万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

中台”刺し違え”のシナリオ

2012年01月15日 15時42分58秒 | アジア
台湾 馬総統再選 中国、民主化恐れ沈黙(産経新聞) - goo ニュース
 昨日、台湾で実施された総統選挙では、国民党の馬英九氏の再選が決定されました。台湾情勢に並々ならぬ関心を寄せているはずの中国は、”民主的な選挙”が国民を刺激することを怖れてか、この報道は、極めて控え目であったそうです。

 馬氏再選の背景には、中台関係の安定が指摘されていますが、大陸の中共政府は、平和的な手段?での台湾の併合を模索しているとの憶測もあり、馬政権は、この点において好都合とされています。その一方で、人民解放軍では、台湾の”武力解放路線”を放棄しておらず、「反国家分裂法」もまた、”その日”のために準備されてもいます。何れにしましても、”一つの中国”を主張する中国は、台湾を飲み込みたいのですが、これをいざ実行に移しますと、中台の”刺し違え”が起きる可能性もあるのではないかと思うのです。”刺し違え”とは、穏やかならざる表現ですが、このシナリオとは、台湾を併合した途端、中国大陸に民主主義が伝播し、共産党一党独裁体制が崩壊するというものです。例えば、平和的な手段で併合するにしても、中共による国民党の存在の承認が、多党制への移行を意味するかもしれません。あるいは、台湾をモデルに民主化を求める運動が大陸各地で発生し、現状の体制にNOを突き付けるかもしれないのです。

 このように考えますと、台湾を守っているのは、その強固な民主主義体制であるのかもしれません(日本もまた然り…)。台湾を手にした途端に、中華人民共和国もまた、足元から崩れ落ちるかもしれないのですから。”台湾併合”は、中国政府にとりましては、切りたいけれどもなかなか切れないカードなのかもしれないのです。

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