万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

橋下市長の原発稼働反対は市民への罰?

2012年05月28日 15時30分20秒 | 日本政治
大飯原発、フル稼働は節電開始に間に合わず(読売新聞) - goo ニュース
 本日のブログは、いささか不穏なテーマとなりますが、橋下市長のエネルギー政策を観察していますと、原発再稼働反対は、大阪市民への罰なのではないかと思えてくるのです。何に対する罰かと言いますと、大阪府民が、太陽光発電施設の設置義務化に反対したからです。

 橋下市長のブレーンには、太陽光発電発電推進派の飯田哲也氏やソフトバンクの孫氏の名が挙がっており、橋下氏は、筋金入りの原発反対派と言うよりも、再生エネ推進派なのでしょう。原発再稼働阻止の動機も、原子力発電を止めることが、再生エネ普及の追い風になると共に、大幅な再生エネ導入を正当化できるからです。ところが、橋下氏は、大阪府知事時代に、太陽光発電施設の設置義務化を提案したところ、世論調査を実施した結果、住民の88%が反対したために頓挫してしまった、という苦い経験をしています。政治権力を用いて住民に強制する試みでしたが、世論の反対の前に諦めざるを得なかったのです。こうした経緯を考慮しますと、橋下市長は、原発稼働停止により、暑さに音をあげた住民が太陽光発電施設の購入に走るのを待つか、あるいは、自らの方針に従い自発的に購入した人々さえ暑さが凌げればよいと考えているのかもしれません。罰を受けるのは、太陽光発電を導入しなかった一般の人々なのです。

 大飯原原発の再稼働は、節電の開始に間に合わないとも報道されていますが、関西のうだるような暑さの中で、涼しげな太陽光発電導入家庭と、無理な節電と熱中症のリスクを負わされた一般家庭とが、軒を並べている光景は、政治の失敗の象徴ではないかと思うのです。

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コメント (6)
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