うちには捨てられそうな、ここ10年くらい全く聞いていないカセットテープがあります。
デッキもあるから、いつかデジタル化したいんだけど、それがいつできるのか、まったくあてのないまま今日に至っています。
栄えある第一号はこんな感じです。
★ TDK D-C60
A 1.モーション・アンド・ハート/OMD 3:13
2.スタンロウ/OMD 6:35
3.孤独な影/ジャパン 7:05
4.アメリカ/ダダ 4:50
5.ラブ・イズ・ザ・ドラッグ/ロキシーミュージック 4:07
6.ホリフォニック・コスモ/バッハ・レヴォリューション 4:30
OMDというのは、オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダークの略です。響きを大切にする1980年代に現れた二人組バンドでした。とはいっても、ライブができるわけではなくて、作りこんでいくことに意義のある音の職人さんみたいなチームでした。
この人たちのデビュー作の「エノラゲイの悲劇」というのは、もちろん広島に原爆を落としてしまった爆撃機ですけど、そうなるとどれくらい悲劇的で、どれくらい毒のあるものになるのか、それとも内省的な音楽になるのか。
そう思うはずなんだけど、実に軽薄なポップで、踊りだしたくなるテンポの良さがありました。軽ければ軽いほど、私たちの暗さが浮き彫りにされて、イギリス的な音なんだろうなと思って聞いていました。
3曲目の「孤独の影」は、ビジュアルからしてついついバカにしていたジャパンというバンドを見直すきっかけになった第3作からシングルカットでしたか。エレクトリックな音と、まとわりつくようなボーカルが妙に気に入って、もしチャンスがあれば欲しいくらい、今も好きな音楽です。でも、長い間遠ざかっている。
後半の3曲はそれほど印象がなくて、ダダなんて、どんな音だったのか、見当もつきません。何度も聞いていたはずなのにね。
B 1.アルルの太陽/ダダ 9:59
2.天国と地獄 part1/ヴァンゲリス 3:39
3.呪文 part1/マイク・オールドフィールド 16:58
B面はたったの3曲しか入っていません。最後のマイク・オールドフィールドが大作です。でも、ちっとも記憶がありません。
ダダって、フランスのバンドなんだろうか。それとも個人でやっている音職人なんだろうか。また、機会があれば聞いてみたいな。
何しろ私は、エレクトリック・ポップおっさんだったんです。
そんな電気的な音の、無機質な、何のとっかかりもないような虚しい音楽のどこがいいのか。
たぶん、理屈抜きのポップさというのか、こだわりの音なんかどうでもいいんです。とにかく楽しそうな音が刻んであれば、とんとん拍子で物事が進んでいきそうで、好きだったなあ。
今は? モタモタしたオッサンなので、エレクトリック的なものはほとんどそぎ落されて、むだな腹の肉だけがついている感じかな。おなかは満腹で、なかなか聞くことができません。
また、チャレンジしてみます。ジャパンは、もう活動していないんだろうな。D・シルビアンはソロ活動もしていないのかな。
★ そうでした。どうしてエレクトリック・ポップだったのか、その起源を書き忘れています。もともと1980年のころ、日本ではYMOというグループが誕生し、私はその流れに乗りまくり、YMOを支持しておりました。
そうした流れの中にある音楽たちは、当時23時ころからNHK-FMの「クルスオーバーイレブン」という番組でオンエアされていました。そこから全部カセットに録って勝手に「エレクトリック・ポップ」という枠で番号付けをしていたんです。
そういう時間のつぶし方をしていたんですね。そうでした! 香川県出身の友人は、そうした音楽で踊るのが好きでした。彼はユーロビート系なのかな。1980年、私たちはおもしろおかしく過ごしていたけれど、社会的にはそれなりに不安な要素もあったんでしょうね。何しろ冷戦時代はつづいていたわけですから。