ちょうど一週間前、2021.8.9の朝日新聞にジャクソン・ブラウンさんへのインタビュー記事が載っていました。
ジャクソン・ブラウンさんといえば、私より十以上は年上で、いつも見てる「こころ旅」の火野正平さんとほぼ同世代の人でした。
そうでした。イーグルスのメンバーといい、正平さんといい、ずっと前を歩いてくれてたのはこの人たちでしたか。最近、新しいアルバムも出したということで、定塚遼さんという方が記事を書いていました。
トランプ前大統領が生んだ負の遺産と、米国は今後、対峙しなければならなくなったと感じている。
「おそらく建国のときからあった傷口を、うまく利用して深刻な分断を生み出した。アメリカの歴史上最悪の大統領は、傷痕だけを残して去っていった。癒そうとしても、そう簡単には癒えない傷だ」
そして、社会に蔓延した不寛容と排斥の空気を憂える。
そして、社会に蔓延した不寛容と排斥の空気を憂える。
ジャクソン・ブラウンさんは、イーグルスのメンバーたちと曲を作ったこともありました。でも、たいていはソロでアルバムを出して、コツコツ仕事をされてきた人でした。
記憶に残っているのは「Pretender」という曲で、六分くらいの少しだけ長い曲でした。
プリテンダーというのは、さまよう人という意味だったかなと思ってましたけど、「よそおう人・ふりをする人」だったらしい。
この世の中を生きていく時、私たちはいろんなフリをして過ごしていく。それはその人の本当の姿ではなくて、ただのフリであった。でも、生活していかなきゃいけないし、フリして過ごしていく。そんな内容だったみたいです。
80年代初め、そういう意味とも知らず、曲全体から、「トボトボと毎日を生きていく私たち」というのは感じたものでした。内容も分からないくせに。
それから40年、ジャクソン・ブラウンさんはずっと世の中を見ていたんですね。
「わたしたちは自分たちのまわりにいる人たちの半分も目に入っていない/だけど自分たちにとって敵とみなす者たちのことは決して見逃さない」「わたしたちが二つの国の間に築いた壁が/わたしたちを恐怖のとりこのままにする」
移民をテーマにした楽曲「ザ・ドリーマー」ではそう歌う。
移民をテーマにした楽曲「ザ・ドリーマー」ではそう歌う。
「200年ちょっと前に、先住民を殺して土地を奪い、奴隷を連れてきて作った移民の国が、今度は移民を排斥するようになってしまった。一度手に入れたものは独り占めしたい。タイタニック号が沈み始め、ボートに乗ろうとしたとき、先に乗った人が『お前は乗れないから出てけ』と告げるように。それは米国だけでなく、これまで寛容だった北欧なども含め、世界中で起こっている」
アメリカはもともと分断を抱えた国であったのでしょうか。それがトランプさんの出現で真っ二つになった。持てる者と持たざる者、持てる者にも分断はあるはずなんだけど、とにかく持たざる者を切り捨て、追い出し、自分たちだけの世界を作ろうとした何年かがあった、というところなんでしょうか。
何もかも一緒くたで、ゴチャマゼの国がアメリカなのかなと思ってましたが、ちゃんと切れ目はあったんですね。
だから、持てる者の権利を守るために警察は存在し、持たざる者の一人にでっちあげられた黒人の青年は圧死させられてしまった。
実は、持てる者も、ほんの一部しかいないはずなのに、みんなが持てる者の側に入りたくて、たくさんの人々を切り捨てることばかりに目を向けたんでしょうか。
「人間は存在しはじめてから、ものすごいスピードで世界中のあらゆるところに広がるだけ広がって、地球を壊し、生き物を絶滅させた。だから私は最近、考え、悩む。もしかすると、人間こそ一種のウイルスなのではないか、と」
という結びになっているけれど、人間文明も何億年続くのか、私にはわからなくなりました。
地球がなくなる時には、人類は宇宙の外に飛び出すはずだと、先日亡くなられた立花隆さんは書いてたような気がしたけど、数十億年も人類が生き続けるなんて、何だか無理かなという気はしています。
ほんの数百年で地球をメチャクメチャにできるんだから、あと数百年もしたら、どうなっているのやら。まだその時に人類は生きているのかどうか。
そんなこともわからないのに、私たちは切り捨てることに必死になっているし、今を生き延びることが最大のテーマになっている。そして、日銭を稼ぎ、イベントを行い、生活(オマンマ)のタネを見つけることしか考えていない。
ウイルスではないんですよ。ただ目の前のことに必死の生き物なんだと思うな。地球なんて関係ないんだもん。いつまでも地球は永遠にあると思っているし、宇宙だってビジネスの材料だと思っているんですから。