万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アメリカ国民は不正選挙を追求すべきでは?-最大の被害者は米国民

2021年01月16日 12時40分06秒 | アメリカ

 1月6日に発生した国会議事堂占拠事件は、客観的に見れば、民主党側に極めて有利に働いたようです。トランプ大統領を罷免や弾劾するチャンスを得たのみならず、メディアに格好の報道材料を与え、紙面やネットニュースの見出しを同事件一色に変えることに成功したのですから。暴動は予め何者かによって‘仕組まれていた’とする説がまことしやかに囁かれるのも、同事件が、大統領選挙をめぐる一連の混乱にあって、民主党にアドバンテージを与える好機となったからなのでしょう。

 

 それでは、トランプ陣営が訴えてきた不正選挙は、全く事実無根のフェークニュースであったのでしょうか。仮にそれが事実であるとしますと、相当に大掛かり、かつ、組織的な作業を要することとなりましょう。少なくとも、大統領選挙にあって幾つかの州で採用されていたスマートテック社のホームページの記述さえフェイクとなりますと、トランプ陣営は、ネット上に開設されていた同社のホームページまでも改竄したことになります。同ホームページは、同社と米民主党のカーター元大統領やオバマ前大統領、並びに、共産主義者にして独裁者であったベネズエラのチャペス大統領との関係を、むしろ誇らしげにアピールしておりました。

 

また、トランプ派の弁護士陣営も、ネット接続やアルゴリズムの操作が可能なドミニオン社の製品を介した不正や海外勢力の介入について指摘していましたし(かつては、CNNもこのリスクを指摘…)、電子投票・開票システムに対する疑惑の他にも様々な不正が行われていたことは、ナヴァロ報告書にも詳細に記述されています。同報告書には監視カメラで撮影された映像も含まれていますが、これらの全ての証拠や証言等は、全てが偽造されたものであり、‘真っ赤な嘘’あるいは、‘デマ’であったのでしょうか。むしろ、短期間の間で民主党側の監視を潜り抜けてこれ程の偽の証拠や証言を揃えたとしますと、その組織力、並びに、速効性にこそ驚かされます。

 

アメリカ国民ならず、こうした情報に接すれば、誰もが、不正選挙を確信することでしょう。そして、重大な疑惑が寄せられているにも拘わらず、‘根拠のない主張’というフレーズを繰り返すだけで積極的に自らの潔白を示そうとしない民主党陣営の態度は、この確信をさらに深めさせたと言えましょう。そして、米民主党側に厳しい視線が注がれるに至った矢先に、今般の国会議事堂占拠事件は発生したのです。

 

 人には記憶力というものがありますので、不正選挙問題を人々の脳裏から完全に消去することはできません。このことは、民主党側が、たとえトランプ大統領を政界からパージし、首尾よくバイデン政権を発足させたとしても、国民の記憶の中に不正選挙問題が残る限り、常に、民主的正当性が疑われることを意味します。果たして、アメリカ国民は不正選挙問題に目を瞑り、民主党政権を受け入れるのでしょうか。国会議事堂占拠事件は、民主党側が主張するように暴力によって‘選挙結果’を覆す試みであったとしても、それは未遂事件ですが、民主党による不正選挙は、それが事実であれば既遂の犯罪であり、中国政府や海外勢力などの関与が証明されますと、国家反逆罪にも相当します。国民を直接に騙していることにもなりますし、前者よりも、後者の方の罪が重いのです。

 

そして、このまま同問題が有耶無耶にされるとしますと、最大の犠牲者は、アメリカ国民となるのではないでしょうか。アメリカ国民は、政治的スタンスの違いこそあれ、米政界に対して不正選挙の真相解明を要求すべきなのではないでしょうか。国民の正当な権利として。


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‘アラブの春’とは何であったのか?-SNSのダブル・スタンダード

2021年01月15日 12時35分02秒 | 国際政治

今から10年前、中東諸国では‘アラブの春’と称された革命の嵐が吹き荒れました。この時、同革命を支えたのが他ならぬSNSでした。抗議活動のリーダーたちによるツイッターやフェイスブックによる呼びかけは瞬時に人々の間に広がり、放送局や行政機関等もデモ隊によって襲撃・占拠されています。かくして、ドミノ倒しのようにチェニジア、エジプト、イエメン、リビアなど中東諸国の独裁政権は、次々と崩壊に追い込こまれていったのです。

 

 ‘アラブの春’は、圧政に苦しめられてきた民衆の勝利、即ち、民主主義の勝利として報じられ、その立役者となったSNSも革命の新たな‘ヒーロー’として脚光を浴びることとなりました。日本国を含めた全世界の人々は、SNSこそ民主主義に貢献する民衆側のツールとして賞賛しましたし、SNSの世界大での急速な普及も、‘アラブの春’での活躍があってのことかもしれません。独裁者を追放する力を国民が持つことを可能としたのですから。

 

 同事例が示すように、SNSは、それがコミュニケーション手段である故に、政治と不可分に結び付いてしまいます。この側面は、‘アラブの春’で既に証明されているのですが、今般のアメリカ議会占拠事件を機としたSNSの対応は、‘アラブの春’の時とは真逆のように思えます。仮に、同事件にあって示されたSNS、並びに、IT大手企業の判断基準に基づけば、当然に、‘アラブの春’にあっても、抗議行動への書き込みは禁止され、投稿者のアカウントは凍結されるべきでした。しかも、同抗議にあっては、発言の解釈を争う余地もなく、政権を倒すための直接的な行動が呼び掛けられています(BLM運動でも暴力的な呼びかけがあったのでは…)。

 

 もっとも、他に手段のない非民主的な独裁政権下では許されるけれども、‘アメリカは民主主義の国であるから許されない’とする反論もありましょう。しかしながら、民主主義国家にあっても、デモによる抗議活動は違憲でも不法でもなく合法的な行為です。また、問題の核心は民主党側による不正選挙ですので、同問題を不問に付したまま新たな大統領が選出されるとなれば、もはやアメリカは民主主義国家ではなく、それを理由にSNSから締め出す排除行為を正当化できないはずです。じつのところ、民主党側がメディアやSNS各社、IT大手、そして‘セレブ’とも称されるインフルエンサー迄をも総動員して異議申し立てや異論を封じ込めているとすれば、アメリカ国民こそ、‘アラブの春’における民衆側の立場にあると言えましょう。‘権力’側の不当かつ不正な行為を糾弾し、民主主義の実現を求めているのですから。

 

 SNSは、‘アラブの春’にあっては‘国民の味方’でしたが、現在のアメリカにあっては、‘国民の敵’へと転じつつあります。もっとも、‘アラブの春’にはCIAやジョージ・ソロス氏、あるいは、超国家組織が関与していたとする指摘が事実であれば、前者であれ、後者であれ、何れの国民も、これらの組織がシナリオを描き、演出した大規模な政治劇に踊らされているだけなのかもしれません。そして、アメリカのSNSを取り巻く環境は、国民の反抗や反乱を恐れている中国共産党にとりまして有利に働くことでしょう。中国が、ネットや言論空間において反政府的発言を完全に排除しても、もはや、自由主義諸国からの批判を恐れることはなくなるのですから。米民主党は、バイデン氏をはじめ中国とも強い繋がりがありますので、超国家組織を介して両者は協力関係にあるのかもしれません。SNS各社のダブル・スタンダードぶりは、自らの権力確立や利益にとって都合のよい場合にのみ、民衆の力を利用しようとする超国家組織の存在を前提としなければ、説明がつかないようにも思えます。

 

 何れにしましても、上院での弾劾裁判は、正義がどちらの側にあるのかを示すことでしょう。この場で民主党側の不正選挙が明らかとなれば、‘アラブの春’の時とは反対に、全世界の諸国にあって、多くのユーザーがSNSから離れてゆくのではないかと思うのです。


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アメリカは‘民主党一党独裁体制’に移行する?

