万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

再生エネの欠陥制度-問われる民主党政権の責任

2014年10月19日 15時09分24秒 | 日本経済
小渕経産相辞任へ=「政治とカネ」で引責―首相側に伝達・20日にも表明(時事通信) - goo ニュース
 菅前首相が自らの辞任と引き換えに、国会で可決・成立された再生エネ法。この制度、遂に限界に達し、抜本的な見直しを迫られる状況に至っております。

 再生エネの高値買取制度は、導入時に際して既に重大な欠陥が指摘されておりました。先行して導入したドイツやスペインでは、この時、既にマイナス面が表面化していたのですから、民主党政権の見切り発車の裏には、菅前首相と太陽光発電事業への参入を狙うソフトバンクとの利権絡みの癒着を疑う声もあったのです。通常、先例から行き詰ることが始めから分かっている制度は導入しないものです。不自然で不合理なことには、必ずや何らかの良からぬ思惑が隠れているものですが、この責任は、一体、誰が取るのでしょうか。再生エネ法では、良質の電力供給を安定的に提供する必要性から、電力会社に買い取りを拒否できる権利を認めており、法案が早期に成立したのも、この権利が明記されたからとされています。ですから、今般の電力会社の権利行使は驚くことではないのですが、太陽光発電事業への参入のために既に多額の投資を行ってしまった事業者からは、怨嗟の声も上がっています。再生エネ法を政治的取引まで駆使して強引に通した”つけ”は、結局、後発参入組が、無駄な投資という形で払うことになったのですから(この点、制度の見直しに際しては、最も”得”をした先行組からの買い取りを制限する案は良案…)。その一方で、一般の消費者にとりましては、当制度による電力料金の値上げに歯止めがかかりますので、歓迎すべきことでもあります。再生エネを普及させるためには、価格低下化を促すメカニズムを備える必要がありますし、経済や国民に負担を押し付ける政策は悪政と言うものです。

 民主党は、小渕経産相の政治資金問題を厳しく追及しておりますが、自らの政権時に残した負の遺産については、素知らぬふりを決め込んでいるようです。今般の辞任騒ぎが、制裁エネ制度の見直しを遅らせることがないよう願うばかりです。

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