甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

栗を食べ続ける娘と……

2016年11月07日 21時56分30秒 | つれづれな人々
 いつだったか、つい最近、クルマでカーズの曲を聞きました。

「ああ、カーズもなかなかいいなあ。うちにベストがあるから、今度聞いてみよう!」

 80年代の初期に大活躍したグループでした。聞いてみると、ぶ厚い作り込んだ音で、スタジオで閉じこもって何度も何度も収録して、それを組み合わせて作った音だから、ライブには向かないバンドだったんだろうと勝手な想像をしました。

 実際は、アメリカのバンドなんだから、当然ライブはこなしていたのだと思うのですが、それがどんなだったのか、全くわかりません。でも、何だかライブでは頼りない気がしてしまいます。それくらいカーズは作り込んだ音を持っていました。一部の曲にはクイーンみたいに聞こえる音があったり、いろいろ工夫していたのだと思いました。

 ただ今聞くと、何だか安っぽさもあって、同じ事の繰り返しエレクトロニクス的な感じです。だから、すぐに飽きてしまいます。何だか残念な感じです。



 そういうバンド、うちの奥さんは一切許しません。私の好きなクラフトワークも、アランパーソンズプロジェクトも、ピンクフロイドだって、YMOだって許しません。ELOは交際初期にすり込まれたせいもあって、いやがらないけれど、エレクトロニクスが前面に出ている音を嫌いますね。

 だから、私はクルマの中でこっそり聞くしかないのです。みんなクルマでひとりしんみりピコピコ、ガラガラ聞いています。今はクラフトワークが最後の切り札で、ボーッとしている時には目が覚めてしまう!

 残念ながら、昔大好きだったカーズは、今日の夕方、ほんの少し聞いただけで、「もういいや」となってしまった。何度チャレンジしても、すぐその日の夜にはクルマの中から放り出されてしまいます。そんなことならいっそのことブックオフにでも持って行ったらいいんですけど、ブックオフでは10円にもならないかもしれないし、仕方なくうちで管理しています。また、時々聞きたくなるかもしれないですし……。



 というわけで、カーズと全く関係のない、徒然草の40段です。

 因幡国(いなばのくに)に、何(なに)の入道とかやいふ者の娘、かたちよしと聞きて、人あまた言ひわたりけれども、この娘、ただ、栗をのみ食(く)ひて、さらに、米(よね)の類(たぐひ)を食はざりければ、

「かかる異様(ことやう)の者、人に見ゆべきにあらず」とて、親許(ゆる)さざりけり。


 うちの実家のすぐ近所に、2つ下の女の子がいました。気が強くて、生意気な感じで、なのにお勉強はできなくて、私立の女子校に進学しました。彼女が洗濯物を取り込むとき、私は2階から彼女の姿をこっそり見ていることが何回あったかな。

 そんなにブスでもないから(美人というわけでもないけど)、彼女とでも私の接点ないかなと、変な想像をしたことがありました。でも、すぐ近所だけど、私んちが私の高校3年生の時に引っ越してきたわけですから、幼なじみではないし、彼女としても突然近所に変なヤツらが引っ越してきたという感じだったかな。

 ツーンとおすまししていた彼女は、とうとう大阪では適当な相手が見つからず、ご両親の実家である鳥取の方とお見合いをして、そのまま大阪から鳥取の女の人になってしまいました。彼女がいなくなったのも知らないうちで、もうそのころには私は今の奥さんを見つけていたので、ああ、彼女もとうとう結婚したのか、という程度で、あまり感懐(かんかい)はなかったのでした。



 彼女はごくたまに大阪に帰ってくるようです。なかなか彼女と一緒に帰省ということはないんですけど、彼女の娘さんが大阪で進学したとか、実家にこんなお土産を持ってきたとか、ごくたまに大阪の母から聞かされることがあります。だから、私は、細々としたあるのかないのかわからないような鳥取県との関係があります。

 そういえば、昔、大学であとでは仲良しになったけれど、最初のウチはけなしまくった、本当に申し訳ない後輩さんもいました。彼女にも私は、あまり何もしてあげられませんでしたけど、うちの奥さんがあれこれと声を掛けてあげてくれてたので、彼女とも細々としたつながりはありますね。

 私と鳥取県の関係はどうでもよかったですね。

 そこにだれがいたんでしたっけ?

 栗しか食べない女の人がいたということです。まさかリスではないのだから、クリ以外のものも食べたと思われますが、わりと木の実が好きで、トチノミ・クルミ・クリ・アーモンド・ナッツ・マカダミアそういうものばかり食べる女の人がいた。

 書いてるうちに、何だかうちの奥さんのような気もしてきました。彼女もたくさん栗が食べたい人でした。でも、なかなか栗ばかり食べることができなくて、仕方なく、お米やら、餅やら、野菜を食べているけど、うちの奥さんも「栗のみを食」う人の仲間でしたね。

 女の人の中には、そういうリスみたいな人がいるんでしょう。男のわれわれは、何だか変なの。こんなものが好きだなんて、よくわからんなあと思ったりします。

 女の人の生態なんて、不可解なものなのです。彼女のお父さんは真面目すぎたのだと思われます。自分のところの娘さんが栗ばかり食べているように見えた。栗じゃなかったら、お芋とか、クルミとか、ドングリとか、キノコとか、木の皮とか、変なものばかり食べていると判断した。

 そこでかわいらしいルックスの娘さんなのに、うちの娘は普通の女ではない。こんな子は、普通の男と結婚してはいけない。相手の男がビックリするし、家庭というものをちゃんと築けないのだと決めつけたのです。

 娘さんのお母さんがどう思っていたのか、それとももうこの時には母親はいなくて、父1人娘1人のお金持ちだったんでしょうか。だから、わざわざ結婚させる必要もなく、ずっと手元に置いておくことにした。

 父親のわがままだったのかもしれません。



 かくして、栗ばかり食べる娘という噂(変な部分)だけが強調され、父親のわがままは後ろに引っ込んでしまいましたけど、何とも言えない、親子の不思議なつながりだと思います。

 娘さんは、父を捨ててどこかへ出て行く訳にはいかず、仕方なく父の家の中で一生を過ごしたかもしれないのです。考えてみれば、父親は、ひどいことをした。でも、娘さんは当時の習慣としてわりと普通の生活スタイルで人生を終えたことでしょう。

 それを兼好さんはサラリと書きました。そして、私たちはまるで化け猫の話を聞くように、栗だけしか食べない不思議な女ということばかり見ていた。

 これは特に珍しい話じゃなくて、こうした父と娘、今に続く不思議な縁の2人を取り上げたんでしょう。

 母親はすでになかった。ああ、今もありそうな気がします。そして逆に、乳製品しか食べない息子と母とか、キノコばかり食べる夫と穀物を一切食べない妻とか、そういう不思議な2人、たくさんいそうな気がします。

 何を書いているんでしょう。人のつながりの不思議さが言いたいだけかな……。 


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