2021年01月14日 12時31分00秒 | アメリカ

1月6日に首都ワシントンD.C.で発生した国会議事堂占拠事件を機に、アメリカでは、ツイッターやフェイスブックといった大手SNSをはじめ、IT大手が一斉にトランプ大統領やその支持者を自らのプラットフォームから追放するという暴挙に出ることとなりました。今日、SNSは、公共インフラの役割を担っていますし、大手メディアも民主党系列に属していますので、この行為によって、トランプ大統領もその支持者の人々も、事実上、言論空間から締め出されることを意味します。こうした排除行為は、民間企業による私的検閲、あるいは、政治介入として国際的にも批判を浴びていますが、メディアや大手IT企業を含む民主党陣営は、幾つかの重要な点で国民の基本的な自由と権利を奪っているように思えます。

 

 先ずもって挙げられますのが、言わずもがな、言論の自由を含む表現の自由です。誰であれ、言論の自由は天賦の権利としてそれを有しています。しかしながら、歴史を振り返りますと、この自由は、為政者によってしばしば抑圧される、あるいは、奪われてきました。権力や権威を保持したい為政者にとりましては、言論の自由は、自らの悪政や失政、あるいは、悪行を国民から指摘される‘リスク’でしたので、体制維持や保身のためにはこの自由を認めたくなかったのです。今日にあっても、中国では、共産党一党独裁体制を保持するために徹底的な言論統制が敷かれ、国民は、自由に政治的発言することは許されていません。政府や政権批判は、一党独裁体制を脅かす‘政治的犯罪行為’なのです。

 

 国家の最高法規である憲法を以って言論の自由を厚く保障する理由は、それを国民から奪おうとする為政者を拘束するところにあるのですが、今般の民主党陣営の行動は、悪しき政治的言論弾圧、あるいは、政治的口封じの感があります。言論空間からの締め出しについては、‘暴動を扇動した’として肯定する意見も聞かれますが、トランプ大統領のツウィートに対する批判は、民主党側の主観的な解釈によるものです。為政者側の一方的な解釈によって冤罪を被せる手法は、ソ連邦にも見られた一党独裁体制における政治的粛清の常套手段でもありました。また、トランプ大統領こそが言論の自由を束縛する‘権力側’にあるとする指摘もありますが、資金力が政治力ともなり、‘第4の権力’とも称されているメディアが言論空間にあっても君臨してきた今日にあって、民主党陣営は、政府をも脅かす‘権力’です。そして、民間のメディアや大手ITとも結託して一大政治勢力を形成している民主党陣営は、政経が一体化し、民間企業をも共産党の傘下に置く中国の現体制と類似しているのです。

 

 また、国民の基本的権利に目を向けますと、民主党陣営は、国民の知る権利を奪おうとしています。国民には、政治判断に必要となる情報として、公職にある大統領の発言を聞く権利が当然にあるはずです。SNSは、トランプ大統領のみならず、政治家の情報発信ツールとしても機能してきましたので、その主観的、かつ、恣意的な判断に基づく一方的、かつ、即時的な遮断は、トランプ派の言論の自由を奪うと同時に、国民の知る権利をも奪う行為ともなるのです。

 

 以上に述べてきましたように、今般の一件を観察しますと、民主党派の排除行為にこそ、民主主義を破壊し、アメリカ国民を全体主義へと導く危険性が潜んでいるように思えます。民主党は、トランプ派に対して民主主義の破壊者として糾弾していますが、基本的な自由や権利の観点から見ますと、前者の方が‘破壊的’と言わざるを得ないのです。言論の自由は、国民が政治的な自由と権利を行使する上での前提条件ともなりますので、自由の抑圧は民主主義をも棄損します。

 

今後とも、この排他的な行動が強化されてゆくとしますと、‘言葉狩り’が強まると共に(不正選挙は禁句に…)、‘刀狩り(銃規制の徹底…)’も進むでしょうし、IT大手も、中国と同様に国民監視の手段となりましょう。‘万年野党’となる共和党も民主党に賛同する党員のみがその存在が許され(事実上の‘一党化’)、アメリカは、いつの間にか、中国の共産党一党独裁ならぬ、‘民主党一党独裁国家’へと変貌しかねないのです。真の危機とは何なのか、そして、それは何処にあるのか、アメリカ国民も、そして日本国民を含む全世界の人々が、真剣に見極めなければならない時期に至っているのではないかと思うのです。


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弾劾裁判はトランプ大統領にはチャンスでは?

2021年01月13日 12時48分33秒 | アメリカ

米民主党は、国会議事堂占拠事件を扇動した廉で、トランプ大統領を弾劾訴追するそうです。弾劾の動きに対して同大統領は怒り心頭に発していると報じられていますが、議会における弾劾は、むしろ、トランプ陣営にとりましてはチャンスとなるかもしれません。

 

 これまで、トランプ陣営が訴えてきた民主党側の不正選挙に関する訴訟は、州レベルであれ、連邦レベルであれ、悉く門前払いされてきました。裁判所にあって厳正なる審議に入る以前の段階にあって、無碍にも却下されてきたのです。仮に、何れの裁判所であれ、訴状が受理されていれば、トランプ陣営にも自らの主張を裏付ける証拠を提出し、バイデン陣営の不正行為を法廷の場で明らかにすることができたはずです。ところが、裁判所の拒絶によりこうした機会を失っており、それ故に、民主党側は、‘有罪判決がない=不正行為はなかった’という論法を以って、選挙結果は正しく、不正選挙を主張するトランプ陣営は民主主義を破壊している批判できたのです。

 

 トランプ陣営に対する司法の態度は、全ての人々に公平な裁判機会を与えるとする近代国家の原則も反するように思えるのですが、皮肉なことに、議会における弾劾裁判こそ、唯一、全国民、否、全世界の人々を前にして、同陣営がバイデン陣営による不正選挙を訴える場となるかもしれません。議会の手によるとはいえ、弾劾裁判も、司法権の行使の一つであり、その手続きは、裁判所と何らの違いはないはずです。当然に、証拠に基づく事実認定が為されるのですから、ここでトランプ陣営が、不正選挙の動かぬ証拠を提出すれば、流れが一気に逆転するかもしれません。弾劾決議案の骨子には、‘トランプ大統領が選挙に勝ったとする虚偽の発言をした’という内容が含まれていますので、この罪状は、不正選挙が立証されれば同大統領の無罪どころか、米民主党側の犯罪行為が事実として確定してしまいます。

 

 もっとも、議会において弾劾決議案が可決されたとしても、実際の弾劾裁判の開始は、1月20日以降となりますので、このままでは、バイデン氏が大統領に就任した後ということになります。弾劾裁判で有罪判決が下されれば、4年後の大統領選挙には出馬できなくなるそうですので、米民主党の狙いは、トランプ大統領の政治的影響力を徹底的に削ぐ、即ち、政治的粛清にあると指摘されています。通常の裁判所にあっても、発言の主観的な解釈を以って有罪判決を下しますと悪しき‘政治裁判’と見なされますので、有罪となる可能性はそれ程には高くはないかももしれません。そして、大混乱が予測されるとしますと、トランプ大統領による弾劾の成立ではなく、むしろ、裁判の過程で露呈する民主党の不正選挙の実態と同混乱の収拾なのではないでしょうか。

