が去ってしまい観戦に気持ちが入らないことを吐露した。こうしてだんだんと心が離れていくかなと思う一方、近くで試合があれば観に行きたいという気持ちはある。

ところで、岡山に来たらもっと『カムカムエヴリバディ』で溢れているのかと思っていたけど、ほとんど見かけず肩透かしにあったようだった。視聴率はともかく話題にはなっていて、実際僕も毎朝BSで視てから出勤している。

駅から先、バスに乗り続けていたら思っていたところとは違う方に進んでいて、慌てて降りた。そして、後楽園まで歩いて向かった。園内には晴れ着姿の方もいらしたりして、色づいた木々とともに華やいだ雰囲気を感じながら散策した。ただ、空港へのリムジンバスの出発時刻が気になり、そこまでゆっくりはできなかったかな。駅までのバスが大きく遅れてハラハラしたり、焦って路面電車に乗り換えたものの却って時間がかかってしまったりと散々ながら、何とか空港まで向かった。

空港内も多くの人が集まっていた。「満席となるため早めに空港へ」という知らせをもらっていたのでそれ自体は予想していた。ただ、空港内での待ち時間をどう過ごすかが問題で、とりあえずレストランに入ることにしたものの、混雑に加えスタッフの人数を減らしていることから、空席が出来ても次のお客さんをスムーズに案内できない様子だった。店員さんたちが頑張っている姿に、お勘定の際にチップをお渡ししようと思ったけど丁重にお断りされたので、気持ちだけ伝えた。

この4日間は、長いようで短かった。けっこう早くから予定を立てていて、仕事もこの時期なら大丈夫だろうと思っていたものの、だんだんと雲行きが怪しくなってきた。それでも何とか旅立った。コロナがひと息ついたと思える状況になり、またこの間、天候にも恵まれた。そして何より、一期一会も含め人との出会いが楽しかった。次の旅もまたそんな楽しみ方をしたいし、そして、今回の出会いを大切にしたい。

その1はこちら

その2はこちら

その3はこちら

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2021瀬戸内への旅 その3

2021-12-12 14:37:32 | 旅する

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前の晩、寝たのは2時頃だった。寝不足ではないという気にもならないくらいだったけど、それよりも別の気持ちの方が勝っていて、だからしっかり起きられたのかもしれない。

ホテルで慌ただしく朝食をいただいてから、徒歩で高松港へ。乗りたい船は7時40分に出港する土庄行きの高速船。フェリーよりも定員は少ないものの、何とか乗ることができた。

その前に出るフェリーに乗ってゆっくりととも考えたけど、目的地へのバスの乗り継ぎができないことから、この船に乗ることにした。例年なら多くの観光客を乗せているだろうに、船内の空席に運航事業者のことと航路の維持について心配になった。

フェリーの半分近くの所要時間で、高速船は高松と土庄を結んでいる。で、土庄港に着くとすぐ、バスのフリー乗車券を購入し、何とか予定していたバスに乗り込んだ。小豆島には瀬戸内国際芸術祭の際に何度か訪れているけど、名前の割には広い。一昨年訪ねた時は初めて三都半島の先まで行ったけど、内海の島に半島があるということにそもそも驚く。それはこの島がどう形成されたかによるのだろうけど、そこまでの興味は今のところ持っていない。

草壁港でバスに乗り継ぐ。以前、ここから高松に戻ったことがあったけど、その航路は今年3月に休止されている。島には定期旅客航路を持つ港がいくつかあり、それぞれが役割を持っていたと思うけど、この状況下ではその維持にはかなりの負担がかかるのだろうし、先行きも見込めないことからそうせざるを得ないのだろうけど、一方で、船の燃料・動力源についてのブレイクスルーが求められているようにも思う。

そんなことを考えているうちに次のバスがやってきた。久しぶりに木の板張りのバスだった。それを笑い話にする気はなく、経年の長い車両を大事に使うことでコストを抑えている経営努力に頭が下がる。国や自治体は様々な補助金等の施策を行っているけど、公平性が求められるのか、それとも効果ありきなのか。後者の考えに近い僕から見るとちぐはぐ感は否めない。

話がだいぶ脱線してしまったが、以前から「寒霞渓」という文字と言葉の響きに憧れていた。けれども、瀬戸芸の時には作品鑑賞を優先するため、それとセットでない観光地へ足を伸ばすまでいはいかない。そこには小豆島の広さも起因しているけど。

