万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

司法で勝って政治で負けた小沢氏

2012年05月01日 15時23分29秒 | 日本政治
本社・FNN合同世論調査 小沢氏代表選出馬、7割否定的(産経新聞) - goo ニュース
 ”負けて勝つ”という言葉がありますが、その逆に、世の中には、”勝って負ける”こともあります。陸山会事件の経緯を見ていますと、小沢氏は、裁判には勝ちましたが(まだ無罪が確定したわけではないようですが…)、政治的には負けたのではないかと思うのです。

 無罪判決が言い渡された瞬間、小沢氏とその支持者の人々は、これで、晴れて政界への復帰が実現し、あわよくば、民主党の代表選に立候補して首相の座を狙えると喜んだことでしょう。一部のマスコミの論調にも、小沢待望論がないわけではありませんでした。しかしながら、判決文の内容が、小沢氏は限りなく黒に近く、疑わしきは罰せずの精神で臨んだことを明らかにしていますので、氏に対する疑惑は一向に晴れず、誰もが、小沢氏を”灰色の人物”と見なすことになったのです。実際に、世論の反応を見ますと、小沢氏の代表出馬には、7割が否定的とのことであり、潔く政界から退いてもらいたいと考えている国民も少なくはありません。

 無罪判決を受けたとしても、小沢氏が、政治資金管理団体を利用して不動産売買を繰替えしてきた事実も消えるわけでもなく、むしろ、ダーティーなイメージが染みついてしまいました。裁判での無罪判決は、一見、小沢氏有利に見えて、その実、氏の政治生命に打撃を与えたのではないでしょうか。

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コメント (6)
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