 

 1月20日以降の弾劾裁判にあって、民主党の大統領が不正選挙によって就任したことが判明しますと、当然に、その地位の正当性が問われることとなります。弾劾裁判の一部始終は公開されますので、米国民の大半は、‘バイデン大統領’に対する弾劾裁判、あるいは、完全なる不正防止措置を施した上での大統領選挙のやり直しを求めることでしょう。上下両院とも民主党が議会の多数を制しているとはいえ、この問題は放置できないはずです。仮に何らの措置も採らなければ、民主主義の破壊者、即ち、国民の参政権を奪った簒奪者として、米民主党は全国民を敵に回すことになりましょう。

 

 民主党員のみならず、シュワルツェネッガー氏のように、大統領選挙は疑いの余地もなく公正に実施され、トランプ大統領こそ‘嘘吐き’として糾弾する人もおります。この状態では、筆者を含めて不正選挙を確信している一般の人々まで、共犯者、あるいは、狂信者と見なされてしまいます。国民の前に真偽を明らかにするためにも、弾劾裁判の開催は、むしろ望ましいのではないでしょうか。そして、トランプ大統領には、是非とも、その国境を越えた背後関係や電子システムを利用した手口を含め、不正選挙の実態を暴いていただきたいと思うのです。


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シュワルツェネッガー氏のスピーチは藪蛇では?

2021年01月12日 12時29分24秒 | アメリカ

元カリフォルニア州知事にて俳優であるアーノルド・シュワルツェネッガー氏が、アメリカの国会議事堂占拠事件を受けて公開したスピーチ動画が関心を集めているようです。ハフポストの記事の見出しには、‘議会襲撃とナチス重ねたスピーチが胸を打つ’とあり、‘すべては嘘から始まった’とする同氏の主張を強調しています。しかしながら、トランプ大統領をアドルフ・ヒトラーに擬えたこのスピーチ、藪蛇になるのではないかと思うのです。

 

 同記事に対しては多数の人々からコメントが寄せられており、その大多数はスピーチの内容にいたく感動し、‘魂のこもった覚悟のスピーチ’や‘人の心に届く’といった表現で賛辞を贈っています。‘感動の嵐?’が吹く中に、本記事のような懐疑的な意見を書きますと、袋叩きに遭いそうなのですが、実のところ、巧みなスピーチによって人々の感情に訴え、自らの望む方向に人々を導く手法は、むしろ、ヒトラーの得意技でした。実際に、シュワルツェネッガー氏のスピーチに対する賛同の多くは、事実関係を確かめた上での冷静な評価ではなく、感情的なものです。

 

 藪蛇論の第一は、スピーチの利用という意味において、シュワルツェネッガー氏の方がヒトラーに類似しているということなのですが、第二の理由は、‘すべては嘘から始まった’こと自体が嘘である点です。同氏は、クリスタルナハト事件と呼ばれるユダヤ人襲撃事件を取り上げて、今般の国会議事堂占拠事件を批判しています。しかしながら、クリスタルナハト事件は、全くの嘘から始まったわけではないのです。同事件のきっかけとなりましたポーランド系ユダヤ人青年によるドイツ大使館員暗殺事件は、1938年11月7日に実際に起きた出来事なのです。この夜、ユダヤ人青年のヘルシェル・グリュンシュパンは、パリの在仏ドイツ大使館の三等書記官エルンスト・フォム・ラートを拳銃で殺害し、フランス警察の尋問に対して「迫害されるユダヤ人に代わって復讐したかった」と自白しています。仮に、シュワルツェネッガー氏が言うように‘すべてが嘘から始まった’のであれば、同暗殺事件もナチス側の陰謀であったこととなりましょう(あるいは、案外、これが真相かもしれない…)。

 

 第二点として挙げられるのは、シュワルツェネッガー氏には、不正選挙問題を含めた真偽を判断する立場にはない点です。同氏は既に公職を退いていますし、現職の政治家として全ての情報を入手し、真偽を判断し得る立場にあるわけではありません。裏付けや証拠もなく‘嘘’と決めつける態度は、むしろ、自己を絶対視する全体主義者の傲慢さが垣間見られます。

 

 また、同氏は、「政治家に必要なのは、権力よりも政党よりも偉大なもの、より高い理念に奉仕することです。」とも語っています。こうした政治家としての同氏の姿勢に感動する人も少なくないようなのですが、‘より高い理念’があれば、暴力や違法行為でも容認されるとする解釈も成り立ちます。しかも、‘より高い理念’に関連し、同氏は、自らがカトリック教徒であることを告白しています(宗教戦争も誘発?)。バチカンの目に余る腐敗が明らかにされつつある中、これもまた藪蛇なのですが、同氏には、宗教家やリベラルに固有の独善性が見受けられるのです。そして、同氏の理屈に従えば、不正選挙による‘偽大統領’の誕生を防ぐために議会を占拠する行為も、民主主義という基本的な価値に照らせば容認されることとなりましょう(もっとも、現状では、実行組織の背後関係は不明なのですが…)。第三の藪蛇とは、同氏のポリシーがそのまま相手方の行動を是認してしまう点です。

 

 シュワルツェネッガー氏のスピーチに真剣に感動してしまうようでは、同じ手口で何度でも騙されてしまいます。政治家のスピーチについては、距離をおいて構え、細心の注意を払って聞くべきですし、歴史を教訓とするならば、人々は、きれいごとを並べて言葉巧みに世論を誘導しようとするシュワルツェネッガー氏のスピーチにこそ警戒すべきと言えましょう。‘地獄への道は善意で敷き詰められている’とも申します。


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国民と向き合わない米民主党

2021年01月11日 11時00分46秒 | 国際政治

 アメリカ大統領選挙をめぐっては、目下、トランプ陣営がバイデン陣営側の不正選挙を民主主義、並びに、国家の安全を損なう行為として追及する一方で、バイデン陣営は、トランプ支持派とされる過激派集団による国会議事堂占拠事件を以って前者を激しく批判しています。憲法修正第25条の発動の検討に加え、下院では、11日にもトランプ大統領に対する弾劾裁判の手続きを開始するとも報じられていますが、こうした民主党のヒステリックな反応、並びに、政治的粛清を想起させる行動は、果たして、その多くが不正選挙を確信しているアメリカ国民を納得させることができるのでしょうか。

 

 昨日の記事でも書きましたように、問題の焦点は不正選挙にあります。不正選挙の有無がどちらに正義があるのかを決するのであり、民主党側の主張も、この点を明確にしない限り、誰をも納得させることができないのです。おそらく、民主党は、トランプ大統領をアメリカ政界から永久に追放すれば、自らの‘勝利’となると考えていることでしょう。トランプ排除が目指すべき目標であり、自らが設定した‘勝利条件’であるからこそ、民主党側は、過剰反応とも言える手段に訴えてでも、トランプ大統領をその座から降ろしたいのです。

 

 現実には、修正第25条による免職も弾劾裁判による辞職も共にハードルが高く、成立する見込みは薄いそうなのですが、今般の米民主党の動きは、同党が、如何に国民を軽視しているのかをも物語っています。何故ならば、たとえトランプ大統領を‘粛清’したとしても、国民の民主党に対する不信感を払拭することができないからです。むしろ、政界の動きと連動したマスメディアの偏向報道やSNS規制を目の当たりとすれば、米民主党を、共産党と類似した全体主義志向の政治集団と見なす国民の数は増えることでしょう。 ‘中国電視台’や‘人民日報’といたメディア各社が全て共産党の宣伝機関、かつ、世論誘導装置に過ぎず、SNSも厳格な統制下に置かれている中国のように、アメリカでも、自由主義国家とは名ばかりであり、社名や社屋がそれぞれ違い、民間企業であったとしても、何れもある特定の組織(ドミニオン)の支配下にあるかのようです。両国の間には、‘一頭独裁’か‘多頭独裁’かの違いしかないのかもしれないのです。

