万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

計画停電―暑さには耐えられても失業には耐えられるのか

2012年05月08日 18時07分47秒 | その他
計画停電や使用制限令も…夏対策、来週にも決定(読売新聞) - goo ニュース
 嘘か真か、毎日新聞が実施した世論調査では、大飯原原発の再稼働に63%の人が反対し、夏季に電力使用制限が発令されても、74%が我慢できると回答したそうです。

 この世論調査、設問が適切ではないと思うのです。その理由は、電力の供給不足と電力料金の値上がりの影響は、国民の”暑さの我慢”に留まらないからです。アンケートに”我慢できる”応えた人々は、エアコンの使用を制限すれば、夏を越えられると考えたのでしょう。しかしながら、電力危機に対して企業が本格的に製造拠点の移転を始めますと、職場が失われるとともに、国民の所得レベルも低下します。国際競争力も低下するのですから、グローバル市場でのシェアも縮小し、エルビータの二の舞となる企業も現れるかもしれません。世論調査を行うならば、目先のことではなく、経済や国民生活に与える長期的なマイナス影響についても、慢できるのか、尋ねるべきなのではないでしょうか。

 世論調査は、設問を巧みに操作することによって、結果を誘導できるとされています。毎日新聞社の基本的なスタンスは脱原発なのでしょうが、マスコミの世論誘導ほど、国民を不幸に追いやるものはないことを、歴史が教訓として教えているのですから。

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コメント (10)
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