万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

日本の自動車産業は生き残れるのか

2009年04月28日 13時57分35秒 | 日本経済
「宝島」か、それとも「墓場」か?自動車各社が活路を求める中国の“落とし穴”(ダイヤモンド・オンライン) - goo ニュース
 ダイアモンド・オンラインの”「宝島」か、それとも「墓場か」”というタイトルの記事によりますと、先進国の自動車産業の将来は暗いと言うことになりそうです。結局、今後、大幅な需要増が予測される新興国の自動車市場は、労働コストの低いインドや中国の自動車企業の独断場になりそうなのですから。それでは、日本国の自動車産業は、どのようにしたら生き残れるのでしょうか。生き残り策としては、以下のような方向性があります。

(1)その一つは、中国やインドにインフレが起こり、強みである労働コストや物価が先進国並みに上昇することです。ただし、この方法は、特に中国では為替操作に訴えてでも懸命に抑え込もうとしており、国際的な圧力なくして実現しそうにありません。

(2)第2の方法は、日本国側の技術力を頼みとした努力です。例えば、産業ロボットの導入による労働コストの削減や、新興国向けの小型自動車の開発、あるいは、エネルギー技術や新素材の開発による輸入資源への依存度の低下などを挙げることができます。この方法についても、日本国政府が技術流出に真剣に取り組まなければ、競争力を維持できません。

(3)第3番目の方法は、環境規制や安全基準を貿易のルールに加え、新興国にも高い基準の達成を義務付けることです。これは、二酸化炭素のみならず、様々な有害物質についても、製造な使用の段階での排出量を抑えるというものです。地球環境の保全や公害防止の観点から見ますと必要な措置ではありますし、環境技術に強い日本国には有利ではありますが、新興国からの反対が起きる可能性があります。

 何れにしましても一長一短があり困難な側面を持ちます。しかしながら、小手先の対策ではなく、長期的な視野に立って戦略を講じませんと、結局、世界経済の変動の波に飲み込まれ、日本国の自動車産業は消えてしまうかもしれません。そうならないように、民間も政府も、困難を克服すべく戦略を考えるべきと思うのです。 
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