 

 米民主党の行動は、‘民主主義の擁護’を口実として自己正当化しながらも、アメリカ社会全体の変化に注目しますと、明らかに全体主義体制への道を敷いているとしか言いようがありません。冤罪や言いがかりによる政治的パージ、政治裁判、言論統制、フェイクニュースの発信は、これまで全体主義国家の悪しき特徴として批判の的となってきましたが、自由主義国家にあっても、この特徴が顕著に現れ始めているのですから。

 

 しかも、不正選挙の背景には、今ではバチカンの名さえ上がっているように、中国や米民主党をもコントロール下に置く超国家組織が蠢いているとも指摘されています(日本国の与野党とも同組織に組み込まれているのでは…)。マスメディアは陰謀論として片付けようとしていますが、こうした存在を想定しなければ説明のつかない現象が数多く見受けられます。そもそも、政党、メディア、IT大手の‘一致団結’した行動こそ、同一の組織的指揮命令系統なくしてはあり得ないのです(因みに、ワクチン接種が始まったタイミングで、世界各地において同時に、「感染力の増強」という点が共通している変異種が出現する現象も不可解な出来事の一つ…)。

 

 アメリカ大統領選挙を機に、アメリカ国民の多くは、民主党員や民主党のサポーターでさえ不正選挙を確信し、最早、民主党を信頼できなくなっているかもしれません。支持者の離反こそ民主党最大の危機のはずなのですが、当の民主党は、トランプ大統領の排除に血眼となり、国民からの向けられている視線は眼中にないのです。それとも、支持者を失っても、将来に亘って不正選挙で政権を得ることができると考えているならば、なおさら以って民主主義を語る‘民主主義の裏切者’となりましょう。

 

 ‘国民のため’という民主主義を基準として判断するならば、不正選挙を暴こうとしているトランプ陣営に分があります。仮に、バイデン陣営が議会占拠の廉でトランプ大統領を政界から追放したとしても、政権の民主的正当性に関わる不正選挙問題は残るからです。つまり、米民主党が、国民のための政治を目指す真に民主主義の擁護者であるならば、国民の最大の関心事である不正選挙問題について、中立・公平的な機関に徹底的な調査を委託し、国民の前に自らの潔白を証明してもらわなければならないのです。

 

 もっとも、仮に、トランプ陣営側にも不正選挙があったとすれば、アメリカ国民は、上述した超国家組織が左右両派を操っていたものとして猜疑心をさらに深めるかもしれません。議会に乱入した右派過激派は、アンティファやBLMのメンバーではなくとも(偽旗作戦…)、同超組織によって結成された実働部隊かもしれないのですから。結局のところ、アメリカ政界そのものが汚染されており、一般国民から構成される中間層が支持政党を失うという形で民主主義が危機に晒されている実態は、アメリカも日本も変わりはないのかもしれないのです。

 

 何れにしましても、民主主義を掲げる以上、米民主党は、アメリカ国民に対して真摯に向き合い、不正選挙問題を最優先に取り組むべきなのではないでしょうか。このままでは、たとえ形式的には‘選挙に勝利’したとしても、米国民主党は、国民からの信頼を失うことにより、‘勝って負ける’という展開になるのではないかと思うのです。


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米民主党の不正選挙隠し ―隠れたるより現はるるはなし?

2021年01月10日 12時35分38秒 | アメリカ

マスメディアは、アメリカ大統領選挙に際して、一貫して民主党のバイデン陣営を応援してきました。本日の各紙の論調を見ましても、ペロシ下院議長を中心とする弾劾裁判への動きを報じ、民主党による選挙不正を追及するよりも、1月6日に発生した国会議事堂占拠事件に関してトランプ大統領の責任を問う姿勢が目立っています。

 

 メディアの一致した方針は、トランプ支持派を、Qアノンといった陰謀論を主張する組織が発信する偽情報を信じた狂信者と見なし、これらの過激派を暴力行使へと扇動したトランプ大統領の罪を問うというもののようです。メディア各社の報道姿勢の画一化ぶりには驚かされると共に、その背後には何らかの‘指令’、あるいは、‘合意’が推測され、報道の自由が既に失われている現状が垣間見えるのですが、最も憂うべきことは、不正選挙問題を消し去ろうとするその姿勢です。

 

 バイデン陣営は、トランプ陣営から再三にわたって不正選挙を訴えられてきました。その度に、バイデン陣営は、選挙は公正・公平に実施されたと主張するばかりで、疑惑に対して積極的に自らの潔白を証明することはなかったのです。否、ハンター・バイデン氏の中国ビジネス問題は、それが合法的に会計処理されたものであったとしても、副大統領という父親の公職を利用した行為であることは疑いの余地もなく(中国も、ハンター氏が副大統領の子息でなければ、巨額の利益が転がり込むビジネスチャンスを与えるはずもなく、当然に‘見返り’を期待したのでは…)、この事実を知れば、誰もがバイデン氏は信用に値いせず、国家の要職の地位に就くには相応しくないと判断することでしょう。アメリカ国民の多くはバイデン氏を清廉潔白な人物とは見なしておらず、喩え、バイデン氏が‘選挙不正はない’と言い張っても、その言葉も人々の耳には虚ろに響くのです。

 

 アメリカのみならず、日本国を含む全世界において民主党、メディア不信、並びに、社会・共産主義を含むリベラルに対するが蔓延する中にあっては、これらの勢力が一致団結してトランプ大統領の弾劾に人々の関心を向け、不正選挙問題から目を逸らさせようとしても、逆効果となるかもしれません。人の心理的傾向からすれば、疑惑を持たれている人が、それを隠そうとすればする程に、むしろ、より一層、怪しむからです。しかも、その行動が合理性に欠ける場合には、疑惑は確信へと変わります。過激派でも狂信者でもない、多くの一般の人々が疑念を深めるのです。

 

例えば、1月20日に大統領就任式が予定されているのに、何故、民主党は、弾劾裁判をかくも急ぐのでしょうか。しかも、トランプ大統領のツイッターの内容は、‘みんなで議会に行こう’というものであり、暴動を起こすように扇動したものとも思えません。この言葉を以って弾劾裁判で有罪を下すとしますと、それはまるで、徳川家康が豊臣家を滅ぼすときに口実とした‘国家安康事件’のような様相を呈してきます。つまり、それは、今日でも、中国にあってしばしば用いられる政治裁判と同類のものであり、司法権力を政治闘争の道具としているのです。そこには、自らの行為の犯罪性が問われているが故に、それを糾弾する側を犯罪者として葬り去りたいとする、歪んだ執念さえもが垣間見えるのです。因みに、社会・共産主義者は、革命という暴力を容認しながら、自らが権力を独占した途端に暴力の否定に転じ、人々から抵抗の手段を徹底的に取り上げようとするものです。

 

