花の詩山の詩

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茨城県絶滅危惧Ⅱ類のクチナシグサ観察

2019年05月29日 23時03分58秒 | スポーツ・トレッキング
葛城の森に生育するクチナシグサの観察に行った。
茨城県のレッドデータブック2012年改訂版で絶滅危惧Ⅱ類に指定されている
希少な植物である。

観察に行ったのは訳が有って、数年前に定期的に観察に行って、クチナシグサの
タネの散布が雨によるものと推定していたからである。

夜中から雨が降っていたので、雨のあがるのを待って出かけて行った。
行ってみると、3株ほどあるクチナシグサの花はほとんど終わり果実をつけている

そして半分以上の蒴果が割れて、中の小さいタネを雨で流したと思われる痕跡が
有った。


割れたクチナシグサの果実1


割れたクチナシグサの果実2


割れたクチナシグサの果実3


割れたクチナシグサの果実の拡大写真
外側の萼との間にタネが流れ残っているのがわかる


クチナシグサの根元を見ると、前年の初秋に芽出しした葉の茎が枯れて
残っていた。(青い矢印で示したのが枯れた葉の茎)
クチナシグサは、最初にこの葉っぱだけが芽を出してきて、光合成をおこない
寄生した植物からの栄養と光合成した栄養とを蓄えて、花を咲かす本体の芽出しを
行っていると思われる。半寄生と言われるゆえんである
なので花が咲くころには、この先行して芽出しした葉は枯れてしまう。
Googleで「茨城県、クチナシグサ」で検索すると、私の以前書いたクチナシグサの
観察記事がヒットするのでご覧ください。
その記事でも書いているが、先行して芽出しした葉の根元に、本体の芽出しが輪生状に
出てきて、春になると急速に成長して花を咲かす。
そして梅雨の直前に果実をつけて、雨が降るころには果実が割れる。
典型的な雨散布と思われるのだが、繁殖戦略としては非常に効率が悪いと思われる。
何百というタネを流しても、運よく寄生主を見つけて芽だしできるのは1~2個だろう
以前私が観察していた場所は、笹とクヌギの葉っぱが降り積もって、クチナシグサは
全滅した。
試しに一部を草刈りしたが、復活はしていない。


この写真の右側に写っているのは、割れる前のクチナシグサの果実
これが「クチナシ」の果実に似ていることがクチナシグサの名前の由来である。

昨日は葛城の森の「葛城フォレスター」の活動日で、一日草刈り作業をした
それで大汗をかいたのが原因で、自宅に帰ってから熱中症のような症状になり
寝ていてもめまいに襲われて、立つこともできなかった。
何度も救急車を呼ぼうかと思ったが、かろうじてこらえた。

寅さんの新作が公開されるらしいが、私も男はつらいよ である。