ロープウェイに乗り展望台に向かう。快晴の中、眼下に広がる美しい景色を堪能した。雨だとか天気が悪かったりしたらきっと、別の場所に行っていたかな…などと一瞬思ったものの、すぐにまたその美しい景色に気持ちが向かった。

紅葉の季節が最も美しいと思うし、実際に複数の団体客が訪れていた。その楽しそうな様子を見ながら僕もまた楽しい気持ちになった。で「シャッターお押ししましょうか?」と、最近は遠慮していた声掛けをしてみた。そのタイミングでほんの少しの間マスクを外してもらったその表情にまた、楽しい気持ちが膨らむ。

だけど、強風のおかげであまりにも寒く、乗ってきたバスの折り返しに合わせて早々にロープウェイに乗り込んだ。次回訪ねる際はきっとカフェなども開いているだろうと願い、その時はゆっくりと時間を過ごしたい。

で、予定を早めたことから帰りに立ち寄ろうと思っていたオリーブ公園に向かった。オリーブ園から入り、なだらかな丘を登っていく。冬の服装で身を固めていたためか、暖かい日差しに汗ばむくらいだった。ただ、それもまた心地いい。ところどころに実を残したオリーブの木を見かけながら、オリーブ公園内の建物に入り、早めの昼食をいただいた。インスタ映えを狙って選んだメニューだったけど、インスタにアップするのを忘れてしまった。今からでは… ジュースは甘味が強かったものの、それも含めて美味しくいただいた。

その後、売店に立ち寄りお土産物を物色した。自宅や職場へのものは前日までにほぼ買い揃えていたけど、今晩行く予定にしている場所へ持っていくものを悩みながら選んだ。

次に乗るバスはこの建物のすぐ前に来てくれるので、オリーブソフトをいただいたりしながら待っていた。それなりに多くの人が乗っていたけど、何とか席を確保することができた。ここから先はまた長い。それでも、沿線の見所などをバスの運転手さんがアナウンスで紹介してくれたりして、その時間もまた楽しめた。

二十四の瞳映画村へ向かうバスの本数は限られていて、草壁港付近や醤の里付近で自転車を借りて行ってみようかなどども考えたけど、結局はバスの方が便利だし、それで正解だった。映画『二十四の瞳』はまだ視たことがないけど、子どもたちのその後を描いた作品を少し読んだ記憶がある。敷地内にある壷井栄さんの記念館に立ち寄り、ふとそのことを思い出すとともに、いつの時代も子どもたちを取り巻く環境は厳しく、だけど、それを理由に子どもを世に送り出さないというのも良くないのでは…と、結婚にも子育てにも縁がなかった僕が言うと現実味がないと感じつつも、そう思う。

もう少しゆっくりしたいと思いつつ、お腹の減り具合もそこまでではなかったこともあり、渡船に乗ってオリーブ公園近くまでワープすることにした。前を閉じられないライフベストにも助けられつつも、冷たい風を受けながらの船路は厳しい。で、対岸に着いたちょうどその時、映画村で見送ったバスが去って行ってしまったので、ワープ作戦は失敗に終わった。それでも、当初乗る予定だったバスで土庄港に向かい、今度はフェリーに乗って高松に戻った。

ホテルに荷物を預けてから、繁華街の方に向かう。途中、前日に通りかかり気になったお好み焼屋さんに立ち寄った。古めかしいお店がまた、美味しさへの期待を高める。自分で焼くこともできるようだけど、ここはお店の方にお願いした。頼んだのは「もつ焼」、鶏もつが入ったお好み焼で、初めて食べる。実は前日に行ったお店で教えてもらったんだけど、もつの苦味がアクセントになり食が進んだ。もう一つ行けるだろうと、今度はイカと牡蠣が入ったのをいただいた。こちらもまた、ビールが進む。心地良さとともに店を後にし、次に向かった。

前日連れて来ていただいたスナックを再訪した。すると、お店には数名の女の子がいらしてカラオケを楽しんでいた。お店の女の子にしては若いなと思ったら、ママさんの妹さんとその娘さんだった。期待していたのとは違う展開に一瞬戸惑うも、それもまた楽しいと思えた。小豆島で買い求めたオリーブオイルを彼女に渡すと、しばらくしてそれを使った一品を出してくれた。元々は料理人だそうで、喜んでくれたらと思ったけど、早速僕を喜ばせてくれて、ありがたい。

上の娘さんはいろんな歌を上手に歌っていた。で、僕のリクエストにも応えてくれた。慣れない曲は一緒に口ずさんだりしているうちに、お店に来たのか、大切な人の家族と過ごしているのか、よくわからない感じがして、それもまた心地良かった。僕の姪と同じ歳だそうで、姪も以前よりは口数が少なくなったものの会えばいろいろ話してくれる。そんなことを思い出しながら、そのひとときを楽しんだ。

