万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

ルノー機密漏洩事件―もし日中合併企業であったならば

2011年01月08日 16時29分07秒 | 国際経済
ルノー機密漏洩 EVの心臓狙い「戦争」(産経新聞) - goo ニュース
 各国の自動車メーカーが開発に鎬を削るEV。ルノー日産は、高性能電池や出力制御技術で先を走ってきたものの、幹部の背任によって、中国に技術情報が流出したらしいのです。

 この事件は、日仏企業の共同開発の過程で発生しましたが、もし、狙われた高度先端技術が、中国との合併企業や共同開発事業であった場合はどうでしょうか。フランス政府は、1996年に民営化された後も、ルノーに対して15%の株式を保有しており、対中技術流出に対する政府の危機感が、この事件を明るみにしたとも言えます。しかしながら、手を組んだ相手が中国企業となりますと、こうした事件は、より頻繁に起きるか、あるいは、既に起きているかもしれません。買収側も収賄側も中国人となり、双方とも中国の国益優先で一致しているのですから。秘密裏に技術情報が漏れ、表にも出ない可能性すらあるのです。

 実際に、次世代の有力産業については、中国当局は、自国企業との合併を条件に現地生産や現地販売を許可する場合も多いと聞きます。長い年月と巨額の費用をかけて積み上げてきた技術力を失わぬよう、企業は、警戒を怠ってはならないと思うのです。

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コメント (2)
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