万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

全面的な死刑廃止はあり得ない

2011年01月24日 18時15分47秒 | 社会
海賊退治で名誉挽回 韓国“アデン湾の快挙”にわく   (産経新聞) - goo ニュース
 韓国軍によるアデン湾での海賊退治の一件は、韓国国内では、あたかも北朝鮮との代理戦争に勝利したかのように、国民こぞって歓喜に沸いているそうです。海賊退治はお手柄なのでしょうが、海賊8人射殺という情報を聞いて思い浮かんだことは、全面的な死刑廃止はあり得ない、ということです。

 死刑廃止問題と海賊退治は、一見、全く無縁なように見えますが、現代の海賊が強力な重火器などを携えているとはいえ、国際協力による海賊退治は戦争ではなく、海上保安の任務であることを考えますと、海賊の射殺は、裁判前の死刑執行を意味します。たとえ死刑を廃止している国であっても、人質立て篭もり事件やハイジャック事件などでは、人質や乗客の身の安全を確保するために、警察や特殊部隊が犯人を射殺することがあるのです(韓国でも、死刑執行は停止されているらしい…)。つまり、ある種の犯罪については、即刻の死刑執行があり得るのです。

 このように考えますと、死刑廃止とは、厳密に言えば、裁判所の判決による死刑の廃止ということになります。凶悪事件を起こしながら、生きて逮捕された犯人だけは、死刑を逃れることができるのです。我が国でも、死刑廃止論が唱えられていますが、犯人射殺という死刑もあることに留意すべきと思うのです。

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コメント (4)
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