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2018年の夏、私は甲子園球場にいました。ほんの数時間くらい。そのために、私なりにあれこれ工夫はしたのだけれど、どうせたいしたことはできませんでした。
でも、とにかくそこに行きました。
もう何年ぶりになるんだろう。父が目の手術をして、あまり紫外線のあるところに出てはダメとお医者さんに言われたのに、弟が「折角巨人戦のチケットもらったんだから!」と母に説得されて、その付き添いで外野に行きましたけど、もう何年も前のことになりますね。
久しぶりの甲子園でした。どうしてここに来たのか?
それはもう、三重県チームの応援のためでした。
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「県立の星」と持ち上げられ、主将のことば「日本一の下克上」がどんどん独り歩きして、それはもう大人気で、世間のみんなが応援している(感じの?)白山高校応援ツアーに参加したんです。
私って、ミーハーなんですね。
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ツアー弁当は、こんな感じで、まわりの皆さんは文句と不満ばかり。私は浮ついてたのか、普通にお腹を満たしました。まずいとも、量が少ないとも思わず、ただお腹の中にいれていた。何を考えていたのかなあ。もっと五感を研ぎ澄まさねばならないのに、ぼんやりとバスに乗っていました。
甲子園についてみると、フィールドを取り囲む壁のような観客席でした。昔はそれが魅力だと思っていましたし、今も独特の雰囲気はあるんでしょう。でも、アメリカの球場を見る機会が多くなり、日本でも見ていて楽しそうな球場が現れ、スタンドのあちらこちらに遊びがあるのを見たら、今ではそういう「遊びスペースが欲しいな」と思うようになってきました。
でも、甲子園はこれで突き進むでしょう。360度すべての目が野球に向き合う独特の空間です。だからお客は、それぞれの場所で何か自分たちはここにいるんだよと訴えたくなる。
太鼓をたたいたり、手作りのボードを持ち上げたり、上半身裸になったり、お酒を飲んでヘベレケになったり、自前のトランペット吹いたり、大声で叫んだりします。
でも、それは高校野球ではありません。すべて紳士的・淑女的に応援は行われている。酔っぱらいのオッサンはいたけど、そういう人は外に出されてしまいます。
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三重県の白山高校は、県大会ではあれよあれよと勝ち進み、打撃と勢いのチームでした。とにかく毎日試合試合で、実戦で鍛え上げてきたチームでした。
甲子園に来てもう何日経つのでしょう。たぶん、10日くらい試合をしていなかったのではないかと思われます。実戦から日数が空きすぎていました。彼らの感覚は少しだけ、微妙なところで鈍っていたのかもしれません。1日に2時間しか練習できないなんて、考えられなかったでしょう。
かくして初回でミスが重なり3失点、その後は立ち直りましたが、中盤で4失点。自慢の打線も研究されていたのか、うまくはぐらかされるし、少し相手のピッチャーがわかってきたところで別の投手が出てくるし、力を発揮できないようにさせられてしまったようです。
結果は0-10の大敗になりました。
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でも、どういうわけか観客は温かった。どうしてみんなこんなに拍手し、声を上げられるのか、それなりの覚悟を持ち、結果うんぬんよりも応援のためにここまできたみんなを讃えたい気持ちは試合が終わってもずっと続いていたようです。
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スタンドを出てから、壁伝いに駐車場まで歩いていくのですが、残念な気持ちはあまりありませんでした。
ああ、たくさんの人たちと心を一つにして、「県立の星」という話題のチームを応援できた。たまたま結果は負けてしまったけれど、それは時の運だし、そんなに気にはならない。ただ暑さと疲労と満足感でフワフワ歩いていたんでしょう。だれかにこの気持ちを聞いてもらいたくて、電話とかいろいろしてたんでしょうね。
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当日の朝、いつものように鉄道写真を撮りました。朝の回送らしく、誰もお客を乗せず、あかりもつけていない車両でした。
トンボたちは田んぼの上を飛んでいますが、まだ都会には出る雰囲気ではありませんでした。都会は暑いですもんね。ひとまず私は、バスに乗って都会に出てみたけれど、あとしばらく田舎の三重県にいます。お盆の間に大阪の実家には行きますけど……。