この週末、またまた暑さがぶり返しました。
とにかくこの暑さから逃がれようと、手当たりしだい本を読んでいます。
そして、この暑さを一番忘れさせてくれた作品がこれ。
『The Road』
コーマック・マッカーシー
jesterさんのレビュー(*)を読んで興味を持ち、
図書館で検索したらあったので、さっそくリクエスト。
読み始めると・・・、実はなかなか読み続けることができませんでした。
近未来の(たぶん、そう遠くない)話ですが、
とても絵空事とは思えず、人類はいつかこうなってしまうのではないか、
そう思うと、読むのさえつらくなるような、そんな作品だったのです。
今、まさに日常的に感じている地球温暖化、異常気象。
世界を脅かす食料の高騰、土地の砂漠化、水不足。
いつか人類は争いを始めるでしょう。
食料や水、少しでも豊かな土地を求めて。
そして、その争いの果てにあるのは ─ 核戦争。
この作品は、(おそらく)核戦争で世界が破滅し、
すべてが灰に覆われ死の世界となった地球上で、
ひたすら南へと向かう父と息子の物語です。
荒涼とした色彩のない世界。
動物も植物も死に絶え、大地は凍てつき、街は廃墟と化し灰色の雪が舞う。
店も農家もすでに略奪され、食べ物などどこにも見当たらない。
生きながらえたわずかな人々は飢え、人の肉さえ喰らう。
そんなおぞましい世界で、善き者であろうとする少年と
命を懸けて彼を守り通そうとする父親。
彼らはどこへ向かっていくのか。
南へ行けばそこに少しでも希望があるのか。
読みながら、ふたりの結末を案じずにはいられませんでした。
絶望の中で生きるより、死を選んだ少年の母。
彼女のとってはもはや息子も希望となりえなかったのでしょうか。
いつかは自分や息子もレイプされ、殺され、
食べられてしまうかもしれないという恐怖。
日々そんな恐怖の中で、正気で生き続けるほうが難しいのかもしれません。
妻を失い、それでも少年とひたすら南へと向かう父親。
彼にとっては少年が希望であり、神であり、生きるすべてだったのでしょう。
絶望の世界に生まれながら純真無垢な心を持つ少年と、
何度も絶望しながら、「火を運ぶ者」として
息子に生きる希望を与えようとする父。
父親は(そして息子も)確実に訪れる死を予感しているだけに、
淡々と語られるふたりの会話は心を打ちます。
読点がなく、延々と続く文章は読みやすくはありません。
まるで、彼らの果てしない旅を暗示しているようです。
一方で、ふたりの会話は余分なものが削ぎ落とされ、
簡潔で核心をついていて胸に響きます。
(特に、少年の何気ないひとことが・・・)
案じていたラストは、衝撃的であり、感動的でした。
父から息子へと受け継がれる「火」。
人類は、その「火」─ひと筋の希望─があれば、
いつの日か再生できるのかもしれません。
けれど、失われた木々の緑は、青々とした海原は
再び地上に蘇ることがあるのでしょうか。
猛暑や局地的な大雨が襲うこの夏に、
人類の未来についていろんなことを考えさせられる作品でした。
作者コーマック・マッカーシーは、アカデミー賞の作品賞を受賞した映画
「ノーカントリー」の原作『血と暴力の国』の作者です。
この作品も映画化され、父親役をヴィゴ・モーテンセンが演じるとか。
こちらも楽しみですね~
とにかくこの暑さから逃がれようと、手当たりしだい本を読んでいます。
そして、この暑さを一番忘れさせてくれた作品がこれ。
『The Road』
コーマック・マッカーシー
jesterさんのレビュー(*)を読んで興味を持ち、
図書館で検索したらあったので、さっそくリクエスト。
読み始めると・・・、実はなかなか読み続けることができませんでした。
近未来の(たぶん、そう遠くない)話ですが、
とても絵空事とは思えず、人類はいつかこうなってしまうのではないか、
そう思うと、読むのさえつらくなるような、そんな作品だったのです。
今、まさに日常的に感じている地球温暖化、異常気象。
世界を脅かす食料の高騰、土地の砂漠化、水不足。
いつか人類は争いを始めるでしょう。
食料や水、少しでも豊かな土地を求めて。
そして、その争いの果てにあるのは ─ 核戦争。
この作品は、(おそらく)核戦争で世界が破滅し、
すべてが灰に覆われ死の世界となった地球上で、
ひたすら南へと向かう父と息子の物語です。
荒涼とした色彩のない世界。
動物も植物も死に絶え、大地は凍てつき、街は廃墟と化し灰色の雪が舞う。
店も農家もすでに略奪され、食べ物などどこにも見当たらない。
生きながらえたわずかな人々は飢え、人の肉さえ喰らう。
そんなおぞましい世界で、善き者であろうとする少年と
命を懸けて彼を守り通そうとする父親。
彼らはどこへ向かっていくのか。
南へ行けばそこに少しでも希望があるのか。
読みながら、ふたりの結末を案じずにはいられませんでした。
絶望の中で生きるより、死を選んだ少年の母。
彼女のとってはもはや息子も希望となりえなかったのでしょうか。
いつかは自分や息子もレイプされ、殺され、
食べられてしまうかもしれないという恐怖。
日々そんな恐怖の中で、正気で生き続けるほうが難しいのかもしれません。
妻を失い、それでも少年とひたすら南へと向かう父親。
彼にとっては少年が希望であり、神であり、生きるすべてだったのでしょう。
絶望の世界に生まれながら純真無垢な心を持つ少年と、
何度も絶望しながら、「火を運ぶ者」として
息子に生きる希望を与えようとする父。
父親は(そして息子も)確実に訪れる死を予感しているだけに、
淡々と語られるふたりの会話は心を打ちます。
読点がなく、延々と続く文章は読みやすくはありません。
まるで、彼らの果てしない旅を暗示しているようです。
一方で、ふたりの会話は余分なものが削ぎ落とされ、
簡潔で核心をついていて胸に響きます。
(特に、少年の何気ないひとことが・・・)
案じていたラストは、衝撃的であり、感動的でした。
父から息子へと受け継がれる「火」。
人類は、その「火」─ひと筋の希望─があれば、
いつの日か再生できるのかもしれません。
けれど、失われた木々の緑は、青々とした海原は
再び地上に蘇ることがあるのでしょうか。
猛暑や局地的な大雨が襲うこの夏に、
人類の未来についていろんなことを考えさせられる作品でした。
作者コーマック・マッカーシーは、アカデミー賞の作品賞を受賞した映画
「ノーカントリー」の原作『血と暴力の国』の作者です。
この作品も映画化され、父親役をヴィゴ・モーテンセンが演じるとか。
こちらも楽しみですね~