万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

レプリコン型ワクチンのメーカー免責問題

2024年05月31日 10時47分50秒 | 日本政治
 今秋にも接種開始が予定されているという、新しいタイプのレプリコン型ワクチン。自己増殖という性質からしますと、‘生ワクチン’に限りなく近いのですが、同ワクチンの安全性や効果については幾つもの重大な疑問があるように思えます。例えば、コロナウイルスは、インフルエンザウイルスと同様に頻繁に変異を繰り返す点を踏まえますと、レプリコン型ワクチンの長期効果は、短期間で分岐的に変異するウイルスには不向きとも考えられます。

 この点に注目しますと、レプリコン型ワクチンのメリットとして評価されている効果の持続性は、むしろ、デメリットとなりましょうし、既に流行の過ぎ去った変異株の抗原及び抗体が体内で生成され続けるとしますと、さらなる健康被害も予測されるのです。それとも、レプリコン型ワクチンとは、あらゆる変異株に対応するユニバーサル・ワクチン(万能ワクチン)なのでしょうか。現在使用され、定期接種の方針が示されている旧式のmRNAワクチンについても、変異株に対応して新たに設計し直されているのか、詳しい説明はほとんどありません(なお、大手製薬会社各社が、従来型ワクチンについてユニバーサル・ワクチンの開発に着手しているとの報道はある・・・)。仮に、レプリコン型ワクチンでも、変異株が出現する度に改めて対応型のワクチンを接種する必要があるとしますと、接種者の体内では、常に膨大な種類の複数の対コロナウイルス抗体が同時に生成されることになり、免疫老化を促進する可能性もあります。

 何れにしましても、レプリコン型ワクチンには健康被害が発生する可能性が否定できないのですが、mRNAワクチンに際しての政府と製薬会社との契約を思い出しますと、日本国民は、別の心配をしなければならなくなります。何故ならば、この時、日本国政府は、ワクチンの大量入手を最優先課題とみなし、ファイザー社やモデルナ社といった大手製薬会社との間に免責条項を設けた契約を締結しているからです。その契約とは、新型のワクチンであるmRNAワクチンの接種によって如何なる健康被害が生じたとしても、それを製造・販売したこれらの製薬会社は一切の賠償責任を負わない、とするものです。しかも、知的財産権の保護を根拠としてワクチンの成分を調べることも禁じられたのです。

 こうした免責条項付きの契約につきましては、法律的な見地からは、リスク情報の隠蔽などを根拠として無効や取り消しを主張することもできますし、各国政府とも、即刻、これに向けて方向転換すべきなのでしょうが、仮にレプリコン型のワクチンを原因とする健康被害が発生した場合、同ワクチンのメーカーが免責となるのか、否かは、定かではありません。この点、レプリコン型ワクチンは、国産であることが注目されます。前者とは異なり、政府が直接にアメリカの製薬会社と契約を結んで輸入するという形態ではなく、日本国内にあって、日本企業が製造・販売を担い、その購入者も国内の医療機関となりましょう。言い換えますと、国内メーカーは免責されることなく、健康被害に対しては、通常のワクチンと同様に賠償責任を負うものと想定されるのです。そして、仮に、上述したリスクが現実化すれば、その賠償額は天文学的となるかも知れません(シェディングが生じれば、非接種者も被害者に・・・)。しかも、レプリコンワクチンの接種者の殆ど100%が従来型のmRNAワクチンの接種者でしょうから、何れのワクチンでの健康被害なのか判別が付かない状態の中で、日本企業のみが責任を負わされてしまうと言う展開もあり得ることとなります。

 レプリコン型ワクチンにつきましては、2023年11月28日に既に「Meiji Seika ファルマ」が厚生労働省から承認を受けており、世界で最初の承認事例として報じられています。同社に留まらず、新興バイオ企業であるVLPセラピューティクス・ジャパンなども同市場への参入に名乗りを上げており、創薬大国を目標に掲げる日本国政府も、同動きを後押ししています。

 国産ワクチンは安全とするイメージがありますが、既にネット上で批判を浴びているように、mRNAワクチンと同様に十分な治験を経ているのか、怪しい限りです。短期開発、即、実用化の流れからしますと、‘日本人のモルモット化’という表現も強ち誤りではないように思えてきます。既に、米大手製薬会社も、日本国を治験の拠点とすべく、日本国政府との協力方針を表明しています。ワクチン被害が内外から報告されている今日、もしや日本企業のみが‘ババを引く’あるいは、引かされると共に、過去の失敗に学ばずに第二のワクチン禍を招き、多くの国民の健康が損なわれるのではないかと、危惧するのです。

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