デキルヤツノ条件 9:サムライとだけは言われたくない (日経ビジネスオンライン) - goo ニュース
本記事は、一刀両断に”侍”を切り捨てているのですが、この切り方が、お侍さんよりも余程情け容赦がないように思えましたので、ここでは、お侍さんの擁護をしてみようと思います。
第一に、お侍さんは、もとより自ら望んで人の命を奪うことに躍起になっていたわけではありませんでした。古今東西を問わず、現代国家のような軍隊や警察組織がない場合には、人々は、自衛せざるを得ません。日本国の武士の台頭も、平安後期に至り、朝廷の治安維持機能が低下し、窃盗や暴力集団が横行し、領地さえ守れなくなったためと説明されています。戦国期には乱世となって、天下争いに発展しましたが、これとて、民主的制度によって選挙による政権交代がない時代にあっては、戦いをもってしか他に手段がなかったのです。
第二に、現在の政界や官界に見られる世襲制や役得などを批判するために、侍を持ち出すことにも無理があると思うのです。江戸時代のお侍さんのほとんどは、貧乏状態で、町人や農民の方がはるかに生活には困らなかったはずです。”武士は食わねど高楊枝”ということわざも、日々の暮らしに困っていても、卑屈になってはならない、という精神性の表れとも取れます。むしろ、現代の政官界の人々にも、この清貧さは見習っていただきたいと思うぐらいです。
第三に、お侍さんは、人の命を殺めることに対する罪の意識を抱いていたことです。もし、人殺しが平気ならば、武士道と言うものは生まれてこなかったことでしょう。戦いとなった以上は、相手の命をとらなければならない、あるいは、戦いに自らの命を落とすかもしれない、それが宿命ならば、死というものを、できる限り尊厳あるものにしようとする意識が、武士道には働いているのです。もちろん、これを死の美化として退けることは容易ですが、彼等は、野蛮であるはずの命のやり取りを、極限の精神美学にまで高めることによって、死を受け入れる覚悟と作法を編み出していったのです。そこには、誰もが恐れる死と真正面から取り組もうとする壮絶な気迫さえが伺えます。
如何なる仕事にも、それに相応しい道があるものです。日本人は、何事をも”道”にしてしまう、と評されますが、商人にも石門心学があるように、お侍さんとて、自らの仕事に武士道という道を見出したのです。むしろ、現在という時代において、”政治道”や”官僚道”がないことを、いたく寂しく思うのです。
よろしければ、クリックをお願いいたします。
本記事は、一刀両断に”侍”を切り捨てているのですが、この切り方が、お侍さんよりも余程情け容赦がないように思えましたので、ここでは、お侍さんの擁護をしてみようと思います。
第一に、お侍さんは、もとより自ら望んで人の命を奪うことに躍起になっていたわけではありませんでした。古今東西を問わず、現代国家のような軍隊や警察組織がない場合には、人々は、自衛せざるを得ません。日本国の武士の台頭も、平安後期に至り、朝廷の治安維持機能が低下し、窃盗や暴力集団が横行し、領地さえ守れなくなったためと説明されています。戦国期には乱世となって、天下争いに発展しましたが、これとて、民主的制度によって選挙による政権交代がない時代にあっては、戦いをもってしか他に手段がなかったのです。
第二に、現在の政界や官界に見られる世襲制や役得などを批判するために、侍を持ち出すことにも無理があると思うのです。江戸時代のお侍さんのほとんどは、貧乏状態で、町人や農民の方がはるかに生活には困らなかったはずです。”武士は食わねど高楊枝”ということわざも、日々の暮らしに困っていても、卑屈になってはならない、という精神性の表れとも取れます。むしろ、現代の政官界の人々にも、この清貧さは見習っていただきたいと思うぐらいです。
第三に、お侍さんは、人の命を殺めることに対する罪の意識を抱いていたことです。もし、人殺しが平気ならば、武士道と言うものは生まれてこなかったことでしょう。戦いとなった以上は、相手の命をとらなければならない、あるいは、戦いに自らの命を落とすかもしれない、それが宿命ならば、死というものを、できる限り尊厳あるものにしようとする意識が、武士道には働いているのです。もちろん、これを死の美化として退けることは容易ですが、彼等は、野蛮であるはずの命のやり取りを、極限の精神美学にまで高めることによって、死を受け入れる覚悟と作法を編み出していったのです。そこには、誰もが恐れる死と真正面から取り組もうとする壮絶な気迫さえが伺えます。
如何なる仕事にも、それに相応しい道があるものです。日本人は、何事をも”道”にしてしまう、と評されますが、商人にも石門心学があるように、お侍さんとて、自らの仕事に武士道という道を見出したのです。むしろ、現在という時代において、”政治道”や”官僚道”がないことを、いたく寂しく思うのです。
よろしければ、クリックをお願いいたします。
