重松清 著 「ナイフ 」を読みました。
顔を上げろ、少年。
少さな幸福に包まれた家族の喉元に突きつけられる“いじめ”という名の鋭利なナイフ。
日常の中の歪みと救いをビタースィートに描き出す出色の小説集!五つの家族の小さな幸福と苦い闘い―。
タイトル作を含む5作の短編集。
ワニとハブとひょうたん池で ・ナイフ・ キャッチボール日和 ・エビスくん・ ビタースィート・ホーム
どれもイジメの現状が軸となっている。
親に知られたくなくて必死に隠す者、妹のために耐え忍ぶ者、幼なじみを救えない者・・・。
陰湿で卑怯ないじめに対して生徒とその親が闘う話しである。
なかでも、 「エビスくん」が秀逸。
ヒロシにはゆうこという生死の境をさまよっている妹がいる。
生まれたときから心臓につながる血管に異常が見られていて入院生活を余儀なくされているのだ。
ヒロシは病気の妹に、「転入生のエビスくんはめでたい名前やから神様の子孫や、 今度連れてきたる」と約束したのだが、翌日からエビスくんの「俺ら親友や」という名目でのいじめがはじまる。
エビスくんはヒロシ以外とは誰も口をきかずに、あらゆる手段を使ってヒロシを執拗にいじめ抜く。
ヒロシは妹との約束を果たせるのか?
ものすごくリアルで、痛くて、読んでいて辛くなりますが、最後にはかすかな明かりが・・・。
ぐっときます!
坪田譲治賞受賞