万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国が目指すべきアジアの国際秩序とは

2011年01月05日 16時18分28秒 | 日本政治
自衛隊、東南アジア諸国支援…来年度から(読売新聞) - goo ニュース
 中国の急速な台頭によって、しばしば日本国の影は薄くなったと指摘されています。このままでは、過去に葬られたはずの華夷秩序が、強大化した軍事力と経済力を背景に、早晩、アジアに蘇るとも限りません。

 おそらく、中国が目指すアジアのモデルとは、栄えある中華帝国の復活なのでしょう。しかしながら、中心に位置する中国に対して、周辺諸国が服属するという国際秩序の形態が、現代という時代には相応しくはありません。非民主的な中国の国家体制が非難を浴びているように。アジアの未来を、覇権志向の共産主義国家、中国の手に委ねるべきではなく、冊封体制の外側にあり、いち早く近代化を成し遂げた日本国には、これを防ぐ役割があると思われるのです。

 日本国が目指す構想、それは、主権平等と民族自決の原則を尊重し、自由と民主主義を基盤とした国際秩序を構築することではなかと思うのです。そのためには、日本国は、全ての諸国を内面から強化すべく、諸外国の統治能力の向上に貢献し、周辺諸国が中国の覇権主義に呑みこまれないように、統治面における政府支援に努める必要があるのではないでしょうか。ODAの供与と同じくらい、制度や政策面での支援は相手国の発展に寄与します。

 防衛省は、2011年度から東南アジア諸国に対して支援を行うと報じられていますが、安全保障を含めて、国政の安定や治安の維持に関するノウハウや知識を伝授することは、この構想の実現に向けての第一歩となります。21世紀がアジアの時代であるならば、それは、前近代的な華夷秩序の再来であってはならないと思うのです。

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