全ての組織犯罪は‘陰謀’とも言えますので、選挙不正を陰謀論として一笑に付すことはできないはずです。また、Qアノンといった情報発信者の存在がなくても、今般の不正選挙は、民主的正当性に拘わる案件として厳正に調査されるべきれっきとした犯罪事件です。中国の関与が指摘される一方で、カナダのトルドー首相の唐突なトランプ大統領批判も不自然ですが、今般の不正選挙が、国境を越えた背後関係を含めて徹底的に解明されない限り、アメリカ国民ならず、全世界の人々は、バイデン氏を正当な大統領とは認めないのではないでしょうか。全世界のマスメディアが同一方向に向かって一斉に世論誘導に動き出す異常さこそが、人々に不正選挙を確信させる反証となっているようにも思えるのです。

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あまりに酷い菅政権の国民軽視と権力の私物化-入国禁止問題

2021年01月09日 12時56分44秒 | 日本政治

 新型コロナウイルスの急速な拡大を受けて、日本国政府は、Go Toトラベルの停止と共に、海外からの入国者を原則禁止する措置をとることとしました。ところが、例外措置として、中国や韓国を含む11カ国からのビジネス関係の入国だけは認めるというのです。しかも、この特別措置、菅首相の強い意向が働いた、即ち、首相の‘鶴の一声’というのですから驚かされます。

 

 同措置が報じられますと、ネット上は騒然となり、批判の書き込みが殺到することになったのですが、おそらく、国民の凡そ全てが納得しないどころか、言い知れぬ怒りさえ覚えていることでしょう。緊急事態宣言の発令と時期が凡そ重なったため、営業時間の短縮や移動の自粛など、国民に我慢を強いる一方で、自らの地位や利権に関わる海外勢力に対して甘い菅首相の対応には、誰もが失望を禁じ得なかったのです。

 

国民からの反発を受けて、日本国政府も、申し訳程度にビジネス往来に関しても入国時のPCR検査の義務付ける方向に転じたものの、PCR検査は、感染初期段階では陰性となるため、同検査では、感染者の入国を100%防ぐことはできません。せめて2週間の待機期間を設けるべきなのですが、政府は、何としても中国からの入国を認めたいようなのです。弥縫策では国民世論の反発は収まらず、さらなる内閣支持率の低下も予測されるのですが、菅首相の‘正体’は、既に国民の多くによって見抜かれているように思えます。それでは、何故、菅首相の真の姿が国民に‘ばれ’てしまったのでしょうか。

 

第一の理由は、政府の説明に合理性に欠けているからです。例えば、日本国政府は、例外とされた11カ国からの入国を禁じる条件として、相手国の市中における変種株の感染拡大が確認されることを挙げています。その一方で、本日のニュースによりますと、新型コロナウイルスの封じ込め成功を内外に誇示してきた中国では、中国河北省の省都である石家荘市で新型コルなウイルスを理由として都市封鎖が実施されたそうです。

 

このことは、中国政府の発表とは異なり、同国では、変種株ではないものの、未だ新型コロナウイルスの感染拡大が収まっていない現状を示しています。WHOによる武漢調査を拒絶した理由にもコロナ対策を挙げていましたので、中国は未だに深刻なコロナ禍にあるのでしょう(もっとも、中国のコロナ対策は調査団拒絶の言い訳かもしれない…)。原種であれ、変異種であれ、新型コロナウイルの感染拡大が続いている、あるいは、都市封鎖が実施されている国からの入国を全面的に禁止されるべきは、合理的に考えれば当然のことです。入国禁止対象国には、変異種の市中拡大が未確認の国も含まれますので、日本国政府の対応は、一貫性がないのです(このままでは、たとえ中国にあって感染が爆発的に拡大しても、変異種でない限り、入国禁止措置をとれないことになる…)。

 

それとも、日本国政府は、中国政府の‘克服宣言’を鵜呑みにし、同国を安全国(現在レベル2)と見なしたのでしょうか。仮に、中国のコロナに関する感染情報を入手していなかったとすれば、日本国政府の情報収集能力は致命的に低いということになります。国民の多くは、ますます日本国政府と中国政府の両者に対して不信感が募ることでしょう。逆に、感染状況を正確に把握していながら例外措置の対象国としたのであれば、国民に対する重大な背信行為となります。中国に忖度し、日本国民を危険に晒したのですから。

 

そして、第一の理由に関連して第二に挙げられる理由は、菅首相が自らの‘強い意向’を以って例外措置を設けた点です。つまり、国民に対して合理的な理由を示して説明するのではなく、首相は、政策決定に際して自らの個人的な意思を通したことになります。公職にある者が権力を恣意的に行使したとなりますと、それは、権力の私物化を意味します。世論が反対している政策を首相が国民に押し付けたとなれば、国民の多くは、菅首相が国民のために働いているとは見なさず、何らかの私的な利益や人脈のために動く人物であると判断することとなりましょう。

 

また、第三点として挙げられるのは、特例国に対して入国禁止措置をとるには、相手国との交渉を要するとしている点です。入国管理に関する権限は、国家の主権的な権限であり、専権でもあります。国際法にあっても、安全保障や治安と並んで、自国の公衆衛生を脅かす場合には、国家に対して制限措置を認めています。入国禁止に相手国との交渉や合意を必要不可欠の要件とするならば、日本国政府は、永遠に中国からの入国を拒否できなくなるかもしれません。中国側は、日本国との交渉を拒否する、あるいは、決して合意を与えない可能性があるからです。相手国との交渉の必要性は、何としても入国禁止措置を回避したい菅政権の言い訳のようにも聞こえます。

 

かくして保守政党の政治家を装ってきた菅首相は、その真の姿が社会・共産主義に連なる親中派、かつ、ある特定の世界金融財閥とも通じるグローバリストであることを、日本国民の前に晒してしまったように思えます。そして、一事が万事、今後とも、独裁傾向を強め、同様の手法で国民を騙そうとするかもしれません。アメリカは、大統領選挙をめぐって大荒れの状態が続いていますが、日本国民も心して政治をウォッチし、国民の参加を強めてゆきませんと、気が付かぬ間に民主主義が消滅する事態に直面しかねないと懸念するのです。


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アメリカ国会議事堂占拠事件が示すリベラルのダブルスタンダード

2021年01月08日 13時09分02秒 | 国際政治

 昨日、アメリカでは、国会議事堂が、一時、トランプ支持派と目される一部集団に占拠されるという前代未聞の事件が発生しました。米憲法修正25条に基づく罷免や弾劾を訴える米民主党のみならず、メディアも他国の首脳たちも一斉に暴力主義として批判しています。しかしながら、この経緯を観察しますと、同事件の発生は、トランプ陣営のみに責任があるわけではありませんし、事件後のメディアの対応も、リベラルが内包する排他性を露わにしているようにも思えます。

 

 同事件にあっては、女性一人を含む4名の死亡者が報じられています。警察によって拳銃で撃たれたとされていますが、詳細についての報道はありません。このメディアの対応、BLM運動を思い起こせば、如何に、メディアがダブルスタンダードであるのかを思い知らされます。‘黒人の命は大事’という意味を持つBLM運動とは、警察による治安維持活動にあって黒人容疑者が射殺された事件を発端として起きた人種差別反対運動です。リベラルが支援したことから全米に波及する一方で(日本国内にも大阪なおみ選手を介して波及…)、略奪や放火などにも及び暴徒化することともなりました。どうしたわけか、BLM運動の最中にあっては同様の事件が全米各地で相次ぎ、沈静化に向かったと思いきや、各地でデモが何度も繰り返されたのです。

 

