万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

エジプト反体制デモは西欧とイスラムの和解をもたらすのか

2011年01月30日 15時23分20秒 | 中近東
デモ参加者への暴力回避を=エジプト大統領に訴え―英仏独首脳(時事通信) - goo ニュース
 大規模な反体制デモの発生により、退陣を迫られているムバラク大統領。ここにきて、アメリカ政府と英仏独首脳が、相次いで国民の要求に理解を示したことは、中東情勢の転機となる可能性を秘めています。

 これまで、ムバラク政権は親米政権として知られており、欧米諸国もまた、中東の安定を理由に当政権を支持してきました。しかしながら、その陰で、エジプトの政権腐敗と独裁化が進行し、国民の激しい怒りを買うことになったのです。これまでのスタンスから予測しますと、欧米諸国が、ムバラク政権の負の部分に目をつむり、擁護を表明することもあり得たのですが、今度ばかりは違うようです。むしろ、エジプト国民の側に立ち、その要求を受け入れるように、ムバラク大統領に迫ったのですから。当然に、大統領がこの要求をはねつければ、政権崩壊と新政権の樹立は、俄然、現実味を帯びてきます。

 エジプト情勢における欧米諸国の方針転換は、イスラム教徒の西欧に対する敵意を緩和し、あるいは、両者の歩み寄りを促すことになるかもしれません。2011年は、歴史を画くする年となるかもしれないのです。

よろしければ、クリックをお願い申し上げます。


にほんブログ村 政治ブログへ
にほんブログ村

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする