万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

国民と向き合わない米民主党

2021年01月11日 11時00分46秒 | 国際政治

 アメリカ大統領選挙をめぐっては、目下、トランプ陣営がバイデン陣営側の不正選挙を民主主義、並びに、国家の安全を損なう行為として追及する一方で、バイデン陣営は、トランプ支持派とされる過激派集団による国会議事堂占拠事件を以って前者を激しく批判しています。憲法修正第25条の発動の検討に加え、下院では、11日にもトランプ大統領に対する弾劾裁判の手続きを開始するとも報じられていますが、こうした民主党のヒステリックな反応、並びに、政治的粛清を想起させる行動は、果たして、その多くが不正選挙を確信しているアメリカ国民を納得させることができるのでしょうか。

 

 昨日の記事でも書きましたように、問題の焦点は不正選挙にあります。不正選挙の有無がどちらに正義があるのかを決するのであり、民主党側の主張も、この点を明確にしない限り、誰をも納得させることができないのです。おそらく、民主党は、トランプ大統領をアメリカ政界から永久に追放すれば、自らの‘勝利’となると考えていることでしょう。トランプ排除が目指すべき目標であり、自らが設定した‘勝利条件’であるからこそ、民主党側は、過剰反応とも言える手段に訴えてでも、トランプ大統領をその座から降ろしたいのです。

 

 現実には、修正第25条による免職も弾劾裁判による辞職も共にハードルが高く、成立する見込みは薄いそうなのですが、今般の米民主党の動きは、同党が、如何に国民を軽視しているのかをも物語っています。何故ならば、たとえトランプ大統領を‘粛清’したとしても、国民の民主党に対する不信感を払拭することができないからです。むしろ、政界の動きと連動したマスメディアの偏向報道やSNS規制を目の当たりとすれば、米民主党を、共産党と類似した全体主義志向の政治集団と見なす国民の数は増えることでしょう。 ‘中国電視台’や‘人民日報’といたメディア各社が全て共産党の宣伝機関、かつ、世論誘導装置に過ぎず、SNSも厳格な統制下に置かれている中国のように、アメリカでも、自由主義国家とは名ばかりであり、社名や社屋がそれぞれ違い、民間企業であったとしても、何れもある特定の組織(ドミニオン)の支配下にあるかのようです。両国の間には、‘一頭独裁’か‘多頭独裁’かの違いしかないのかもしれないのです。

 

 米民主党の行動は、‘民主主義の擁護’を口実として自己正当化しながらも、アメリカ社会全体の変化に注目しますと、明らかに全体主義体制への道を敷いているとしか言いようがありません。冤罪や言いがかりによる政治的パージ、政治裁判、言論統制、フェイクニュースの発信は、これまで全体主義国家の悪しき特徴として批判の的となってきましたが、自由主義国家にあっても、この特徴が顕著に現れ始めているのですから。

 

 しかも、不正選挙の背景には、今ではバチカンの名さえ上がっているように、中国や米民主党をもコントロール下に置く超国家組織が蠢いているとも指摘されています(日本国の与野党とも同組織に組み込まれているのでは…)。マスメディアは陰謀論として片付けようとしていますが、こうした存在を想定しなければ説明のつかない現象が数多く見受けられます。そもそも、政党、メディア、IT大手の‘一致団結’した行動こそ、同一の組織的指揮命令系統なくしてはあり得ないのです(因みに、ワクチン接種が始まったタイミングで、世界各地において同時に、「感染力の増強」という点が共通している変異種が出現する現象も不可解な出来事の一つ…)。

 

 アメリカ大統領選挙を機に、アメリカ国民の多くは、民主党員や民主党のサポーターでさえ不正選挙を確信し、最早、民主党を信頼できなくなっているかもしれません。支持者の離反こそ民主党最大の危機のはずなのですが、当の民主党は、トランプ大統領の排除に血眼となり、国民からの向けられている視線は眼中にないのです。それとも、支持者を失っても、将来に亘って不正選挙で政権を得ることができると考えているならば、なおさら以って民主主義を語る‘民主主義の裏切者’となりましょう。

 

 ‘国民のため’という民主主義を基準として判断するならば、不正選挙を暴こうとしているトランプ陣営に分があります。仮に、バイデン陣営が議会占拠の廉でトランプ大統領を政界から追放したとしても、政権の民主的正当性に関わる不正選挙問題は残るからです。つまり、米民主党が、国民のための政治を目指す真に民主主義の擁護者であるならば、国民の最大の関心事である不正選挙問題について、中立・公平的な機関に徹底的な調査を委託し、国民の前に自らの潔白を証明してもらわなければならないのです。

 

 もっとも、仮に、トランプ陣営側にも不正選挙があったとすれば、アメリカ国民は、上述した超国家組織が左右両派を操っていたものとして猜疑心をさらに深めるかもしれません。議会に乱入した右派過激派は、アンティファやBLMのメンバーではなくとも(偽旗作戦…)、同超組織によって結成された実働部隊かもしれないのですから。結局のところ、アメリカ政界そのものが汚染されており、一般国民から構成される中間層が支持政党を失うという形で民主主義が危機に晒されている実態は、アメリカも日本も変わりはないのかもしれないのです。

 

 何れにしましても、民主主義を掲げる以上、米民主党は、アメリカ国民に対して真摯に向き合い、不正選挙問題を最優先に取り組むべきなのではないでしょうか。このままでは、たとえ形式的には‘選挙に勝利’したとしても、米国民主党は、国民からの信頼を失うことにより、‘勝って負ける’という展開になるのではないかと思うのです。


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