万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

婚外子急増―複雑化する人間関係

2011年01月23日 15時43分48秒 | 社会
イタリアで婚外子が急増 20年には50%に(産経新聞) - goo ニュース
 欧州諸国では、キリスト教の影響力低下と個人主義の浸透のためか、婚外子が急増しているそうです。個人のレベルからみますと、面倒な家族関係からの解放を意味するかもしれませんが、婚外子が大半を占める社会もまた、人間関係が複雑になりそうです。

 おそらく、婚外子の増加傾向は、離婚数の増加とも比例しており、法律手続きを要する離婚結婚を繰り返すよりも、事実婚の方が気楽であることは確かです。正式な婚姻ともなりますと、配偶者に対して様々な法律上の義務を負いますし、離婚に際しても、慰謝料などの法律上の負担が生じます。親の代は、自由を謳歌できるものの、子供たちにとりましては、幸福な子供時代が約束されるわけではありません。何故ならば、実の父母の他に、ステップ・ファーザーやステップ・マザーが複数出現する可能性があるからです。このことは、実の父母のどちらかとは、必ず別れなければならない運命を意味しています。また、『白雪姫』や『シンデレラ』のお話は、継母による”いじめ”がテーマであり、血縁関係のない親子関係は、虐待の原因にもしばしば挙げられています。つまり、子供たちは、常に、日常的な”いじめ”の恐怖にさらされることになるのです。また、連れ子となる子供たち同士の関係も複雑になります。

 もちろん、人格に優れたステップ・ファーザーやステップ・マザーであれば、全ての子供たちを慈しんで育てることでしょう。しかしながら、現実には、虐待問題がありますので、安心はできないのです。日本国でも、少子化を防ぐために、婚外子の増加を奨励する意見も聞かれますが、その行く先は、必ずしもバラ色ではないように思えるのです。

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コメント (2)
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