万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

皇室問題ー悪しき”大人の嘘”

2017年06月02日 09時26分00秒 | 日本政治
官房長官 天皇のお気持ち表明 憲法に抵触せず
 報道によりますと、天皇譲位(退位)に関する特例法に関する衆議院運営委員会の審議において、菅官房長官は、昨年”天皇のお気持ち表明は憲法に抵触していない”とする見解を示したそうです。しかしながら、本法律案の成立過程をつぶさに見つめますと、この見解は、悪しき”大人の嘘”としか言いようがないのです。

 菅官房長官は、「法案の趣旨規定にある、国民が天皇陛下のお気持ちを理解して、これに共感しているという現状は、国民の受け止めであり、天皇陛下のお言葉と直接、関係するものではなく憲法上の問題はない」とも説明しております。苦し紛れの説明なのですが、昨年8月8日の譲位(退位)表明にあっては、確かに高齢による体力や気力の衰えは、定年退職一般と同様に国民の理解を得たことでしょう。ところがその後に至り、”上皇”の活動は縮小せず、上皇を補佐する宮内庁の体制も現状通りという方針が明らかとなり、騙されたと感じた国民も少なくなかったはずです。すなわち、’国民の天皇への共感’とは、高齢による体力と気力の衰えという点に対してのみであり、活発な’上皇活動’がこの点を否定しているとなりますと、自ら”国民の共感”の前提を破壊しているのです。そして何よりも、”国民の共感”があれば憲法違反ではない”とする解釈は日本国の憲法秩序を根底から切り崩しかねず、立憲主義の下では法律が憲法を越える手法は禁じ手なはずなのです。

 天皇に対する国民の崇敬心の根底には、天皇は神の子孫であり、天孫である天皇が祭祀を司ることで、日本国に安全と安寧をもたらすとする一種の信仰心がありました。しかしながら、今般に至り、天皇自身が祭祀を疎かにし、周囲の政治家達が天皇の責任を回避せんがために、”大人の嘘”で憲法違反を誤魔化すようでは、日本国にとりまして、皇室は、もはや道徳上のお手本でも、良き影響を与える存在でもなくなります。教育上もよろしくなく、国民の多くは、現皇室は尊き神の子孫であるはずはない、と確信することでしょう。昭和天皇によって人間宣言が発せられたにも拘わらず、国民の内面において保たれてきた神話は、遂にフィクションと化して完全に消え去るのです。

 天皇譲位(退位)問題に限らず、皇室周辺には悪しき”大人の嘘”で満ち溢れており、民間人との婚姻が増加するほど、”開かれた皇室”どころか、逆に”菊のカーテン”ならぬ’悪のカーテン’は分厚く重くなるばかりです。カーテンの裏側は、暗闇かもしれません。マイナス情報は徹底的に統制され、新興宗教団体の信者動員と演出によって辛うじて権威が演出されている現状は、古来の天皇と民との関係とは異質な世界です。”国際勢力”をバックとした現皇室によって内部から歴史的な天皇が滅ぼされるという本末転倒の事態が、今日、国民の目の前で起きようとしているように思えるのです。

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コメント (8)
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