万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

象徴天皇制度こそ議論すべき

2024年09月09日 11時39分55秒 | 日本政治
 目下、秋篠宮家の悠仁氏の東大推薦入学の問題をめぐりまして、国民の多くが今後の成り行きを注視する状況が続いています。これまでにも、ネットを中心として皇族については批判が湧き上がることはあったのですが、今般の一件に関しては、遂に国民の許容の限界を超えてしまった感があります。

 皇族の入学や入試については、特別待遇を疑う同様の疑惑が囁かれたのは、今回が初めてのことではありません。とりわけ、姻族となる小室氏に対する特別の便宜については、日本国内のみならず、アメリカの弁護士資格試験にまで背後から動かした可能性さえあります。このことは、皇室の背後に日本国政府のみならず世界権力が蠢いている可能性を強く示唆しているのですが、東京大学農学部の推薦型選抜の学生募集要項に『国際会議への参加等の活動』が急遽加えられ、第27回国際昆虫学会議が日本国の京都が開催地となったのも、何らかのグローバルな‘裏の工作’が疑われましょう。

 国民からの批判の声の高まりを危惧してか、宮内庁の皇嗣職大夫の方は、「根拠のない情報が流れている」として今般の国民からの批判の声に対してその懸念を否定しています。しかしながら、小室氏のみならず、悠仁氏に関しても、筑波大学附属高校への進学に際して同様の‘手口’が使われた過去もありますので、この説明では人々を納得させることは困難です。過去の事実こそが既に根拠を与えているのですから、‘二度あることは三度ある’として国民の多くが警戒するのも当然のことなのです。

 そして、今般の一件は、少なくない国民が、皇室を脅威として認識する切っ掛けともなりました。防衛、安全保障、外交上の国家的リスクについては、今上天皇夫妻にまつわるリスクとして指摘されてはきましたものの(ロシア(ソ連邦)、中国共産党や創価学会等との接点等・・・)、悠仁氏の進学問題では、‘国家権力’が動いた疑いがあるからです。9月6日付けのデイリー新潮のウェブ記事にあって、反対署名活動に対して‘どこか不穏な動き‘とした上で、「捜査当局も関心を示して」と報じられたのですから。

 ここで言う捜査当局とは公安警察と推測されるのですが、その捜査を行なった理由は、‘天皇制に反対する集団が関与しているということなら、それなりの対応を求められるから’としています。同発言については、記事の表記では誰の発言であったのかは不明なものの(発言末に(同)とだけあり、宮内庁なのか、署名活動の発起人なのかわからない・・・)、この記事は、戦後の日本国憲法下にあっても、天皇制して反対する組織や国民は捜査当局のウォッチ対象となっているという印象を与えているのです。

 おそらく、フランス革命やロシア革命に倣って日本国内でも暴力革命を起こそうとして活動してきた日本赤軍と言った極左暴力主義組織を想定しているのでしょうが、天皇制反対を理由として民間の平和的な署名活動をも捜査の対象にしていることが事実とすれば、日本国にも‘政治犯’が存在しかねないことにもなります(今日では、左翼よりも、一般国民のほうが余程天皇制に懐疑的ですので、一般国民が捜査対象となりかねない・・・)。

 日本国憲法の第一条には、象徴天皇の地位については、国民の総意に基づくとされています。この表現は、国民の総意によって同地位を改廃し得ることを意味していますし、第九六条には憲法改正の手続きが定められていますので、日本国民は、合法的に天皇の地位を変更することができます。天皇の地位を含めて自らの将来の国家体制について自由に論じるのは、国民の政治的自由であり、これこそが近現代にあって言論の自由が保障されるに至った主たる理由でもあります。不敬罪等が存在していた時代には、国民は、如何に体制に不満があり、あるいは、より善い未来を求めたとしても、政治犯とされることを恐れて口を噤まざるを得なかったのですから。憲法や現行法律に照らせば、公安警察の捜査は、不法行為、あるいは、越権とも解されるのです。

 国体の護持、すなわち、昭和天皇の地位の保障として設けられた象徴天皇の制度が、三代を経て既に曲がり角に至っている現状を考慮しますと、見直し論が提起されて然るべき状況下にあります。こうした時代状況にあるからこそ、皇族の進学問題において垣間見られた言論弾圧を彷彿させる対応が、より国民の不安と警戒心を高めたとも言えましょう。少なくとも、未来の日本国の体制については、国民が自由に構想し、様々なアイディアを出し合う言論空間こそ望ましく、日本国は、国民が共に‘善き国造り’を目指すことができる国であるべきではないかと思うのです。

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