ご常連さんが来店され、また妹さんたちが帰られ、しばらくしてからお店を後にした。次の晩はもう来られないけど、また近いうちに訪ねたいという気持ちとともに。

その4へ続く

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その2はこちら

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2021瀬戸内への旅 その2

2021-12-12 14:33:04 | 旅する

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二日目。早く起きたつもりがいつもよりも遅く目覚め、旅館の朝食をいただいた。普段はパン食だからということもあるだろうけど、和定食は食が進む。

旅館を後にして、渡辺さんに徳島の祖谷渓まで案内していただいた。途中から僕も運転を担当し、車はやがて吉野川沿いの道に出て、大歩危峡から山側に折れ峠を進んだ。2時間ほどのドライブの後、ようやくかずら橋近くの駐車場に到着した。橋まではそこからさらに歩くというところと、自然の中に巨大な駐車場があるというところに違和感を覚えつつ、橋を渡ってみた。2年前に四国村でミニチュアを渡ったけど、やはり本物は違う。ただ、そこまで怖さを感じなかったのは、高所恐怖症が治ったということだろうか。いや、そんなことはないだろう。

いつかは訪ねてみたかった場所だけど、こういうことがないと行かないままだったかも…と、急な斜面に立つ家々を見ながら思った。もしまた来る機会があれば、今度は列車に乗ってがいいかな。そして、看板を見かけた歩危マートにも立ち寄ってみたい。

その後、大歩危峡の展望台に立ち寄ったのちに高松市内に戻り、渡辺さんとは一旦ホテル近くで別れた。とりあえず下着だけ替えてホテルの方に呼んでいただいたタクシーに乗り高松港へ。で、前日貰った船の時刻表を車の中で見たら、目指した時刻に出発する船がないことに気付いた。こんなこともあるさと強がりながら、高松港のターミナルビルに入っている喫茶店でおにぎりとコーヒーをいただいた。以前も何度か寄っているけど、このお店は入りやすくていい。

16時発の船に乗り、女木島へ。2月に就航した新しいめおんに乗りたいと思っていた。写真や動画では見ていたけど、思ったよりも派手で、思った以上に違和感がなかった。出向前にすでに並んでいる人たちがいて、その後ろで順番を待つ。期間中ずっと冷たい風に吹かれていたけど、この日も例外ではなかった。

さて、船室内は質素ながらも、欄間が飾られていたりして、また清潔な印象を受ける。新しい船だから当然だと言えばそれまでだけど、男木島までの片道40分には必要にして十分な設備を整えている。

しばらくデッキにいたけれど寒さに負けて船室に入った。後ろの方から賑やかな声が聞こえてきたのでそちらに近づいてみると、幼稚園帰りの女の子が何やら他のお客さんと話をしていた。当然ながら一人で通園している訳ではなく、近くでお母さんが様子を見ていたというか聞いていたけど、僕もその中に入り彼女が作るエアー菓子パンやエアーたこ焼きをいただいた。

20分ほどで女木港に到着し、港の近くをぶらぶらしてみた。ところが、夏でも休日でもなく、人とすれ違うことすら稀という感じで、港にあるおにの館で帰りの船を待つことにした。ところが、館内に入ろうとすると1匹の猫が近づいてきて僕の足元に身体を擦り付けてきた。飼いたいと思うほどではないけど猫は好きなので、僕もその状況をしばらく楽しんでいた。すると、館内から出てきた方が猫に餌を与え始めた。その瞬間に猫が何を思っていたのかがわかり、微笑ましくなる一方で少し寂しい感じもした。

高松に向かう船上で、デッキに立ち「せとしるべ」を撮ろうとしたものの、タイミングが合わなかったのか単に忘れたのか、動画は失敗してしまった。この時期にデッキに立つのは寒すぎる。

また一度ホテルに戻り、再び渡辺さんと合流し何度か連れて行っていただいた居酒屋へ。美味しい料理をお腹いっぱいにいただいた。毎度お世話になっているのでこちらは僕持ちで。

で、朝からのロングドライブで疲れていることもあり、ここで解散と思ったものの、この日もスナックに案内していただいた。以前連れて行っていただいたところかな…と思ったけど、初めてのお店だった。数曲カラオケを歌ったのちに渡辺さんはお疲れから運転代行をお願いして帰られた。その後僕はいったんお店に戻り、頃合いを見て帰ろうかと思ったものの、あれこれあって結局閉店まで残ってその後ホテルに帰った。当然ながら、この日も午前様になり、翌日の予定をどうしようかと考えているうちに眠ってしまった。

