万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日中韓の国債持ち合い―財政危機の連鎖経路か

2012年05月03日 15時35分32秒 | 国際経済
 報道よりますと、安住財務大臣は、中国の国債購入に続いて、韓国の国債も購入し、日中韓で国債の持ちあい体制を築くそうです。この政策、財政・金融危機の連鎖経路を、わざわざ造るようなものなのではないかと思うのです。

 EUでは、ギリシャ発の財政危機がユーロ導入国に波及し、一国の危機が国内に留まらず、他の加盟国にに広がり、国際問題化することを示しました。国債の持ちあいは、通貨統合とは違いますので、同列に論じることはできませんが、EUと同様に、三国の内の一国でも財政危機に陥りますと、即、他の二国に波及することには変わりがありません。相手国の財政危機は、自国の保有する国債の価値を下落させ、損失を与えることになるからです。しかも、中央銀行の金融政策が不透明でルーズな国ほど、相手国に対して不利益を与える行動をとる可能性が高くなります。これまでの中国や韓国の財政、ならびに、金融政策を観察した限りにおいては、日本国だけが損害を蒙ることも、大いにあり得ることなのです。中国も韓国も、反日を国是としている国であることを考慮しますと、日中韓の国債持ち合いは、連鎖リスクを抱え込むという意味において、メリットよりもデメリットの方が上回るのではないでしょうか。

 損失リスクがあるにも拘わらず、安住財務大臣は、この点について、国民に対しては何も説明しておりません。国会にも諮らずして決定したとしますと、財政を預かる大臣として無責任なのではないかと思うのです。


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