同運動を報じるに際しては、メディアは、現場の状況に詳細のみならず、射殺された黒人容疑者の氏名はおろか、その生い立ちや人柄といったパーソナルな情報までも大々的に報じていました。果ては家族までが壇上に登場し、警察の不当性を訴えていたのです。‘黒人の命は大事’というスローガンの意味するところは‘黒人一人一人の人格を尊重せよ’いうことでもあるのですから、一人の人間としての無二の人格を示す氏名や生い立ちなどはとりわけ重要であったのでしょう。

 

一方、今般の国会議事堂占拠事件におけるメディアの報道は、4名もの人々が命を落としているにもかかわらず、BLMの際とは真逆なのです。どのような状況下にあって4名の人が殺害されたのかは全く分かりませんし、犠牲者の氏名、年齢、職業、出身地、人種などについての報道もありません。本来の人種差別反対運動は、人種や民族等の違いに関係なく全ての人の命は大事という普遍性があるはずです。ところが、今般の事件では、全く以ってどこの誰であるのか、伏せられてしまっているのです。トランプ支持者ということなので、白人であることが推測されるのですが、‘白人の命は大事’ではなく、‘黒人の命だけは大事’なのでしょうか。

 

また、警察に対する報じ方にも、著しいダブルスタンダードが見受けられます。どの国であれ、政治的抗議活動に対しては、それが違法行為であったとしても、警察であれ、群であれ、殺傷力の強い銃器の使用は控えるものです。政府が国民に銃口を向けることを意味するのですから。通常は、催涙弾や催涙スプレーの使用といった殺傷性のない手段が選ばれます。この点からしますと、今般の警察による拳銃の使用は、BLM運動以上に大問題となるはずです。ところが、メディアは、何故か、警察を批判することもなく、沈黙を守っているのです(もっとも、議会警察当局の責任を問う報道はある…)。

 

人の行動には必ずそれを引き起こす理由があるものです。トランプ支持派の4人の犠牲者にも、国会議事堂への侵入が違法行為であれ、こうした行為に及ぶだけの已むに已まれぬ理由があったはずです。おそらくそれは、個人的で利己的な利益というよりも、アメリカという国家そのものに対する危機感であったのかもしれません。過激な行動に駆り立てたのは、バイデン陣営による不正選挙問題が有耶無耶にされ、国民の参政権が蔑ろにされたことに対する、一人の国民としての怒りであったのでしょう。‘不正選挙を許せない’とする正義感から出た行動であるとすれば、不正や欺瞞を嫌うアメリカ国人の多くは、たとえバイデン陣営から’テロリスト’や’反逆者’のレッテルを貼られ、刑に服することになったとしても、そのようには見ないことでしょう。

 

リベラル派は、日頃から多様性の尊重を唱えつつも、同スローガンとは裏腹に、常に自らの反対者に対しては不寛容であり、極めて排他的です。こうした事態に陥った根本的な原因が自らの不正選挙にあったことを棚に上げ、全責任をトランプ陣営に被せると共に、情報統制を強化して世論誘導しようとしているのですから。責任転嫁と他者に対する無理解な態度は、まさに中国共産党とも共通しています。

 

同事件の背景については、バイデン陣営、あるいは、両陣営の過激派を上部から操る組織による暴動誘引説も飛び交っております。事件の全容を解明するためにも、メディアには、死亡に至るまでの詳細を報じる義務があるはずです。アメリカ国民のみならず、全世界の人々は事実を知りたいのです。まずは、‘全ての人の命は大事’なのですから、同4名について氏名、性別、人種、民族、宗教をはじめ、どのような動機があったのかも含め、総力を挙げて取材すると共に、収集した情報を公開すべきではないかと思うのです。それがフェイクニュースでなければ、人々は、同情報に基づいて自ら同事件について判断することでしょう。


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アメリカ大統領選挙―どちらが民主主義の破壊者なのか?

2021年01月07日 12時35分55秒 | アメリカ

アメリカ大統領選挙は当選者確定の最終盤に至り、前代未聞の混乱に見舞われたようです。 偏向が露呈してしまったメディアによる報道ですので、どこまでが正しい情報であるのかは分からないのですが、ペンス副大統領が、選挙結果の認定を拒否しない意向を示す、つまり、不正選挙を不問に付したことから、首都ワシントンD.C.に集まっていたトランプ支持者が騒然となり、その一部が国会議事堂に侵入し、女性一人が死亡するという事件に発展したそうです。

 

同光景を見たバイデン氏は、テレビ演説ですかさずトランプ支持派の行為を‘反乱’として非難しています。相手陣営に‘過激派’を送り込み、敢えて違法行為をさせる、あるいは、挑発することで鎮圧や弾圧の口実を得るという手法は、政治闘争にあっては常套手段ですので、現段階ではどちらに非があるのかは判断のしようもありません。つい先日までは、過激なBLM運動やアンティファ等の暴力主義が批判されていた民主党側は、今般の一件によって、共和党側の暴力主義を堂々と批判する立場となったのです。

 

そして、もう一つ、今般の大統領選挙にあって両陣営が奪い合っているのは、‘民主主義’です。トランプ陣営は、「民主主義を支える基盤となる選挙制度を損なう不正行為は、‘民主主義の破壊行為’である」と主張しています。片やバイデン陣営は、「民主的選挙の結果を覆す行為は、‘民主主義の破壊行為’である」と訴えているのです。両陣営ともに、相手陣営を民主主義の破壊者と見なして糾弾しているのですが、果たして、どちらが真の民主主義の破壊者なのでしょうか。

 

論理的に考えてみますと、トランプ陣営の主張は、無条件で誰もが首肯できるはずです。民主主義国家であれば、どの国でも不正選挙は犯罪行為として刑法上の罪を問われることとなります。仮に、不正選挙の疑いがあれば、その行為を告発する、あるいは、訴訟を起こすことは、全ての国民の当然の義務とも言えましょう。国家、並びに、国民に対して責任を負う大統領であれば、不正選挙に目を瞑ることこそ、むしろ、国家反逆罪に値すると言っても過言ではありません。今般の大統領選挙では、郵便投票制度の欠陥やドミニオン社やスマートマティック社等による電子投票・開票機器の問題をはじめ(民主党側の反論は、何故か、電子機器操作の問題については避けている…)、さまざまな不正行為が指摘されていますので、トランプ大統領を民主主義の破壊者と見なす民主党側の主張には、首を傾げざるを得ないのです。因みに、南部ジョージアの上院選挙でも、民主党候補が2議席を確保したと報じられていますが、共和党議員の票数が突然に凡そ3万票も減少するという、‘バイデン・ジャンプ’ならぬ、‘バイデン・ダウン’が起きたそうです。

 

それでは、民主党側の言い分はどうでしょうか。民主党側の主張は、全ての人々を無条件に納得させることはできないように思えます。何故ならば、同陣営が自らを民主主義の擁護者と位置付けるには、前提条件を要するからです。その前提条件とは、‘選挙結果は、有権者が自らの自由意思で投じた票を正確に数えた結果である’というものです。つまり、不正行為が判明した途端、民主党側の論理は崩れ、最早、民主主義の擁護者を自称することができなくなるのです。

 

これまでの動向を観察しますと、民主党側には、マスメディアのみならず、それを資金面や‘系列’で裏から支援する特定のグローバリスト金融財閥グループや中国といった外部者からの圧力もあり(アメリカ国民の民意など関係なく、同組織によって既にバイデン氏を米大統領のポストに就けると決定されており、中国の習主席の手術説は、アメリカの動きとも連動しているかもしれない…)、不正選挙問題は、もみ消されそうな状況にあります。アメリカ国民のみならず、全世界の多くの人々が不正を疑っているにもかかわらず…。この状態では、たとえ‘手続き’に従ってバイデン氏が形式的に次期大統領に就任したとしても、不正選挙問題は、同政権の民主的正当性を否定する要因として、今後とも燻り続けるのではないでしょうか。そして、今後、バイデン政権が成立し、天安門事件と同様に、情報統制によって不正選挙そのものの存在を消そうとする、さらにはパージを始めるならば、民主党側こそ、民主主義の破壊者と言わざるを得なくなるのではないかと思うのです。


