万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

尾を引く自民党総裁選挙-迷える国民

2024年10月21日 12時24分38秒 | 日本政治
 10月27日に衆議院選挙の投票日を控え、選挙区では、立候補者達が熱心に自らへの支持を訴えています。終日、選挙カーから立候補者の名前が連呼される週末となったのですが、今般の総選挙ほど、日本国の政治の混迷が露呈した選挙は他にはなかったかもしれません。この混迷は、日本国民にとりましては、民主主義の深刻な危機でもあります。日本国の政界自体がグローバリスト、即ち、世界権力のコントロール下にあることが、日に日に明瞭に認識されてきているからです。

 そして、この世界権力の支配力は、先の自民党総裁選挙にあってまざまざと見せつけられることともなりました。国民世論の強い反発を受けて頓挫はしたものの、マスコミを牛耳る同勢力が小泉進次郎候補を本命と見なしてことは否定しがたく(本当のところは、第一候補は河野太郎氏であったかも知れない・・・)、露骨なまでの‘小泉推し’がむしろ逆効果となってしまった感さえあります。実際の選挙にあって石破茂氏が同党の総裁に選出されたため、国民にも‘最悪の事態は避けられた’とする安堵感が広がったのですが、問題は同総裁選挙をもって終わったわけではありません。同選挙がもたらした自民党に対する国民の不信感は、今般の総選挙にも尾を引いているように思えるのです。

 一先ずは、グローバル色の比較的薄い石破政権が誕生したものの、いつ何時、世界権力の支部としての顔が現れるか、国民には予測がつきません。石破首相自身も、これまで主張してきた自らの持論を封印し始めたことから、首相就任後に‘豹変’したとも評されています。同豹変の背後には、国内のみならず国際的な圧力があったことは想像に難くありません(歴代の首相のみに‘一子相伝’で伝えられている‘密約’等が存在している可能性も・・・)。保守層の自民党離れが著しい中、国民からの警戒心を薄めるために石破首相を‘選挙の顔’として選んだものの、それはあくまでも一時しのぎであり、総選挙の結果によっては、むしろグローバル色、つまり、雇用形態やDX・GXを含めた新自由主義的な政策傾向が強まる可能性もないわけではないのです。

 例えば、衆議院選挙の比例代表名簿は拘束名簿式ですので、名簿の掲載順位、すなわち、当選者の決定は党内の決定事項となります。この点に注目しますと、党三役ではないものの、総裁選挙で敗れた小泉進次郎氏は、‘党四役’とされる選挙対策委員長に就いています。選挙に際しての人選や公認等については幹事長の影響力が強いとはされていますが、選挙対策委員長は、実務面での実権を握るとされています。実際に、比例代表名簿の顔ぶれをみますと、同総裁選挙にあって小泉候補の推薦人となった議員の名も多く見られますので(名簿順位のトップとしては、東京、東海、近畿・・・)、党内にあって‘親小泉勢力’は温存されているのでしょう。このため、小泉氏、否、その背後勢力にとりましては、総裁選挙では‘後退’しても、総選挙では‘前進’するという可能性もないわけではないのです。自民党内に深く根を下ろしているグローバル勢力は、自らの‘配下の者達’が政治の表舞台に出られるように常にスタンバイしているのでしょう。

 こうした政界の惨状を前にして、国民は戸惑うばかりです。保守層であれば、自民党に一票を投じたとしても‘保守政党’に投票したことにはなりませんし、総選挙後にあってどのような政権が誕生するのか、皆目見当が付かないからです。先の自民党総裁選挙にあって、図らずもグローバル勢力の動きが‘ガラス越し’ではあれ可視化されたことが、国民の政治不信に拍車がかかり、今般の総選挙において、保守層のみならず、多くの国民が投票先に迷う要因となったのではないでしょうか。

 そしてこの問題は、自民党に限定されているわけではなく、自公政権の継続であれ、野党による政権交代であれ、結局は、‘岸田政権’の後継者、すなわち、グローバリストの傀儡政権であるのかも知れません。マスメディアがしきりに与野党伯仲を報じていますが、二頭作戦あるいは多頭作戦の存在を考慮すれば、国民は、政党も政治家も選びようがなく困惑するばかりなのです。日本国民が真に求める政治改革とは、国民本位の民主的政治の仕組みの再構築、あるいは、作り直しなのではないかと思うのです(つづく)。

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