万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

フランス革命とアメリカ大統領選挙

2021年01月17日 11時10分10秒 | 国際政治

アメリカは、どこに向かおうとしているのでしょうか。今や民主党は、左派の‘革命政権’としての本領を発揮しつつあります。しばしば、今般の国政の混乱は、フランス革命に擬えられる見解が散見されますが、ネット上には、「トランプの忠臣、上院8人衆が断頭台に」というタイトルの記事が目を引きます。選挙人確定作業において異議を唱えた8人の共和党議員が‘吊し上げ’に遭っている現状は、フランス革命時におけるアンシャン・レジーム側の人々に対する‘大量虐殺’を彷彿とさせます。

 

フランス革命において留意すべき点は、革命後にあってフランスに訪れたのは、一般の民衆が‘革命’に託した民主的で自由な国家ではなく、ロベスピエールによる恐怖政治であったことです。同時期にあって、フランスでは粛清の嵐が吹き荒れ、フランスでは多くの無実の人が‘反革命’を理由に投獄され、断頭台の露に消えています。フランスの伝統や慣習は悉く否定され、暦の名称まで革命政権の命令一つで変えられてしまったのです。そして、国民を震え上がらせたロベスピエールの恐怖政治を終わらせたのは、‘民衆の力’でも‘民主主義’ではなく、ナポレオン・ボナパルトによる軍事独裁であったのですから、フランス革命の歴史は矛盾とアイロニーに満ちているのです。

 

フランス革命の経緯を思い起こしますと、歴史は繰り返しているようにも思えます。否、同一のシナリオが現代という時代を舞台として再演されているのかもしれません。もっとも、フランス革命と今般のアメリカ大統領選挙には、違いがあるようにも見えます。‘現代版フランス革命’は、広範な国民の支持がない‘奇妙な革命’であるからです。

 

アメリカ大統領選挙では、不正選挙の問題を別としても、国民の凡そ半数がトランプ大統領に投票しています(民主党側による不正選挙があったのであれば、さらに多くのアメリカ国民が共和党トランプ政権を支持しているはず)。アメリカの分断が指摘されているように、フランス革命時のような‘国民の熱狂と団結’は見られないのです。バイデン氏は、アメリカ史上最高の得票率を以って当選したと報じられていますが、実際には、国民的な人気はなく、米民主党内にあってさえ支持率は低いそうです。むしろ、不正選挙問題のみならず、ハンター氏のチャイナ疑惑もありますので、‘ご祝儀相場’として高支持率など期待できるはずもありません。マスコミは、トランプ大統領の支持率低下を嬉々として報じていますが、バイデン氏に対する支持率の報道は殆ど見られないのも、こうした事情があるからなのでしょう。不正選挙が事実であれば、米民主党こそ‘国民の敵’となりますので、米民主党は、フランス革命のように‘民衆の勝利’を自称することができないのです。

 

両者の間で見られるこうした相違点も、近代史に刻まれた歴史的事件の多くが同一の母体によって仕向けられていたと想定しますと、あるいは、辻褄の合うのかもしれません。今日に至り、フランス革命もまた、超国家組織の主体となる特定の金融・産業財閥グループとその‘鉄砲玉’となる過激派が結託した歴史劇であった実態が明るみになりつつあります。しばしば、犯罪の捜査にあって、警察には‘犯人の目星を付けるには、先ずはその手口を見よ’と言う教えがあるそうですが、得てして犯罪者というものは、同一の手法を繰り返す傾向にあるからなそうです。アメリカ大統領選挙を通しても、こうした構図は明らかにされたとも言えるかもしれません。真犯人は決して表に出ることはなく、シナリオ通りに事態を誘導するよう宣伝・煽動機関を設けると共に、密かに過激派を結成し、その暴力を以って相手を攻撃する口実や既成事実を造ってしまうのです。この‘過激派’は、敵対構図にあってどちらの側の勢力として演出しても構わず(偽旗作戦もあり得るし、それは、過激派集団ばかりではなく国家である場合もある…)、要は、最終的には暴力で歴史を動かすことこそが重要なのです。

 

 そして、革命も戦争も超国家組織によって仕組まれているとするならば、アメリカ大統領選挙をめぐる一連の動きも注意深く観察する必要がありましょう。そして、くれぐれもアメリカ国民が、そして人類が、18世紀のフランス国民と同じ運命を辿らないよう、気を付けなければならないと思うのです。


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