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理解力の欠如が招く悲劇―チャイナ・リスクの根源

2021年01月06日 12時49分23秒 | 国際政治

 昨年、日本国の外務省は、秘密指定の解除により天安門事件に際しての日本国政府の一連の対応を記した公文書―‘天安門事件外交文書ファイル’―を公開しました。同文書は、中国、並びに、非人道的行為に対する当時の日本国政府の認識の甘さを改めて浮き彫りにしたのですが、今日、チャイナ・リスクが全世界を脅かしている原因は、自由主義国側の中国理解の浅さのみではないように思えます。より根本的な原因は、中国側の理解力の致命的な欠如に求めることができるのではないかと思うのです。

 

 報道によれば、同文書には、天安門事件時における自由主義国諸国の動きも記録していたようです。中でも注目されたのが、当時のマーガレット・サッシャ―首相の発言です。同年9月14日、駐英日本大使館での夕食会の席で「鄧小平は英政府も法律の下にあることをどうしても理解せず、国家が欲すれば法律を変えればよいと主張した」と述べ、時の最高権力者であった鄧小平氏が、法の支配を全く理解していなかった事実を述べているからです。そして、同首相は、「今日の中国の問題はまさにこの考え方に根源がある」と総括しているのです。

 

 中国が未だにWTOに加盟していない時期に当たる1989年当時、日中間の経済関係や両国間の交流は未だに限られており、サッチャー首相の言葉を聞いても、日本国側の出席者の大半は、どこか実感が湧かなかったかもしれませんし、さして気にも留めなかったかもしれません。しかしながら、同首相の鄧小平評は、香港返還問題をめぐる鄧小平氏との間の交渉経験から得たものであり、根拠のない‘悪口’ではありません。1982年9月から英中共同声明が発表された1984年12月19日までの凡そ2年半にわたって、中国の鄧小平と渡り合っていたのが当のサッチャー首相なのですから。香港返還をめぐる英中交渉にあって、おそらく、サッチャー首相は、鄧小平氏に対して熱心に法の支配を説明し、イギリス側の説明への理解を求めたのでしょうが、鄧小平氏は、この価値を、決して理解しなかったのでしょう。

 

 サッチャー首相は、法の支配が有する立憲主義的な側面から鄧小平氏の無理解を嘆いていますが、法の支配は、自治、即ち、自由、並びに、民主主義を根底から支える価値でもあります。何故ならば、皆が納得するようなルールが制定され、それを全員が等しく誠実に順守することによって、はじめて人々は、特定の個人の意思への従属、即ち、人の支配から解放され、自由な秩序の下で生きることができるからです(なお、ルールで解決できない政治問題については代表もしくは広範な合意、あるいは、民主的な手続きで選ばれた公職就任者に委託する…)。鄧小平氏が法の支配を理解できないとすれば、それは、法の支配のみならず、自由も民主主義の価値も理解していないことになるのです。

 

 法の支配への無理解は、鄧小平氏のみならず、その後の歴代の中国の指導者にも共通して見られます。そして、この無理解こそが、サッチャー氏が1980年代末にあって指摘したように、今日なおも中国問題の根源にあります。‘軍事力を以って他国を支配して、何が悪い’、‘従わない者や邪魔者を殺して、何が悪い’、‘お金で人の心を買って、何が悪い’、‘弱い者から奪って、何が悪い’、‘愚か者(素直な人)を騙して、何が悪い’、そして、‘法を破って、何が悪い’‘共産党一党独裁で、何が悪い’というふうに思っているのでしょう。そこには、一方的に支配される側や被害を受ける側、即ち、利己的な理由から自らが害を与えた側に対する理解など微塵もありません(共感力も欠如している…)。

 

丸顔の鄧小平氏の顔立ちは温厚であり、フランス留学の経歴からしても中国共産党員にあっては紳士的な近代人の印象さえ受けます。表面的には極悪人には見えないのですが、理解力の欠如した人ほど恐ろしい人もありません。何故ならば、国際法や国際合意を平然と破り、顔色一つ変えずに自国民さえ残酷な手段を以って虐殺するのですから。罪悪感がないのですから、顔の表情には現れないのです。そして、‘何が悪い’のか、いくら論理的に説明しても分からず、自らが分かっていないことさえも分かっていないのです。

 

 今日、天安門事件の当時とは比較にならないほどに日中間のビジネスや交流は拡大しており、今ならば、当時のサッチャー首相の指摘は、日本人の多くも実感を以って受け止めたかもしれません。そして、今度こそ、自由主義諸国は、日本国を含めて‘中国は法の支配を解していない’ということをしっかりと理解すべきであり、この基本的な理解があれば、中国は、経済関係を含めて早急に離れるべき相手国ということになりましょう。理解力の欠如こそ、チャイナ・リスクの根源であり、国際社会を腐敗させると共に、全世界の諸国の安全と独立性を脅かしているのですから。‘相互理解’の結末が、相互離反という事態もあり得るのではないかと思うのです。


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‘人類の進化’と‘AIの進化’のパラドクス

2021年01月05日 12時37分42秒 | その他

今日、ディープラーニングの出現により、自己判断能力を備えるようになったAI。人間の情報処理能力を遥かに凌駕するAIの登場により、将来、知力を要する仕事をしてきた多くの人々が職を奪われるとさえ予測されています。今日の人類は、シンギュラリティの時代の入り口に立っている観がありますが、AIは、人類の知的進化の証として歓迎される向きもあります。高度で先端的な科学技術を発展させ、遂にAIを生み出した人類の優れた知性こそ称賛されるべきとして…。

 

 しかしながら、‘人類の進化’、とりわけ、知性の進化という側面からしますと、AIの誕生とその汎用化は、逆の方向へと作用する可能性もないわけではありません。何故ならば、知力を要する作業を全てAIに任せてしまうとしますと、人類は、自らの知性を進化させる環境を失ってしまうからです。‘適者生存’を原則とする古典的なダーウィン進化論によれば、AI時代における‘適者’とは、知力を有する者ではなく、むしろ、AIの判断に疑問を抱くことなく従順に従う者であるのかもしれません。‘考える人’が存在すれば、AIが決めた‘社会秩序’を攪乱し、崩壊させかねませんので、‘考えない人’の方がAI社会では‘生存’には適しているのです。

 

 個人レベルにあっても、脳を含むあらゆる臓器は廃用、つまり、使わないことにより委縮するそうです。実際に、今日、スマートフォンの使用が学力低下をもたらすとする研究結果も報じられており、スマホ第一世代においてさえ知力の低下が起きているとしますと、数世代も経れば、人類の知力は急速に低下してゆくことでしょう。遺伝子上の変化を伴うか否かに拘わらず、近い将来における人類の知力の著しい劣化は十分に予測されるのです。人類は、今日、最先端のテクノロジーとしてAIを手に入れたことで、自らの進化を放棄するというパラドックに直面しているとも言えましょう。

 

