もう十年くらい前、たぶん、秋。
父を入院させてしまいます。
お見舞いにも行ったけれど、父の自転車でブラブラしてみたかった。弟だったら、そんなことはしないでしょうけど、私はそんなところのある、空気の読めない家族でした。
じっとしてればいいのに、じっとしていられなかった。ナンバなどには行きたくなかった。(ちょうど今の気分と似ています。遊びには行きたくない。欲しいものもない。お金もあまりない。人に会うのは面倒だ、みたいな。)
渡し船に乗って、私の小さな世界を走ってみたかった。目的は船だったかな。
大阪のアートセンターみたいになっている造船所あとを抜けて、別の渡船で自分の街に戻り、
引っ張られる船を眺め、
船は、運河だから転回できるところがないので、引っ張られるままに連れて行かれ、ボクはそれをじっと見送り、
渡し船を乗り継ぎ、
海(内港)に浮かぶ船たちを見ていました。
クルッと一回りしたら、闇雲に走ったら、すぐに家に帰ってきたみたい。いい年して、何をやってたんだろう。いいオッサンが、ママチャリで、フラフラして、それはそれ、何か見つけたんだろうか。
もちろん、何も見つけてないね。
そんなことしても、お父さんは何も変わらなかった。ただ、病院に行けないのなら、闇雲に疲れるしかなかったんだろうな。
もう少しお父さんと話すればよかったのに。まあ、無理だったのかな。