大家さんのサルブーテ(この記事の真ん中へん)とか、隣のマリアや親方の奥さんが作るスープとか、出前とか、相棒と「この村の料理は全体的にいい線いってるね」などと話していたが、ここへ来て1ヶ月過ぎて思う。やっぱり絶対にレベルが高い。競争がなくて余計なことをせず味に集中して作ってるからだと思うが、他にも50年前?と思うような、この村の原始的な生活も寄与してるんじゃなかろうか。
マリアはうちの村から車で10分くらいの本当に小さな村(ほとんど集落レベル)の出身で、そこではなんと今でも毎日トウモロコシの粒からトルティーヤを作っているという。スーパーに並んでるメーカー品 → スーパーで作ってるもの → トルティーヤ屋で売ってるもの → トルティーヤ屋で作ってるもの → 製粉メーカーの粉を買ってきて家で作るもの → 誰かが苦労して作った生地を買ってきて家で作るもの…と手作り度が上がる(伝統的な作り方になる)。マリアの実家の村ではその上をいく。トウモロコシの粒は刈り入れ時を除けば固い。固いので石灰を入れて煮るというプロセス(こんにゃくみたい)を経て、柔らかい粒にする。時間がかかる。それをなんと毎晩して、翌朝生地を作って薪で焼いているという。もちろんトウモロコシは近くで穫れたもの、何の添加物も入ってない…まずいわけがない。
薪でコトコトも含めてそういう暮らしをしてきた人が多いから、村全体で味覚のレベルが高くて、どんな料理も美味しいんだと思う。観光地である海辺の村と同じ値段で売ってたとしても、美味しくて満足すると思う。ハズレは滅多にない。そのくらい、何を食べても美味しい。
正面の小山を超えて少し行ったところ。その先は、チャクムルトゥンという遺跡(この記事の後半)。
こないだ書いたオシュクツカブ村のオレンジ祭りには、オレンジコンテストがある。今年の優勝オレンジの糖度は、なんと15.5だったとローカルニュースに出ていた。日本で甘いと言われるタイプで約14。コンテストに出すようなオレンジでなくても本当に甘くて、果物嫌いの相棒が市場までいそいそと生搾りジュースを買いに行く。写真奥の赤いグレープフルーツも、めっちゃ甘い。
商品写真が美味しそうだったんだが出前がないのでタイミングが合わず、ようやく買いに行けた。メキシコ人は夕飯に甘いパンだけ食べて軽く済ませたりする。なので、基本的に菓子パンが並んでいる。
ココアスポンジの代わりに、蜂蜜の入ったしっとり系のスポンジ。メリダでもこういう「すが入っていない」プリンにはなかなか有り付けない。それだけでも買いに行く価値はあるが、苦めのカラメルが全体を引き締めてめちゃくちゃ美味しかった。ちなみにメキシコではブラジルプリンじゃなくて、インポシーブレ(不可能)と呼ぶパン(ケーキ)。
なんというか、基本に忠実で「いい材料をつかった」系の味。
向かいの奥さんと道端で話していたら通ったので買ってみた。甘いパンの定番で、中身はハムとチーズ(ハラペーニョが入ってるバージョンもあり)で、表面に砂糖がかかっている。見た限りは普通に行商が売ってるパンで、特に美味しそうとかきれいなわけじゃなかったんだが、こちらも当たり。中に入っているチーズが、ちゃんとユカタン名産のエダム系「ケソ・デ・ボラ」だし、他にクリームチーズも入っていた。個人的にハラペーニョはあまり好きじゃないので、入ってない点もグッド。そしてデカイ。もちろん、メリダや海辺の村より安い。
チキンとマカロニのスープ。
豚肉の焼いたの(ポクチュク)と、豆のスープ。
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チキンといえば、隣(ヒルベルトとマリアの逆隣り、ゴミを投げ捨てていた一家)は鶏をたくさん飼っていて、我が家の敷地で勝手に餌探しをさせていた。今もまだ塀がないので入ってくる。
家の建設中だが、敷地は広いのであちこちでついばんでいる。で、現場を荒らすので親方が文句を言おうとしたら、なんと「うちの鶏じゃない」と答えたらしい。餌はうちで、増えるのも死ぬのも自然に任せて…という感じで、もともとちゃんと管理していたわけでない。が、塀ができたら鶏が入って行けなくなって、とはいえ自分達で餌やりをしたらコストがかかるから、どうでもよくなったらしい。
一瞬、「明日からチキンスープだ!」と盛り上がったが、例の思慮深いお兄さんが「あんまり太ってない」と言った途端、みんな興味を失った。このへんの鶏肉は美味い。メキシコでは胸肉のほうが人気なんだが、ダブル胸肉という種類の鶏や七面鳥を売っている。それも、その家でその日にさばいたやつ。鶏肉に限らず、食材にはうるさいのである。
さきイカかと思ったw