万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

マイナ保険証と健康保険証との重大なる違い

2024年10月04日 09時48分07秒 | 日本政治
 石破政権下にあって河野太郎氏の後任となった平将明デジタル相は、前任者が強引に進めていた健康保険証の廃止の方針を引き継ぎ、多くの国民を落胆させることとなりました。マイナ保険証の導入については、厚労省のデジタル庁も国民の利便性の向上をもって説明していますが、両者の間には、重大なる違いがあるように思えます。

 その違いとは、マイナ保険証には、情報収集・記録機能が付随している点です。紙に印刷されただけの従来の健康保険証にはICチップは搭載されていませんので、こうした機能はありません。後者については写真も付されていないため、本人確認についてはいささか難があるのですが、少なくとも医療機関や薬局等の利用に関する個人情報がデジタル情報としてICチップに記録されることはないのです。

 それでは、マイナンバーカードには、どのような情報が記録されているのでしょうか。デジタル庁のホームケージでは、‘必要最低限の情報’とした上で、氏名、住所、生年月日、性別の四項目を挙げています。ところが、同カードが健康保険証として使用されるようになりますと、記録される情報の範囲は格段に広がります。

 この点、同庁は、マイナ保険証のメリットとして、本人による情報提供の同意がある場合に限り、同情報に基づいて医療機関・薬局における総合的な診断や投薬の重複回避ができる点を挙げています。同意が条件ですので、全ての健康保険利用者の個人情報が収集・記録されるわけではないように思えます。しかしながら、同庁は、上記の他に、高額療養費制度における支払いの簡便化や移転や就職・転職に際しての更新不要などのメリットを挙げた後に、‘非常時も安心’と謳っています。非常時、即ち、緊急搬送時や災害での避難時に際してマイナ保険証があれば、同カードに記録された情報に基づいて迅速に対応でき、国民の安心と安全に資するというのです。前者については、‘救急搬送される方の診療情報・薬剤情報・特定検診情報’、後者についても‘過去の診療・薬剤情報、普段飲んでいる薬、特定健診等の情報’とあります。これらの記載から、マイナカードには、受診した医療機関、疾病名、受けた治療、処方された医薬品、薬局名など、過去から現在に至るまでの全ての医療情報が履歴として記録されるものと推測されるのです。

 それでは、こうした非常時における対応も、本人が情報提供に同意した人のみが対象となるのでしょうか。仮に、同意をした人のみに限定されるとしますと、それが結果であれ、情報提供者のみが恩恵を受けることとなりましょう。言い換えますと、非常時にあっても情報提供同意を要件とするならば、おそらく、多くの国民が情報提供に同意するものと推測されるのです。もっとも、非常時に関するデジタル庁の説明には、同意に関する記述がありませんので、不同意とした人々に関しても、医療履歴データが使われる可能性はないわけではありません。何故ならば、情報提供の同意は、‘情報が医療機関や薬局等に提供されない’という意味であって、情報そのものは、国のデータベースに保存されているとも考えられるからです。仮に後者であれば、政府が、国民の医療履歴情報を凡そ完全に把握することは許されるのか、という問題が提起されることにもなりましょう(もっとも、富裕層は自由診療を選択できるので、自らの情報は政府に把握されることはない・・・)。

 もちろん、仮に、日本国政府が国民の安心と安全の確保を自らの使命とする善良な政府であり、かつ、安全性が保障されているならば、マイナ保険証の導入は、ここまで国民から反発を受けることはなかったことでしょう。しかしながら、同政策を推進したのがワクチン接種推進担当相をも務めた河野前デジタル相であり(全国民を対象とした確定申告義務化の提言も国民の所得情報の収集が目的では・・・)、しかも、同ワクチンによって国民に甚大なる健康被害が生じています。河野前デジタル相のみならず、今や日本国政府そのものが、国民の命を蔑ろにしている極悪政府、否、‘悪代官政府’と言っても過言ではありません。自ら手を下さなくとも、故意に国民の命を奪ったとしか言えない政府が、今度とも国民の命を守ろうとするはずはない、と考えるのが当然の国民の反応なのです。身体に関する情報が悪用されますと、殺人等の手段ともなりかねないのですから(アレルギー、服薬状況、ワクチン摂取履歴も含め、医療情報は身体的弱点情報に・・・)。

 スウェーデンなどの北欧諸国やアメリカ等では、既に人体にマイクロチップを埋め込むケースが見られますが、そのうち、世界権力は、日本国民を含めて全人類を管理するために、日本国政府に対して現行のマイナンバーカードに代わってICチップの埋め込みを要求してくるかも知れません。何としても健康保険証を廃止したいのも、デジタル管理を徹底したいからなのでしょう。しかしながら、日本国は、独立主権国家であり、民主主義国家ですので、世界権力の要求や命令に従う義務は全くありません。医療情報の収集・記録に関する国民的なコンセンサスのみならず、政府による情報の悪用やサイバー攻撃等による情報漏洩の懸念も払拭されていない現状にあっては、健康保険証の廃止は急ぐべきではないと思うのです。

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