甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

白秋の二つの「雨」

2024年08月30日 08時00分37秒 | 一詩一日 できれば毎日?

 今の気分は、こんな感じ。

♫雨がふります。雨がふる。
 遊びにゆきたし、傘はなし、
 紅緒(べにお)の木履(かっこ)も緒が切れた。
 
 この歌は、北原白秋さんの大正七年(1918)の9月の作品なのだそうです。
「雨」(作詞は白秋さん、作曲は弘田龍太郎さん)という曲で、岩波文庫の『日本童謡集』には5番まで載っていて、こんな感じでした。

〽雨がふります。雨がふる。
 昼もふるふる。夜もふる。
 雨がふります。雨がふる。

 その通りなのです。2番ではおうちで遊びましょうといい、3番では「けんけん小雉子(こきじ)が今啼いた」といい、4番ではお人形あそびに飽きてしまった雰囲気で、最後はこんな降り続く雨を嘆く感じで終わっています。とても子どもの気持ちに寄り添った優しい内容の歌でした。


 私は雨といえば、どんな歌を思い出すかなあ。三善英史の「雨」もあったし、欧陽菲菲さんの「雨の御堂筋」とか、コテコテの歌しか思い出さないけど、白秋さんはもう一つありました。「あめふり」(作曲は中山晋平さん)という曲でした。

♪あめあめ ふれふれ かあさんが
 じゃのめで おむかい うれしいな
 ピッチピッチ チャップチャップ
 ランランララン

 大正14年(1925)、雑誌「コドモノクニ」に発表された作品なんだそうです。3番では「やなぎの ねかたで ないている」子どもが出てきます。そして5番で男の子は「ぼくなら いいんだ かあさんの おおきな じゃのめに はいってく」と返事して終わります。

 何とも言えない、優しい人々の関係が描かれていました。子どもたちは、雨の日の傘を通して人とどんなにして付き合えばいいのか、教わっていったんですね。1950~1973年まで小学校低学年で教わったそうです。

 たぶん、私も習ったのだと思います。「じゃのめ」なんて、見たこともなかったけれど、雨傘のことなのだと教えられたら、うん、そうなんだなと思ったはずです。

 雑誌「赤い鳥」「コドモノクニ」みたいな、子どものための雑誌みたいなのがあるのかどうか。子どもたちにどんな文化・文学を与えたらいいのか、そういうのを研究する人たちがいたんでしょう。

 今は、そんなことより小さな端末利用で右往左往しているから、のん気なことしてられないよ、ということになるのかな。




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