 しかも、決定者であるAIが、あらゆる知性の働きにおいて人間に優っていると言い切ることもできません。例えば、人と動物との違いの一つとして挙げられるのが、他者の感情を読み取る能力や共感性です(もっとも、低いレベルではあれ、動物においても観察されることはある…)。他者の痛みや苦しみを理解し、共感を覚えるからこそ、人類は、時には挫折しながらも善き社会を目指して歩んできたのでしょう。さらには、超越的な視点から全体をみわたす能力も、それがしばしば‘神の視座’とも称されるように、動物が持ち得ない人の能力です(これは、神と人との違いでもあるが、人が神の存在を認識するのもこの能力によるのでは…)。

 

 それでは、AIは、動物なのでしょうか、それとも、神なのでしょうか。多くの人々は、AIをその並外れた情報処理能力をもって‘神’と呼び、嬉々としてそれに全権を託そうとしています。人が一生をかけても計算できない問題を一瞬で解いたり、AI碁やAI将棋が証明しているように、数万手先迄読んでしまうのですから、その存在の超越性は、もはや神の領域にあるように見えます。

 

その一方で、他者の立場を慮ったり、感情を読み取る、あるいは、共感するといった感情面にあっては、AIは、動物のレベルにも達していないかもしれません。そしてそれは、道徳や倫理の欠如を意味していると共に、AI社会では、自由、民主主義、法の支配、基本的な権利の尊重といった人類普遍とされる諸価値も(これらの諸価値が実現するには超越的な視座を要する…)蔑ろにされることでしょう。例えば、民主主義一つをとりましても、決定者であるAIにあっては、自分以下の他の人々に政治的決定に参加する権利を与えるという発想はあり得ないからです。

 

このように考えますと、AIには、神でも動物でもない、テクノロジーに溺れた傲慢な人類が創り出した‘フランケンシュタイン’ともなりかねないリスクがあります。そして、この‘頭脳型フランケンシュタイン’は、小説のように一体ではなく、社会の隅々までに配置され、人類の知的活動や進化を抑制するのみならず、感情能力においても動物のレベルにまで退化させてしまうかもしれないのです。何事もAIが決定する社会では、人は他者のこと、あるいは、社会全体のことを考える必要もなくなるのですから。

 

そして、最も恐れるべき事態とは、真の決定者は、AIの設計者、あるいは、AIを装った影の操作者であったという顛末かもしれません。アメリカ大統領選挙の不正問題が明らかにしたように、電子機器の方がよほど人為的操作が容易なのですから。

 

ITやAIを全否定する必要はありませんが、AIの本格的な普及を前にして、人類は、その活用の目的や範囲についてはより慎重になるべきかもしれません。人類の知的進化の環境を整えるという意味においては、人々が知力を用いる仕事はできる限り維持されるべきですし、否、AIの導入が進むほど、知力を用いる機会を意図的に増やしてゆく必要さえあるかもしれません。そして、AIにはない他者の人格(自立的決定者としての主体)を認め、お互いをおもいやる心、並びに、全体に配慮する能力こそ、人類は高めてゆくべきなのではないでしょうか。AIには、倫理面を含めた人類の成長を援ける補佐的役割を期待したいと思うのです。


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トランプ大統領の選挙結果改竄要求の真偽

2021年01月04日 12時32分42秒 | 国際政治

 今年は、昨年に引き続きマスメディアの世論誘導や情報の信頼性が人々の主要な関心事となりそうです。本日も、新年早々、海の向こうから、トランプ米大統領が選挙結果を改竄するよう要求したとする驚くべきニュースが飛び込んできました。何故、‘驚くべき’なのかと申しますと、これまで、不正選挙を糾弾されてきたのは、バイデン米民主党陣営であったからです。果たしてこの情報、信じることができるのでしょうか。

 

 少なくとも昨年の暮れの時点では、バイデン陣営は追い詰められた状況にありました。マスメディアの大多数が、バイデン氏の次期大統領就任を既定路線として報じながらも、実際には、米民主党側は、トランプ陣営から不正選挙の動かぬ証拠を突き付けられていたからです。つまり、不正選挙疑惑の有無よりも、人々の関心は、トランプ大統領が強硬措置を以ってしても今般のアメリカ大統領選挙を無効とするのか、それとも、バイデン陣営がその全世界に張り巡らされている組織力を以って狡猾に‘逃げ切るのか’、という、不正行為の存在を前提としたエンディングの問題に移っていたとも言えましょう。ところが、ワシントン・ポスト紙が報じたとされる今般の記事は、最終盤に至ってこの構図を180度ひっくり返してしまっているのです。不正を糾弾されているのは、不正を追及してきたはずのトランプ大統領の方なのですから。

 

 同記事は、トランプ大統領と南部ジョージア州のラフェンスパーガー州務長官との間の会話の録音記録の一部をリークしたものです。この中で‘改竄要求’として問題視されているのは、トランプ大統領が「あなたが(票を)再集計したと言えばいい」、並びに、「私は(バイデン次期大統領の得票を上回るための)1万1780票を見つけたいだけだ」という部分です(共同通信の記事)。そして、これらの発言を以って、‘事実上、票数の改ざんを求めたと受け止められる恐れがある’と結論付けられているのです。

 

 比較的短い記事ですし、問題の部分も会話の一部を切り取ったものですので前後の文脈もはっきりせず、これだけの情報で真偽を判断するのは至難の業です。しかしながら、僅かな情報を手掛かりとして推測してみますと、この報道、トランプ大統領が‘改竄要求’したとして報じるほどの‘確実性’があるわけではなさそうです。そもそも、同記事では‘恐れがある’と表現されており、ワシントン・ポスト紙によるトランプ大統領の発言の‘解釈’に過ぎないからです。

 

 トランプ陣営が不正追及側である点を考慮しますと、上記の発言は、必ずしもワシントン・ポスト紙の解釈に限定されるわけではありません。ロイター社が報じる記事によれば、「ジョージア州の住民や米国民は怒っている。再集計したと言うのは何ら悪いことではない。私が望むのは1万1780票を見つけることだ」と述べたとされており、共同通信社の表現とは若干異なるのですが、不正選挙を前提とすれば、同大統領の発言は、‘再集計という形で正しい票数を公表せよ’と要請しているとも解されるからです。もしかしますと、仮にトランプ大統領が‘再集計’を提案したとしますと、将来に亘って不正選挙という前代未聞の罪と汚名を背負うこととなる米民主党側に対するトランプ大統領の‘温情’でさえあったのかもしれないのです。

 

 何れにしましても、2021年は、アメリカ大統領選挙の不正疑惑から端を発した情報操作や世論誘導の問題が表面化することにより、パブリックな情報発信者としての政府やメディアの在り方が根底から問われる年ともなりそうです。そしてそれは、権力と支配、IT・AIを含むデジタル化の問題、国民国家体系とグローバリズム、さらには、自由や民主主義の危機といった様々な問題にも密接に結びついているからこそ(地球温暖化問題も…)、全人類が心して取り組むべき最重要課題なのではないかと思うのです。


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新年のご挨拶

2021年01月01日 08時55分40秒 | その他

 謹んで 初春を お祝い申し上げます

 
旧年中は 拙いブログながらもご訪問を賜り ありがとうございました 本年も どうぞ よろしくお願いいたします

 コロナが一日も早くに収まり 皆さま方が今年も健やかにお過ごしになられますよう 心よりお祈り申します

 

 ゆきとけを 待ちてこもるる 野の花に はるを告けつつ 風のそよふく

 




*お正月の三が日につきましては、本ブログの記事掲載はお休みさせていただきたく存じます。4日頃に初記事を掲載いたしますので、何とぞご容赦くださいますよう、お願い申し上げます。


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