万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本国政府は衝突ビデオを公開する義務がある

2010年09月29日 17時12分58秒 | 国際政治
「悪質な中国漁船」示す狙い…衝突ビデオ提出へ(読売新聞) - goo ニュース
 中国人には、白を黒に、黒を白に言いくるめることに長けており、たとえ自分に非があったとしても、必ず相手方を非難する傾向があるそうです。尖閣諸島沖の漁船衝突事件でも、あたかも日本国政府が侵犯行為を行い、不当に船長を拘束したかの如くに報道しています。

 日本国側は船長を釈放したものの、中国がすんなりと矛を収めるとは思えず、尖閣諸島周辺に監視船や調査船を派遣していることを考慮しますと、小競り合いから日中間の武力衝突に発展するシナリオも否定できません。その時になって、あわてて国際社会に中国の不当性を訴えても、中国に妨害されたり、充分に自国の正当性を訴える時間がなく、中国側の宣伝戦で日本側が悪者に仕立て上げられる可能性もあります。他の諸国も、何が起きてきたのかを正確に知ることができなければ、どちらに正義があるのか、判断することができません。ビデオを公開しても、中国側が捏造を主張するのではと警戒する声もありますが、第三国に真偽の鑑定を依頼するという方法もあります。

 今後のことを考えれば、現段階で、ビデオを国際社会に向けて公開することは、中国の横暴を抑えると共に、国際世論を味方につける重要な手段となります。また、日本国政府が隠蔽に走らず、正直に情報を国際社会に公開すれば、各国からの信頼を獲得することもできます。この事件は、アジアのみならず、国際秩序そのものに関わるのですから、日本国政府は、尖閣諸島沖で何が起きたのかを、国民に、そうして、国際社会に伝える義務があると思うのです。

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