池上 司 著 「無音潜航」を読みました。
核廃棄物を使用した爆弾テロで所沢の航空管制センターが壊滅、日本の空は大混乱に陥った。
ほぼ同時にソウルでも不発弾が発見され、北朝鮮の関与が疑われたことから、極東情勢は一気に緊張する。
急報を受け、親善訪問先の大連から帰国の途についた海上自衛隊潜水艦「さちしお」。
だが、黄海で謎の遭難者を救助した途端、激しい攻撃を受けた。
司令部との通信も不可能なまま、圧倒的に不利な状況で、必死に祖国へと向かう乗組員たち。
日米中朝の熾烈な謀略に孤立した乗組員の運命は?
池上 司の作品は「ミッドウェイの刺客」以来の2冊目です。
前作は第二次世界大戦中の史実に基づいた「海軍潜水艦・伊168」の活躍を描いていましたが、本作もフィクションながらかなり面白い。
潜水艦と水上艦艇、潜水艦と哨戒ヘリ、そして日本のディーゼル潜水艦と中国の原子力潜水艦の行き詰まる戦いを描く。
優秀な船長に率いられつつも専守防衛という足かせを背負った日本の潜水艦と、これまた中国の職務に忠実で優秀な船長が指揮する中国の潜水艦の攻防。
お互い武器は使用せず、操艦技量と神経戦で凌ぎ合う。
息詰まるストーリーに手に汗を握る。
そしラストは、結構感動的。
本当にシーンが目に浮かぶとはこの事だ!