その3へ続く

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2021瀬戸内への旅 その1

2021-12-12 14:30:11 | 旅する

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旅に出たいという気持ちは、かの松尾芭蕉にも負けないくらいだと思っている。それでも、時間とお金の両方が揃わないと旅に出るには難しい。いや、それはいい訳かもしれない。そして、理由。ただそれは、こじつけでもいいと思う。

さて、そんな旅に出たいという気持ちがなかなか叶えられないここ2年ほど。旅に出られない分、いつか出掛ける日のための資金が溜まっているかと言えば、そうでもない。いや、そうじゃない。一体どこにどう消えていくのか。大きなものは買っていないものの、細かな出費が増えているからだろう。

それでも、僅かずつ貯めておいた分を使って旅に出ようと思った。まだ先が見えない9月初めに航空券を予約した。そして、その前提として大まかな旅の計画を立てた。

海外へ行くのは難しいため、自ずと行先は国内に限られる。行きたいところはいくつもある。これまでに行ったことのない場所をまず選択肢として挙げる前に、頭の中で瀬戸内が行先としてセットされた。またその範囲内でも「どこを訪ねるか」思いを巡らせた。来年また瀬戸内国際芸術祭で様々な島を訪ねるつもりなんだけど、5年前に行った豊島美術館を再び訪ねることにした。

まずは、岡山へ。空の旅を楽しみたかったから、飛行機で行くことにした。

そう、ANAの機内安全ビデオが11月以降、それまでの歌舞伎バージョンから社員の方々が登場するものに変わっていた。「前の方がいい」などといった意見も見かけたけど、僕はこの新しい方が好きだ。安全についてはもとより、今伝えたい事がしっかり伝わってくる。

名古屋あたりまでは快晴で、おかげで雪帽子を被った富士山を上空から眺めることができた。岡山だと新幹線の方が便利なのはわかっているものの、この景色を見るとまた空路を選びたくなる。

やがて飛行機は降下をはじめ、岡山空港に到着した。実質1時間ほどのフライトだったけど、久しぶりの空旅を堪能した。

リムジンバスで岡山駅まで向かい、そこから電車で宇野駅に。2010年以降度々訪れているけれど、宇野を経由するのは初めてだ。つまり、宇高連絡船に乗った経験もない。若い人た日はその言葉を聞いたこともないだろう。

宇野港からフェリーに乗り、豊島に向かった。滞在可能な時間は限られ、また曜日の関係で閉じている施設も少なくなかったので、豊島美術館のほかは景色を愉しむくらいしかできなかった。それでも、そこに行くことこそ本来の目的だったので、充実度は高い。

実際に訪れて感じてほしいので詳細には触れないけど、その空間に包まれながら風の音や光の変化などを感じることで、日常からいったん離れることができる感覚がいい。許されるならもっとゆっくりしていたかったけど、そこは追っかけてくる日常から逃げきれなかったということだろうか。もと来た道を自転車で引き返す。

2010年に初めてこの地を訪ねた時も電動アシスト自転車を借りた。あの時は島を一周したんだけど、途中でバッテリーが切れてしまい重い自転車を押して歩いた記憶が強く残っている。今回は移動距離も短かったけど、一方でバッテリー技術の進化もあったのだろうか…

港近くで遅い昼食をいただいたのち、高速船に乗り高松港に向かった。強風の影響か内海にしては波が荒い中を船は速度を上げて進んでいく。時折激しく揺れるも、船酔いもせず高松港に辿り着いた。

2年前と同様、香川漆器職人の渡辺さんのお世話になり、塩江温泉の宿に向かう。宿に入る前に共同浴場に立ち寄り温泉に浸かり、その後宿で美味しい食事をいただいた。2年前にお箸をいただいたままになっていて、何か贈りたいと思っていた。そして、渡辺さんが作られた蕎麦猪口をお贈りした。冬になると雪も積もると聞いたけど、お客さんがご主人の打つ蕎麦をその蕎麦猪口で味わってくれたらと願う。

食事の後は少し歩いた先のカラオケスナックに。ママさんから地元の名士というか迷士というか、そんな人の話を伺っていたらその方が来られ、和気藹々とした時間を過ごすことができた。というか、僕は途中で寝てしまっていた。まあ、4時起きで移動しっぱなしだったから。ということで、旅の初日を終えた。

その2へ続く

 

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