今の気分は、こんな感じ。
♫雨がふります。雨がふる。
遊びにゆきたし、傘はなし、
紅緒(べにお)の木履(かっこ)も緒が切れた。
この歌は、北原白秋さんの大正七年(1918)の9月の作品なのだそうです。
「雨」(作詞は白秋さん、作曲は弘田龍太郎さん)という曲で、岩波文庫の『日本童謡集』には5番まで載っていて、こんな感じでした。
〽雨がふります。雨がふる。
昼もふるふる。夜もふる。
雨がふります。雨がふる。
その通りなのです。2番ではおうちで遊びましょうといい、3番では「けんけん小雉子(こきじ)が今啼いた」といい、4番ではお人形あそびに飽きてしまった雰囲気で、最後はこんな降り続く雨を嘆く感じで終わっています。とても子どもの気持ちに寄り添った優しい内容の歌でした。
私は雨といえば、どんな歌を思い出すかなあ。三善英史の「雨」もあったし、欧陽菲菲さんの「雨の御堂筋」とか、コテコテの歌しか思い出さないけど、白秋さんはもう一つありました。「あめふり」(作曲は中山晋平さん)という曲でした。
♪あめあめ ふれふれ かあさんが
じゃのめで おむかい うれしいな
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランララン
大正14年(1925)、雑誌「コドモノクニ」に発表された作品なんだそうです。3番では「やなぎの ねかたで ないている」子どもが出てきます。そして5番で男の子は「ぼくなら いいんだ かあさんの おおきな じゃのめに はいってく」と返事して終わります。
何とも言えない、優しい人々の関係が描かれていました。子どもたちは、雨の日の傘を通して人とどんなにして付き合えばいいのか、教わっていったんですね。1950~1973年まで小学校低学年で教わったそうです。
たぶん、私も習ったのだと思います。「じゃのめ」なんて、見たこともなかったけれど、雨傘のことなのだと教えられたら、うん、そうなんだなと思ったはずです。
雑誌「赤い鳥」「コドモノクニ」みたいな、子どものための雑誌みたいなのがあるのかどうか。子どもたちにどんな文化・文学を与えたらいいのか、そういうのを研究する人たちがいたんでしょう。
今は、そんなことより小さな端末利用で右往左往しているから、のん気なことしてられないよ、ということになるのかな。